天使舞い降りる
(何事ですか?)
凛とした声、煌びやかな金色の髪、現場を見極めようとしたキリッとした目。目の色は、全てを透き通すような黄色。年齢は十歳程度だが、立ち振る舞いは大人じみている。
騎士、パトロン=ダラク、俺達の視線が一身に浴びているのに狼狽る様子は全く無い。
そんな緊迫な状況を一閃するのは執事セバス。
(アイリスお嬢様、実はかくかくしかじか)
(お父様、依頼に来ている人に対して無礼ですよ)
(いやーしかしだな、お前を守るんだからな)
(それでもです。謝ってください)
(え〜でもな)
(私、お父様とこれから口を聞きませんよ)
絶望的な表情になり、そして、少し嫌そうに言う。
(そんなー、分かった。ダーク一同、すまんかった)
「いえいえ、依頼外の事を当たり前の様にさせるパトロン=ダラク様には頭が上がりませんよ。」
(なんだと)
(お父様、こちらが今回は悪いので我慢を)
(しかしだな)
(口を聞きませんよ)
(分かりました。じゃダーク一同、報酬を上乗せしよう)
「ありがとうございます。アイリス=ダラク様も、ありがとうございます」
(ふ、ふ、ふ、いえいえこちらの不手際ですのでお気になさらず)
何だこの完璧な貴族の少女は!全ての行動が俺の好感度をアップしている。
逆に小心者な俺には、怖い。愛情だと思っていたのが社交辞令だった時など悲しんだ。
あれは小学6年生。中学でも、一緒に遊ぼうと約束した男子は、中学になると別の仲間を作り、俺が声を掛けた時、誰?と声を掛けてきやがった。◯ね。などと思わない。決して思わない。
それから俺は期待しないということに於いて、他人と比べ天と地との差がある。
更に要確認していく。
ライトに自身の頭の中で、アイリス=ダラクの仕草が好感度狙いかを右手のサインで表現する様に言う。右手を下げたら意図的に、右手を上げたら無意識に。
すると、右手を下げる。つまり意図的だ。
ひ、恐ろしい子。意図的に男を落とす仕草に引っかからないよう注意しよう。アイリス=ダラクは、危険と判断したが、だからといって依頼を破棄しない。
これから仲良くなっていけばいいのだから。
皆も記憶にあるだろう。社会人となり、会社に勤める同期。最初は気を使うが、どんどん気のおけない友となる。
まぁ社会人にまだなってないがこんな感じだろう。
にしても本当に可愛いなぁと思いながら、最初に入ったパトロンの部屋に戻るのだった。
部屋の中でパトロンとアイリスが護衛の内容
を話し合っている。
アイリスの声は、先程と違い、可愛いらしくなっている。前回は貴族として、今は一人の女性としてだろう。
(私はアイリス=ダラクと申します。今日から5日の護衛宜しくお願いしますダーク様、ライト様)
上目遣いで頼んでくる。やばい、この命に掛けてもと言いたくなった。
「こちらこそよろしくお願いします、アイリス=ダラク様」
(私に対して敬語などは不要です。名前もアイリスとお呼びください)
「じゃ俺の事もダーク、こっちはライトで良いよ」
(では、宜しくお願いしますダーク、ライト)
ウン、美少女に名前を呼ばれる、素晴らしい。何か幸福な気がする。
今頃、勇者はこんな幸福な経験が出来ないんだろうなぁーと思ったが、いや王城で素晴らしい接待を受けているかも。
などとゲスな思考をしていると、アイリスが俺の顔を覗き込むながら首を傾げる。
(ダーク、大丈夫ですか?)
「あ、ああ」
俺の思考が読まれたかと少し焦った。
(今日は、もう夕方なので、今から晩ご飯を食べ、寝ます。明日は、色々な人と話し合うので忙しいですよ)
「分かった。晩ご飯は静粛な感じ?」
(いえいえ、そんな事ないんで安心してください)
「それは助かる。いゃ〜飯楽しみだなぁー」
(クスクス)
小さな笑い声も今の俺には幸福にプラス。早く飯にならないかなぁと、平和的な考えをしているが、現在も気を抜いていない。
俺の風魔法で、驚くほど正確に建物の情報、人の動きなどを確認している。
傍目から見たら、ただ側に突っ立っているだけだが、実際は違う。ライトも、周りを警戒している。これがBランクの実力だ。
まぁ、俺ほどになると、自然と、無意識に発動している。そのため不意打ちなどには絶対の耐性を持っている。
にしても、ここまでフラグを立てたのに暗殺者が来ない。少し残念がるが、よくよく考えたら、暇イコール最強じゃないかと考え、今では暇を求めているのだった。
「今日も神のお恵に感謝を」
(今日も神のお恵に感謝を)
この言葉は、食事の前にする挨拶である。
意味は、我々は神によって生まれ、そして生かされているため、神に感謝をということだ。
因みにこの挨拶は、宿屋でやっているのを横目で見ていてやばい奴居ると思っていた。ゴメンやばいと思った人。
食事はフルコース形式で、メイドが食事を自身の後ろからテーブルに置いてくる。
まじで良い気分。まるで俺が偉くなった気分だ。
そうそう、異世界なら俺の夢、金で人を動かす、叩くが出来そうだ。まぁ半分は冗談だが。
にしても、今食べているステーキが美味しい。肉汁が凄く、味付けは塩、まるで大海原に旅立つ旅人の気分。
この表現しきれない喜びが顔に出ていたのか、アイリスが話しかけてくる。
(ダーク、とても幸せそうですね、クスクス)
可愛らしく手を軽く握り、口元を隠しているアイリスを見て、顔が赤くなってしまった。
これは不可抗力だからアイリスの親、パトロンよ、殺気を飛ばさないでくれ。
こんな美味しい食事をあと四日、十二食食べれるんだなぁと思い又、頰が緩む。
明日の食事に心を躍らせ、ベッドに潜り込む。
今日の振り返りをし、ニヤニヤしながら寝る。え?護衛なのに、何故寝ているかだって?俺は無意識に風魔法や魔力感知を使用しているから寝ながら護衛ができる。因みに俺の横の部屋にアイリスが寝ている。
一緒でも良かったのに。
今回の護衛依頼は一瞬で終わらそうと思っていましたが、意外と話が弾み、かなり長編になりそうな予感。最近、主人公に女性キャラが接近しています。シャルムはそんな女性キャラを打ち破る事は出来るのか?
次話、やっとアイリスに危機が?
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