ギルドマスターの出会い
今俺の気分は最高だ。吸血鬼の始祖を仲間に入れ、何をしようか悩んでいる。
そう、これまでと違う、嬉しい悩みである。
(おい、此れからどうするんだ?)
「冒険者ギルドで、シャルムの身分証を作り、俺とパーティを組まない?」
(フン、選択肢は無いだろうに)
「ありがとう、助かる」
(だが、貴様の事を教えろ)
「分かった」
イヤー、如何にも興味津々な態度に心を癒されていると、徐々に顔が近づいてくるため、話始める。
「俺は神に異世界転生された勇者。だが、何の因果か、木の葉に転生したため、王城から抜け出して、今に至る」
(何故闇魔法を使える?)
「役職が闇勇者だからだよ」
(何だって?始祖である我が聞いたことがないぞ、嘘じゃないだろうなぁ!)
「奴隷に嘘をついて、何になる」
(調子に乗りおってー)
(ポコポコポコ)
そんな効果音が鳴りそうな風に、俺の背中を叩いてくる。俺のステータスには、全く効かないが。「俺の事情は言ったんだ、次はシャルムね」
(いいだろう。我は古の魔王の側近であった。その時の魔王が、暗黒魔法や闇魔法について教えてくれた。魔王は優しくも、気高く、魔王の部下は皆慕っていた。しかし、勇者が来た時に、突如として、理解不能な発言をし始めた。やれ、勇者はコマだの、やれ、神のゲームだの。そして、何故か我を封印しようとした。我は勿論断った。理由は、我は昔、レベルは優に300を超えていて、魔王に次ぐ実力者だった。必ずや、力に成れると思ったからだ。しかし、彼奴は我の隙を突き、強制的に封印し、何故か力を奪った。その後どうなったかは知らない)
「そんな過去が」
(そういえば、魔王の最後の言葉は、王都の魔の森にある、勇魔の朽ちた神殿に行けと言っていたなぁー)
「勇魔の朽ちた神殿?」
(あぁ、私の時代の勇者と魔王が、一度対戦し、勇者と魔王の一騎討ちが行われ、引き分けになった場所だ。だが、魔王様が引き分けなど、あり得ない。勇者が逃げ出したに違いないグチグチ)
最後ら辺は聞き取れなかったが、一度は行かなければいけないような感じがする。
「因みに危険度は?」
(冒険者ランクで言えば、Bランクでなければ行けないぞ。強い魔物が、大量に居るからな)
現在、Eランクの俺には、遠い話だが、まぁステータスも爆上がり、熟練度も爆上がりした俺なら大丈夫。
今後の方針として、冒険者ランクをBに上げ、勇魔の朽ちた神殿に行くのが目標だ。
「じゃ、冒険者ギルドに向かうか。絶対自分が、吸血鬼である事をバラすなよ!」
(分かっておる)
冒険者ギルドの受付嬢のシズに挨拶をする。
「どうも」
(久しぶりです。何用?)
「スライムの平原に下位吸血鬼が出て、討伐したんだが、どうすればいい?」
(ギルドマスターを呼びますね。他には?)
「この娘の冒険者カードを欲しい」
(では、必要事項を記入してね)
「書ける?」
(我を誰だと思ってる)
「静かにね」
(チ)
この娘、舌打ちした。あー何という、娘か。どこで育て方を間違ったか。はぃ、育ててません。
ハッハッハ。頭の中で笑っていると、滅茶苦茶厳ついオッサンが来た。めっちゃ怖い。
(お前が、吸血鬼を殺したのか。シズまじで?)(そうらしいですよ)
(ちょっと付いて来い。シズもな)
(えー)
シズが悪態を着くと、厳ついオッサンの目が鋭くなる。
(わかりました)
シズにタメ口とは、誰だコイツ。若干、怒りを覚えるが、怖そうなので、無言で付いてくる。
「シャルムも付いてきてね」
(指図するな)
シャルムも、ツンツンしてて、可愛いな。最高。
後について行き、ギルドの三階の一室に入る。ソファーが対となっている。厳ついオッサンと俺が相対している。
ちなみに、シャルムは部屋の中を歩き回っている。なんか俺が恥ずかしい。
しかし、顔には出さない。これも、スキル明鏡止水の効果か。
(お茶です)
素晴らしい。お茶を置く際も静かで、趣深い。「ありがとう」
(俺は冒険者のギルドマスターのガクラだ。)「初めまして、ダークリーフです」
(報告では、スライムの平原で下位吸血鬼と遭遇、そして撃破らしいが本当か?)
「報告に間違いはありません」
そう、俺は下位吸血鬼に会って、下位吸血鬼を撃退した。始祖吸血鬼と会ったが、それは報告していない。面倒事に巻き込まれそうだし。
(フン、魔石はあるか?)
(一応、魔石と牙と爪がドロップしました。どうぞ)
「おぅ。確かに下位吸血鬼だなぁ。シズはどう思う?」
(良いと思います)
(絶対考えてないだろう。まぁいい、今Cランクの冒険者下にいる?)
(居ますよ)
(敬語どうした。はぁ、もういい、練習場にCランク一人用意しといて、近接ね)
(はいハイ)
(えー名前は呼びにくいんで、ダークと呼ぶな)「はいハイ」
(人前ではするなよ)
いや〜、優しそうな人で良かった。急に殴りかかってくるかなぁーと心配したよ。練習場に到着。
練習場はギルドの裏側にあり、かなりの広さである。
木偶の坊が置いてあり、それに向かって斬りつけたり、模擬戦をしている人達もいる。
(じゃ、お前が下位吸血鬼を倒せる実力があるか、無いか。Cランクに上げるかを検討する模擬戦をする。審判は俺。殺すのはダメ以上。サッサッとヤレ)
「じゃお願いします」
(よろしく)
「鑑定」
挨拶と同時に毎度恒例の鑑定。レベル30、ステータスはHP、MPを除く平均は350ぐらい。
俺との差は二倍以上である。この事に疑問を持った。弱すぎじゃね?
こっからは、俺の無双ターン。
Cランク冒険者の実力が次話分かる。ステータスを見ると、主人公の方が高いが果たして?
そして、ギルドマスターの出会いは何かの話に交わってくるのか?次話、是非楽しみにして下さい。
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