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深夜のコンビニバイト七十六日目 烏天狗来店

手の心配をしてくださって皆様ありがとうございます。だいぶ動かせるようになってきました。

過去に球技大会の怪我で包帯ぐるぐる巻きでusjに行った事があるのですが、大丈夫かい?とキャラクター達が心配してくれて、見ず知らずの人間に優しくしてくれるなんてなんて優しいんだろうと思いました。そのキャラのグッズ買いました。

深夜のコンビニバイト七十六日目。


ピロリロピロリロ。


「いらっしゃ...あっ!死神さんじゃないですか!」


「やぁ、お久しぶり」


久々にみる死神さん。相変わらずのガスマスクにガスボンベ、黒スーツに、潔癖症故の白手袋。


「どうしたんですか?今日は」


「久々にこのコンビニが綺麗か見に来たんだ」


腕を組んでコンビニ内を見回す死神さん。


「はは、相変わらず俺と店長でちゃんと掃除してるんで大丈夫ですよ」


「そうか、それはいい心がけだ。前より少し良くなっているようだな。窓のサンも綺麗だし。トイレも見てこよう」


パチンと指を鳴らしてトイレに向かった死神さん。

今日はいつも引き連れているカラス達は...と窓の外を見ると黒い窓に赤い点滅が見える。あぁ、カラスいるわ。

コンビニの窓にはカラス、カラス、カラス。


「フンとか落とさないで下さいね」


「わたしのカラスはそこらへんの野ガラスと違うからな。ちゃんとその辺は教育してある」


犬や猫のペット用トイレとかでするようにしつけたのだろうか。


しばらくして死神さんは、戻ってきた。


「トイレ掃除も念入りにしているようだな。だがもう少しだ。トイレのレバーはかなり菌がつきやすいからな。その辺を一緒に」


ピロリロピロリロ。


「御用改めである!!!」


顔は黒く鳥のような嘴、体は青い着物に和柄のモンペのような格好で、飛翔した鳥柄の印籠。

水戸黄門のように印籠を見せつけるように前に出しながら勇ましく声を上げて来店してきたお客様。


「あの...どうしたんですか」


俺も死神さんもポカンである。


「我輩は烏天狗(からすてんぐ)ここに悪事を働く奴がいる。身に覚えがあるな?」


目を閉じて、押し殺すような声。

悪事を働く奴がいる?俺は何もしてないはずだけど。

あっ...。


俺も、烏天狗さんも見た方向は一緒だった。


「え?わたし?何もした覚えがないんだが?」


自らを指差す死神さんを、俺は哀れみの目で見つめた。

死神さん、そういや初めて会った時自分が汚いと思った人間の寿命を適当に減らしてるって言ってたっけ。

それ完全に死神の権限を悪用しちゃってるよね。だよね。こりゃ逮捕されるよね。

あと初来店の時、店の中にカラスまでバサバサ連れてきたんだよね。消毒まみれにしてたけど、きっとあれもダメだったんだろうな。

更にまだある。綺麗な店が気に入らない故に完全完璧に掃除してその後にコーヒーを飲むのが好きって言ってたけど業務中のお店からしたら勝手に入ってきたガスマスクの変な男が勝手に掃除し初めて迷惑なんだろうな。いや、こんな深夜に営業してるお店もかなり珍しいけどさ。コンビニくらいかもしれないけどさ。


「全く身に覚えがない事で逮捕されるいわれはないな」


ドンと腰に手を当てて無実をうたう死神さん。


「貴様、本当に身に覚えがないのか?」


烏天狗さんは、ぎろりと目を光らせる。


「ないね。わたしは心も体も身の回りも綺麗にしているから。逮捕されるような汚い真似をした事はない」


胸に手を当てて自信満々の死神さん。


「ハッ、笑わせる。貴様の罪状を言おうか」


烏天狗さんは、腰にさしていた黒い横笛を引き抜き、


「ピューヒュルルルルル」


息を注ぐと、みるみる笛が長くなり立派な長い一本の槍へと姿を変えた。

槍を素早く持ちかえ、死神さんに向けた。


「やめてください!コンビニで血を流すような事は!」


俺が声をかけると、


「安心なされい人の子よ。逃げないように出入り口前で槍を構えているだけの事。貴様の罪状は、業務執行妨害及び窃盗だ!」


「ははは、それはおかしいね。わたしは今までで一度もあなたと出会った事がないし、今初めてあなたに会ったんだ。それに加えて窃盗?冗談はよしておくれよ」


「まず窃盗は、証拠まで揃っているぞ」


「わたしが何を盗んだというのかな?見せてみてくれ」


「それは、窓の外を見れば一目瞭然だ」


俺と死神さんは、促されるように窓の外に視線を流す。

相変わらずカラスがこちらをみているくらいで、特に何か変わった様子はない。


「特に何もないが」


ドヤ顔が見えるようだ。尚も自信を失わない死神さんに、


「あのカラス達、元は全匹我輩達の配下だったのだ」


「え」


烏天狗さんの言葉に衝撃を受ける俺。

対照的に首を傾げてよくわかっていない様子の死神さん。


「烏天狗は、カラスを配下にし人ならざるものからこの町の秩序と正義を守る仕事をしていた。だがある日を境に、夕礼に参加するカラスの数が次々と減り始めた。町中のカラスが参加していた夕礼と夜礼は、今では数匹来るか来ないかだ。貴様は、我輩達のカラス達を奪って好き勝手に従えさせているみたいじゃあないか。我輩の息のかかったカラスから聞いたぞ。今すぐ我輩達から盗んだ外にいるカラス達をこちらに渡しなさい」


「ほう?あなたのところのカラス達だったんですね彼らは。それはそれは失敬失敬...だが断る!!わたしは元々カラス達、彼らに好かれる体質でね。彼らは望んでわたしのところに来たのだ。故にそちらに行くかこちらにつくかは彼らが決める事でありわたしが決める事ではない!それに今彼らにはよくわたしの仕事を手伝ってもらっているからね。簡単に渡すわけにはいかない」


「なぬ...ふざけたことを。仕事にまで我が配下達を使っているのか...その仕事が我輩達の業務執行妨害になっているというのに」


「それはどういうことかな?」


「さっき言ったな。我輩達の仕事は人ならざるものからこの町の正義と秩序を守る仕事だと」


「あぁ」


「貴様らの仕事はなんだ」


「人ならざるものから依頼を受ける何でも屋」


「それだ!それだよ!それ!!」


烏天狗さんは、死神さんを指さして頭を抱えた。


「あんた達が我輩達の仕事を取っちゃうから!何でも屋なんて都合のいいものやられちゃったら、烏天狗警察っていうほぼ何でも屋みたいだった仕事が、なくなってっちゃうわけ!それに加えて切り割きジャック捕まえた功績があるから、頭の固い我輩達よりそっちに頼った方がいいって言われたりもして。仕事仲間も取られて仕事も取られてあんたら来てから踏まれたり蹴られたりだよ!」


さっきまでのクールな印象からはガラリと変わって必死に身振り手振りで自分たちの危機的状況を訴える烏天狗さん。


「まさに死神!!我輩達の首を狩る死神!!上司に言われたんだ。死神を逮捕すると上司である俺の首が飛んだりしそうで怖いからせめてカラス取り返して来い。じゃないと貴様の首が飛ぶって」


この人も苦労してんだなぁ...。


「それは...ぷぷ、苦労してますね」


「笑い事ではない!!貴様我輩は首がかかっているのだぞ!上司にはあぁいわれたが、もう我慢ならん。こちらは本気で貴様を逮捕して連れて行く!カラス達も連れ帰る!」


「勝手に何匹か連れて帰るといい。彼らはわたしに懐いているだけだからな。まぁ、彼らがわたしより君を選ぶかどうかはわからんが。わたしを逮捕したいのならすればいい」


はい、と両手を差し出す死神さん。

やけに素直だ何か企んでいるのだろうか。


「やけに素直だな。じゃあわっぱをかけさせてもらおう」


「構わないよ。ただ」


死神さんは、ガスマスクごしの目を光らせながら烏天狗さんにずいっと顔を近づけて、囁いた。


「わたしが死神ということを忘れてないかな?」


「ど、ど、どういうことだ貴様」


「死神は他人の死期を操れるのだ。貴様の死期も上司の死期も、窓の向こうのカラスの死期も」


「な、何をするつもりだ貴様....まさか」


「さぁ、死神は気まぐれだからね。ほら、わっぱをかけてみなさい?何が起こるだろう?」


「そ、そんなはったりにわが、わがひゃいがおど、おどりゃされるとでも?」


「ふふふふふふふ、ふふふふふふ」


「な、なにがおかしいんだ!」


「ふふ、ふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、ふふふふふ」


「やめろ!」


「死神が笑うと不吉なことが起こるって聞いたことないか?」


「もういい!!!もういい!もうやだ!!!いつか、いつか貴様を逮捕してやるからな!!!」


烏天狗さんは、ビシッと死神さんを指差して叫びながら出て行った。


「ふふふふふふふ、威勢がいいカラスだ。嫌いじゃない」


死神さんは、俺を向き直った。


「さて、トイレ掃除だ」


夜の静けさのような優しい声で俺に言う彼に、俺は大人しく従った。

本日も読んでくださりありがとうございます。


私は読み書きが早い事が特技で、皆が教科書のお話を1話読む間に私は三週していたり、1時間で書く作文を15分で書いたり小学生ながらに自分は天才だと思っていましたが、小学校のとき同級生に「なんかズルしてるだろ」とか、本当は読んでないだろ、とか不正を疑われたので、中学の時はわざと30分くらいかけて書いたりしてましたね。イキリエピソードみたいになっちゃいましたけど。

後で気がついたけど早いので、沢山書くと腱鞘炎になるんじゃないかってくらい手が痛くなるし何度も読むので時間が暇になって飽きちゃうし、読んでるフリしないといけないので、代償は必要でしたがね。

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