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貴族の洗礼

 前回のあらすじ。

 ギルマスに貴族の娘の護衛依頼を頼まれた、引き受ける。

 現在、貴族の屋敷の門の前にいるのだが、何この屋敷。滅茶苦茶大きい。

 俺の家もかなり大きいと思っていたが、これは日本感覚でリゾート施設並みである。

 王都にどれだけ大きい屋敷、いやリゾート施設作ってるんだよと思い、あれ?これだけ大きい家なら、身分も凄く高くね?俺無礼な態度取ったら直ぐ首切られそう。ガチで。

 まぁそんなときは逃げるかと決め、門番に話しかける。

「すみません。依頼を受けたダークですが」

(失礼でずが、冒険者カードを見せて貰っても宜しいでしょうか?)

「ハイ」

(ありがとうございます。案内の者を呼んできますので暫くお待ちください)

 何この対応。神じゃん。

 普通、ラノベなどでは、門番にまで依頼のことが知られてなく、門番が意地になって通さず、結果それが主人の耳に入り、怒られるシチュエーションだったのに。やはり質が違う。

 そうそう、この依頼は俺とライトで受けた。この依頼は護衛の為、臨機応変に対応出来るライトが適しているという理由もあるが、一番は今回の依頼はルカの回復魔法、サモンの召喚魔法は使わないため、だったら自分達の家でシャルムに教えて貰った方がいいという俺の判断である。

 おっと、案内人が来たようだ。

(ダーク様と、ライト様で間違い無いでしょうか?)

「ハイ、そうです」

(私、旦那様の執事であるセバスと言います。わざわざ足を運んで頂きありがとうございます。では、旦那様の元までご案内させて頂きます)

「よろしくお願いします」

 いかにも執事を象徴している黒い服。そして、歳はおじさんなのだが、目は鋭く、よく相手を観察している。足取りは軽やかで、一定のリズムを奏でている。

 隠蔽スキルと鑑定スキルを同時に発動する。決して相手に自身の変化がないようにする。

 結果はレベル75である。

 Bランク冒険者の平均レベルは、詳しく分からないが確かレベル60くらいだったと思う。

 つまりかなり強い。やはり貴族の執事は強くないと採用されないのかもしれない。

 そんな思考をしつつ、敷地内を歩き、歩き、歩く。

 幸い俺は異世界に来てからかなり頭、知力が上がったため、敷地内の構造を暗記出来るが、普通の人なら迷うレベルだ。

 だって、敷地の図表が無いもん。

 そうして歩き回り、目の前の一際大きな屋敷の中に入り、三階に行きドアの前で止まる。

(コン、コン)

(執事のセバスです)

(入れ)

 ドアを開けた先にはイケメン風の二十代後半ぐらいの男が立っていた。

(旦那様、こちらのダーク様とライト様が今回アイリス=ダラクお嬢様の護衛の依頼を受けて頂いた者達です)

(分かった。知っていると思うが、私がパトロン=ダラクだ。我が大切な娘を護衛するんだからある程度力は持っているんだよな)

「まぁある程度はあります」

(私は結果だけを求めるから粗暴な冒険者に依頼した。だから、慣れない言葉遣いは要らないが、実力だけ確かめたい)

「分かりました」

「では、裏庭に行くから着いてこい」

 いやー中々冒険者について理解し、目的のためならどんなものでも利用する精神。流石貴族、効率主義だ。

 パトロン=ダラクを見ていると、すべての貴族のイメージがアップするなぁーと思いながら裏庭に。

 其処には、五十人の騎士が一同訓練をしていた。その光景はさながら映画のワンシーンである。

 そんな中に堂々と入ると、騎士達は動きをすぐさま止め、パトロンの方を向き、敬礼している。 

 おいおい、やばい情景だな。貴族恐るべしと心に刻みつつ、観察する。

(今から、Bランク冒険者の実力を調べるため、騎士に相手してもらう。誰か立候補する奴はいるか?)

(は)

(は)

(はい)

 沢山の騎士が、立候補している。凄い忠誠心である。

 そんな中、騎士団長らしき人が、私がやりますと言い、パトロンが決める。

(全力でやれ)

(は)

 まじか、依頼してきた側が、依頼達成しようとする人を潰そうとするとは不条理な。

 せめて騎士団長を潰そう。どちらもクズでした。まぁ冗談だが。

 俺らは木刀を持ち、ある一定の範囲を開けて、戦闘を開始する。

 勝ち負けの条件はパトロンの執事セバスが決め、魔法無し、木刀以外の武器無し、人を殺す技は無しである。審判もセバス。全てはセバス。

 最後意味不明なことを考え試合開始。

 相手は全く動かない。俺は相手を観察中。

 ジージージーっと観察。決して、客である俺に戦いを挑みにくる不届き者に対する不満の視線では無い。

 だが言わせてもらいたい。 貴族の少女の護衛だよ!なんでキャハハ、うふふみたいな甘い展開じゃなく、防具を身につけた相手をしなければならない。

 まぁ今は防具を外しているが。にしても鍛えられた筋肉が、太陽の光で一段と存在感がある。貴方は筋肉?

 馬鹿な質問を考えながら観察。向こうは一向に動く気配がない。

 あれ?どうしたのだろう。まぁいい、もう考えることもないので、ゆっくり一歩ずつ歩く。向こうは剣を胸の前に来るように構えている。

 因みに両手で持っている。俺は剣を片手で、地面に引きずるように持っている。両者は大違い。 

 そして相手と自分の剣が届く一歩手前まで歩き、剣を下から中間に上げ、突きの構えをすると、相手は剣を振り下ろしてきた。とても無駄の無い振り下ろし。

 それを俺は横ステップで躱し、すぐさま突きを放つ。

 相手は俺の剣の軌道を逸らし反撃してくるが、それを俺は真っ正面から打ち破る。

 見た目では、俺の方が小さいがステータスでは上だろうと考えた結果だ。目論見はうまく行き、相手がノックバックしているため、首元に剣を添えて、セバスが俺の勝ちだと判断し合図を出した。

 剣を交えたの数回だが、一瞬で蹴りがついた。まぁゴリ押しだが。

 しかし、技術でも勝つことは出来たかな?少し疑問は残る。

(ザワザワ)

 あれ?周りが騒がしい。まさか俺が負けると思っていたのだろうか?

 実力も測れんとは。騎士の実力も知れるな。まぁ俺は鑑定スキル頼みだが。

 はぁ、俺のところに天使が現れないかなーと思っていると。

(この騒ぎは何ですか?お父様)

 一人の天使が舞い降りた。

 貴族が遂に現れました。貴族の性格を設定するのに少し悩みました。ゴミにするか、聖人聖子にするか、効率主義にするか。悩んだ結果、効率主義で娘に甘い設定にしました。

 次話は天使が舞い降ります。是非お楽しみに。

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