第二話 変化
ーーーーーーはっ。
「いけない、完全に寝ちゃってた·····。」
手元のスマホで時刻を確認すると、22:15。1時間ほど仕事をせずに寝ていたことになる。
だが、そんなことはどうでもよく感じられるほどの大きな、困惑、恐怖、焦り、といった感情が頭を支配していた。自分の身に何が起きたのか、理解が出来なかった。
なぜなら·····。
スマホの画面に反射して見えた自分の顔が、明らかに「今の」小岩井雫のものではなかったのだ。
社会人になってまだ4年、社会人としては若い方ではあると思う。
しかしそれとは根本的に違う。
「若すぎる」のだ。
適度に成長が感じられながらも、まだあどけなさが抜けきっていない高校生、あるいは少し大人びた中学生といったところか。
「えっ·····。」
時間とともに思考がだんだんクリアになっていく。そして、
「ええぇぇえええええ!!はあぁぁぁぁぁ?!?!」
冷静に考えた結果出た答えは、結局「困惑」だった。
「まてまてまて」
自分を落ち着かせてから、
「うん、気のせいかもしれない。寝ぼけてて勘違いしただけかもしれない。うん、きっとそうだ。」
と、心の中で思い、今度はしっかりとカメラ機能で自分の顔をはっきりと確認する。
「···············。」
はぁ·····。
「もう·····、受け入れるしかないよね。」
寝ている間におよそ10年前の姿に戻った。通常有り得ないトンデモファンタジーだがそう考えるしかなかった。
「どうしよう·····。」
さすがにこんな状況で仕事を続けるわけにもいかないので、とりあえず家に帰ることにした。