冒険者の旅立ち
前には如何にも荒くれない者の巣であるような作りで沢山の傷が有るドアというわけではなく、質素だが、美しいギルドの紋章が描かれている。ちなみに色は茶色で有る。まぁ当然か!紋章は、ぶっちゃけよく分からない。言い訳さして貰うと、マジで見たことがない。しかし、見た目は魔方陣の様でカッコいい。
「さあ、入ろうかな」
そう言い、ドアを前に押すと、沢山の人が歩き、話し、椅子に座っていた。
(ゴブリン倒しに行こうぜ)
(やっぱ、昼から飲む酒は最高だぜー)
(俺と食事に行かないかい、ふっ)
(ガヤガヤ)
俺はそんな会話に胸を踊ろかせつつ、周りを見る。
右には、クエスト掲示板、左は酒場、真正面は受付所。じゃ真っ直ぐ歩いて行こう。
(ガヤガヤ)
(おい、アレ)
(ヤバイぞ)
俺が歩くに連れて、周りの視線が増えていく。あれ?どうして?まさか!この漆黒の仮面と漆黒のローブが目立っているだと!何ということか、顔バレを防ぐために仮面を被ったのに、注目を集める。
つまり、意味が無いではないか。俺の心は海の海底に垂直に落ちている。やってしまった。
今仮面を取るべきか?否、受付嬢に話しかける前に取れば、大丈夫なはず。うん、そうに違いない。
列は三列有り、三列とも、幾らかの冒険者が並んでいるため、一番少なそうな列に並び順番を待つ。
受付嬢は日本で考えられない程、容姿が整っており、銀髪で目は少し細めだが、睨んでいると言うより、少し睡気さを感じさせ、愛嬌がある。ヤバイ、テンパりそう。
(次の方、どうぞー)
呼ばれため、仮面を外し、魔法のカバンに入れ、冒険者になりたい旨を伝える。
「冒険者登録したいんですが」
(でしたら、この紙に必要事項をお書き下さい。代筆は必要ですか?)
「嫌、大丈夫です」
おかしなことに、俺は異世界に来たのに、言葉を理解することが出来る。更に、焼き鳥屋の看板の字を見ても、理解出来る。つまり異世界の言語が分かる。これは、ステータスなどに表示されていなかった。
更に、今俺は人化をしているが、これもステータスに表示されていない。つまりシステム外スキルと呼ばれるステータス上には、表示されてないが、存在するものがあることを確信した。
そんな思考をしつつ、名前、出身地、特技の欄を直ぐに埋める。名前は木の葉の為、リーフが良いと思ったが、よくよく考えたら、カッコ良さが欲しい。俺のこれまでの所業を考え、闇の意味であるダークを付け足し、ダークリーフを名乗ることにした。出身地は東。ちなみに日本は本初子午線が通るイギリスから見て、東のため。特技だが、風魔法は勿論のこと、俺は魔法剣士になるのが希望の為、剣技と書いた。
「これでお願いします」
(分かりました。今からギルドカードを発行しますので、手に水晶をかざしてください)
「分かりました」
すると、水晶がピカと光り、ギルドカードが出てきた。
(これはEランクのカードです。ランクは上からSABCDEの順で、ギルドの貢献度によってランクは上がります。冒険者登録おめでとうございます。私の名前はシズと言います。今から冒険者の説明を簡単にするね)
「急に口調が変わりましたが?」
(最初は完璧にやらなきゃ、冒険者に逃げられて収入が減るから)
「じゃ、まだ猫被らなきゃいけないんじゃ?」(忘れてた)
天然で可愛らしい。
(まぁいいよ、冒険者は市民からの依頼や、魔物の討伐、又ダンジョンに潜る事で、生計を立てる。初期は、薬草を取ったり、ドブ洗い。で、高ランクになる程危険な依頼や、指名依頼が来る。冒険者の禁止事項は、冒険者同士仲良くする事。一般人に暴力を振るわないこと。で、冒険者になることで、役職の設定が出来る。役職にもSABCDEのランク付けがされており、先に言った方が強い。最初はEやDランクが普通でCランクはごくわずか。役職により、ステータスと呼ばれる、自身の能力の上がり方が違ってくるから大切。後は、魔物を倒すと経験値と魔石や素材がドロップする。それを買い取りの所に持ってきて。依頼はここで受ける。専属は私でいいかな)
心の中でもちのロンと叫びつつ答える。
「よろしくお願いします、役職はどうすれば設定出来ますか?」
(二階に魔方陣の描かれた小部屋が有り、その外にギルドカードを差し込む場所があるから、差し込むと開く。そこからは、行けば分かるはず)
何か説明が雑な気もするが容姿がその思考を黙らせる。二階に上がり、ギルドカードを差し込み、ドアが開く為、ギルドカードを取り出し、中に入る。
すると、急に自分の前にステータスボードの様な、透明で、縦に細長い物が出現した。
(自身の設定可能な役職を見ますか?)
突如、頭に鳴り響く。レベルアップの時と同じ声。ビックリしつつ、この声をシステムの声と名付け、前のボードのYesのボタンを押す。すると、自分の習得可能な役職が出てきた。
俺は勇者のため、役職にも勇者がある。ちなみに勇者はAランクである。他にも、Eランクの農民、市民。Dランクの下級剣士、魔法師、盗族。Cランクは騎士、暗殺者。Bランクは無し。Sランクも無し。
しかし、例外として、金色に輝く項目をタップすると、Extraという文字があり、役職名は、闇勇者。「ナンダコレー」叫んでしまうのも無理はない更にExtraは規格外という意味。つまり、これはヤバイ役職に違いない。
この選択が、これからの主人公の運命の分岐点である事をまだ誰も知らない。
冒険者になる前にテンプレである、不良に絡まれるという事が、仮面が原因で無くなっちゃいました。
テンプレ好きの主人公シクシク。
次は、楽しみな役職設定。勇者ならやっぱり勇者を選択するが果たして?
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