深夜のコンビニバイト六十二日目 花の妖精来店
お久しぶりです。
部署が変わってから気がついたら気を失い目が覚めたら朝ということが多すぎてですね。きっと私も疲れてるんですね。まぁ三連休も終わったので大分楽になるはず...。
疲れてるといえば、あとがきで過去に私が疲れていたお話でも書きますか。夏ですしちょっとホラーな。
コンビニの前には、店長が手塩にかけて育てている花壇がある。
店長はいつもお気に入りのぞうさんのじょうろを片手に、朝方コンビニの前の花壇にお水をあげている。
その時の店長の顔といったらまるで仏様のような安らかな顔をしている。
よほど花が好きなんだろうなと、感じながら俺はコンビニの窓から店長が花壇に水をあげている様子を見ていた。
だが、今日の店長は少し様子が違った。
「店長....?」
花に向かって、何かを話しかけている。
孤独な人は、植物や物に話しかけるというが店長はもしかして何か孤独を感じているのだろうか。
29歳にもなって彼女がいない事を気にしているのだろうか。
凄くにこやかに、天使のような顔で花に語りかける店長に俺は胸が痛くなった。
ピロリロピロリロ。
「店長!!!!」
「どうしたんだぃ...村松君」
びくりと体を震わせた店長はバッとこちらを振り向く。
「店長には、俺がいますよ!!」
「.....うん、ありがとう。村松君突然どうしたんだぃ?」
「店長、悩みがあるなら俺に話してください!!」
「特にないよ」
「だって今花に向かって話しかけていたじゃないですか!!」
「あぁ、村松君にはそう見えてたのか...おいで、怖くないよ」
どういう事だ?また話しかけてるぞ。
店長は、花達の中に手を入れゆっくりと手を引き抜いた。
「ほら」
店長の大きな手には、ちょこんと耳がエルフのようにツンと耳がとんがった、ピンク色のドレスを着た可愛らしいお姫様が乗っかっていた。
「わたくしは花の妖精です」
「え?」
「彼の丁寧に花を育てる心が私を生みました。私はこのお方の育てたお花から生まれた花の妖精なのです。花を愛する人しか見えない、彼は私だけの王子様なのです」
「え?」
「村松君、彼女は花の妖精だよ」
満遍の笑みで俺に小さい女の子を紹介する店長を見て俺は目をバシャバシャ泳がせた。
え?て、店長?何いってんの頭がファンタジーに染まっちゃってるよ。
深夜のコンビニバイト六十二日目。
「お花に水をあげると、彼女も喜ぶんだ」
「はい、お水をもらえると私の体の芯から潤って気持ちいいんです。ぞうさんのじょうろもとっても可愛くて大好きです」
「そうですか.....」
「日光浴が大好きなんだって。たまにこうして見にいくと、花の上でお昼寝しててね」
「うふふ、ポカポカの太陽があったかくて気持ちいいんです~でも逆に雨の日や風の日は飛ばされそうになって怖いんです」
ツンとお花のつつきながらふふふと微笑む店長。
「花の上でお昼寝とはまた可愛らしいですね」
「そうなんだ、今日は昼から天気予報で嵐が来るらしいから店の中にこの子を避難させてあげないと」
「えぇ!?この花壇どうするんですか!?」
「大丈夫だよ。花の妖精がいるお花を植木鉢の方に植え替えて休憩室に持ってくるだけだから」
店長が全然大丈夫じゃないよ.....。
昼から来るバイトの子とかが休憩室に植木鉢があって
「どうしたんですか?この植木鉢」
「花の妖精がいるんだ」
なんて言ってたらビジュアルも相まって絶対頭おかしいと思われるよ店長。
「花の妖精は雷が怖いんだって、俺が休憩室で守ってあげないと...」
「うふふ、頼もしいわ。王子様」
いや店長雷怖いのにどうしちゃったの!?
めちゃくちゃ頼もしいんだけど!?本当、自分より弱い人がいると頼もしくなるなぁ店長は。
店長の花の妖精との対話(?)を眉をピクピクさせながら聞いていた俺。
入れ替わりで退勤前に出勤してきた張山さんが、休憩室で植木鉢の花の妖精に体育座りで話しかけている店長を見て、両手で顔を覆った。
「あれは何だ」
「花の妖精に話しかけているみたいなんです」
そんな事言えるか!!店長が完全にやばい奴認定されてしまう。
「えっと、お、俺もよくわからなくて」
こういうしかないよ俺は。俺だって何が起きてるのかよくわからないんだもの!!
「店長、何してるの」
あぁ!俺が止めるより先に聞きに行っちゃったよ!!
「あぁ、張山君。俺が愛情を込めて育てた花から花の妖精が生まれたんだ。ほら、見て」
「.....」
何も言わずに立ち尽くす張山さんの前に俺は立ちふさがる。
「見えますよね!!?花の妖精!!うわぁ!かわいいなぁ!!ね?ね?張山さん?」
張山さんは、何も言わない。
そりゃそうだ。
最初から花の妖精なんて"いない"のだから。
店長が俺に花の妖精なるものを紹介したあの瞬間から、店長はただの花にずっと話しかけていた。にこやかに、和やかなその雰囲気を壊したくなくて、困惑しながら話を合わせていたけれど、まともな第三者が指摘したら現実に戻されてしまうに違いない。
店長は店長の激務で疲れているのだろう。だから、花の妖精なんて幻覚を見てしまっているんだ。
だが、目を覚ましたら最後店長はどれだけショックを受けるだろう。あんなに楽しそうに花に話しかけていた店長が、植木鉢に心配そうに話しかけながら花をうつす店長が、花の妖精なんていない事を知ったらどれだけ悲しい顔をするだろう。
だから俺は店長に合わせることにしたんだ。張山さんも、俺に乗っかってくれ。合わせてください。いやわかってるよ困惑するのはいないものをいるものとして接するのは難しいけど、店長の為なんですよ頼みますよ。
「本当だ。すごく可愛い花の妖精だね。店長が心を込めて育てた証だ」
張山さんはいつものイケメンスマイルで店長に答えた。
張山さんには"視"えているのか!?ニッコリイケメンスマイルのまま、俺とすれ違う時俺は張山さんに小声で、
「ありがとうございます。張山さん」
「いいんだよ俺も店長が可愛...店長が嬉しそうだからね。このまま行こう。夢を見させてあげよう」
パンと二人でハイタッチをすると、俺は店長だけに"視"えている花の妖精がいるらしい植木鉢の花と店長に背を向け、退勤した。
「お疲れ様です、店長...いつも、お疲れ様です」
本日も読んでくださりありがとうございます。
私は昔から体が弱いのでよく入院してたんです。中学一年生の時、小児科にいたんですが小さい子ばかりで小児科で一番年上でした。小学生の子達の所には看護師さんや、小学生の子達と遊ぶ先生的なお姉さんやお兄さんが来てね、マットの遊び場で皆でお昼に遊びに行ったりしてて、私は中学一年生なのでその対象から外れてましてね、看護師さんも来なければ、お兄さんとお姉さんも誰も話しかけて来ず、小さい子達の楽しそうな声を病室の中で聞きながら一人で編みぐるみ(オトモダチ)をひたすら作ってました。夏に毛糸で一つ一つぬいぐるみを手作りですよ。たまに話しかけたりしてましたね。あぁ、はは涙が出そうになるよ。皆の輪の中に入っていくコミュ力がなくてですね。恥ずかしながら、暇なので一日中三人くらいカエルやネコやクマを手作りしててね。
その日は子供達と遊ぶお兄さんとお姉さん達最後の日でね、皆はありがとう会みたいなのをしてたんですよ皆で折り紙や歌を企画して、お姉さんお兄さんありがとうみたいなのが聴こえてくるんですよ病室に、いいなぁ。いいなぁ。と思いながら顔を上げたら、「あれ」とベッドの上に髪の毛が散乱してるんですよ。長い女の髪の毛。
怖くて声が出なかったですよ。
でも、どうしてこの髪の毛が私のベッドにこんなに落ちているのかそれを知った時の方が怖かったですね。ぬいぐるみを作る時毛糸を切るんですが、私は毛糸と一緒に自分の髪の毛を切ってたんですよ。編みぐるみの毛糸にも髪の毛がついてて、それにも全く気がつかず、髪の毛を切ってたんですよ。その時なんだか涙が出て来て、早く退院したいなって思いましたね。病気とかそういうのじゃなくて純粋に寂しくて。




