木の葉の旅立ち
神様との対話の時間が終わり、転生の準備もし終え、今か今かと緊張して待っていると、神様はこれからゲームをするかのような気楽さで言う。
(じゃ、さようなら)
この言葉を聞いた瞬間、俺を中心として幾何学模様の円が突如出現し、光に包まれた。
そして今がある。
「はぁ、疲れた、普通はドラゴン、スケルトン、スライム、ガーゴイル、そしてグリフォンなどに転生するだろー」
怒りがあるが、何とか理性で押さえ込み、現状を確認すると、一本の神聖な木が有り、その周りには一般の木、まるで写真の隅や背景に映る脇役の様だ。
ちなみに、この情報は、特典で貰った魔力操作を利用し、魔力で薄い膜を自分を中心に広げる感覚で使用すると、簡単に出来た。
「よーし。この調子でどんどん行けー」
そうして、ある一定の距離、百メートルぐらいの距離で意識を失った。
………「俺は何を?」
必死に脳みそを働かせて、現状を把握した。「アホだ、マジで何をしてるんだ」
少しの自己嫌悪に陥りつつ、現状の改善のため、まず自分を鑑定した。
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レベル1 名前 無し
種族 葉
役職 無し
HP 500/500
MP 170/1500
攻撃力 150
防御力 100
素早さ 150
器用さ 200
知能 250
魔法
風魔法 レベル1
スキル
身体強化 レベル1 魔力操作 レベル1 隠蔽 レベル1
鑑定 レベル1
称号
勇者
効果……レベルアップに必要な経験値の低下
……経験値獲得量の増加
……熟練度獲得量の増加
……レベルアップ時のステータス上昇量の増加
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俺はラノベを読んだ経験から役職は、神殿や又は冒険者ギルド的な場所で決められ、名前が無いのは、本来は只の木の葉の筈なのに、神様のミスで俺が転生したからだろう。俺は隠蔽のスキル欄をタップしようとしたところ
「おい神官、今日本当に勇者が転移してくるんだよな」
「もちろんです。信託で今日転移してくるので丁重な対応をとネグ様からお聞きしました。まさか、貴方はネグ様の声を疑うおつもりで?」
「いや、そんな事は無い、悪かった、悪気は無い」
「でしたら良かった」
俺は声のする方向に魔力操作を使い現状把握をした。声や視覚から、ネグ様というのが俺を転生させたあの神の名だろう。
そして、一本の神聖な木の前で緑色のローブを着た高貴そうな人が多分神官の偉い立場にいる人で、もう一人は、鎧を纏い、顔に古傷が有るので騎士だろう。
やはり俺の予想通り、本来は異世界転移の筈が異世界転生になってしまったのだろう。マジで悲しい。
そんな思考をしていると、看過できない事を話し始めた。
「風の勇者様はこのセイクリッドツリーに転移しています。」
「おいおい、何処にも人なんか居ないぞ」
「貴方の目は節穴ですか。この木の葉を観なさい、ネグ様の加護を受けたかのように輝いているでしょう。」
「は、イヤイヤ嘘だろう」
そんな会話を聞き俺は思った。頭大丈夫?と
そして一時間後に、高貴そうな人が沢山来て、その中で王冠をつけた人、鎧を着ている人、杖を持っている人、緑色のローブを着た神官が一枚の葉を勇者として祀っている。
中には、泣いて感謝するもの、また困惑している人、今後の世界に心配している人が居た。
そりゃ、木の葉を風の勇者としているのは、可笑しい。間違えた、おかしいだった。笑笑笑
そして鑑定スキルで沢山の人を鑑定した。鑑定レベルが低いせいか鑑定出来たのはレベルだけで、見たところ一番高いレベルが134で一番低いレベルが17。差の激しさにビックリしたのは本人だけの秘密。
そして今後の予定を立てている。まず第一に、自身のMP回復速度、スキルである隠蔽を確認する。
第二に、レベル上げ。第三に、役職を手に入れる。1、2、3と自身の体感で六十秒ぐらい経った際のMP変化量は150の回復。この事からMP1500が回復する時間は10分。
「あれ?速くない」
そして、隠蔽のスキル欄をタップすると
隠蔽——任意でのみ隠蔽出来る
——隠蔽出来る範囲はレベルにより変化
「あれー、なんかチートっぽくない」
説明で出来る範囲が指定されてないから何とも言えないが、レベルを上げればかなり強くなりそうだが、任意でのみの所が注意すべき点だと思った。
何故なら、考えなければ発動しないため、寝ている時や気の安心している時などは自身のステータスを隠す場合などには不利だからである。
その辺は後で解決策を考えて、第二に、レベルを上げる。
何故なら、弱ければ身の安全を確保できない、又 折角のファンタジーを楽しみたい。
そして一年後の魔王復活の為の準備。その為にレベルを上げる。
なので魔物を倒さなければならない。現在は木の葉。
しかし、勇者補正でステータスが高いのでテンプレのスライム、ゴブリン程度は倒せると思う。
だか、魔物居場所がわからないという問題が発生すると思うが実は、神様であるネグ様が話していた。
「王都の南にスライムの平地、北にゴブリンの森」
このように言ってたのを思い出し、まずは南のスライムの平地でレベルをある程度まで上げて、ゴブリンの森に行く安全策を取ろうと決めた。
第三の役職はスライムを倒してレベルを上げた後に王都に入り、手に入れる。
今後の予定を立てて、俺はこれからの旅に対する期待と不安を吹き飛ばすかのように風魔法で自身を王都から離れ南のスライムの平地に吹き飛ばしたのだった。
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