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深夜のコンビニバイト四十五日目 勇者パーティ再会後編

やめて!サブカルピンクゴリラの握力560のパンチで勇者の顔面を思いっきり殴られたら、異世界で顔だけはいいと言われている勇者の長所がなくなっちゃう!

お願い、死なないで勇者マック!あんたがここで倒れたら、毎回動画を楽しみにしてくれてる勇者ユーチューバーマックの異世界動画配信のチャンネル登録者はどうなるの?

まだvtuberっていう道は残ってる。それに生きてたら、不死身系ユーチューバーとしてまたやり直せるんだから!


次回──勇者死す。修羅場スタンバイ!

「いや!!死なないから!俺をなめないでいただきたい!!!」


勇者は、シュンという音と共に三人の攻撃を一瞬でかわし、俺の後ろへと隠れた。


「何!?勇者死すって頭の上にモノローグ出すのやめて!?死なないから!」


「死なないとは限らないじゃないですか。勇者だって一人の人間、死ぬ事だってあるかもしれませんよ。ごめんなさい、つい手が出てしまいました」


クレアさんがにっこり笑って黒魔術的な魔法陣を次々と展開して行く。


「よくもまぁ、ぬけぬけとサッコの前に現れたわね。このっ!三股女好き勇者!つい手が出ちゃったじゃない!」


サッコさんがハァーッと拳に熱い息を吹きかける。

ナチュラルにサッコさん自分が魔法使いって事忘れてるよな絶対拳で戦った方が強いよなこの人めちゃくちゃ面白いんだけど。


「元気そうで何よりだなぁ、勇者。つい手が出ちまったぜ」


肩をぽすぽすと赤い大剣で叩きながらにこやかに笑うアイリスさん。


「いや、皆つい、で俺を殺そうとしないで!?俺勇者だから!一応主人公的立ち位置だから!全くあぶないよねぇ!ムラオ...俺の味方はムラオだけだよぉ」


マックは俺に抱きついて頰をスリスリして来た。気色悪いやめろ。


「あらあら、女に手を出しまくった挙句、今度は新しい彼氏ができたのですか?そういう趣味に目覚めてしまったんですか...」


クレアさんは暗黒微笑を浮かべながら目が全く笑ってない。

いや汚い勘違いやめてくれますか?


「違いますよ!俺にはちゃんと恋人が」


必死の弁解をしようとしたが、


「...おい、店員...勇者と恋人同士だったのを隠してよぉ。本当はあたし達の事心の中で笑ってたんじゃねえのか?


アイリスさんに酷すぎる勘違いで遮られる。意味わかんないんだけどなんで俺とこいつが恋人同士になるの?性別を考えてくれ。


「別に男同士で付き合う事はいいと思うわよサッコは。むしろそれなら納得してあげてもいいわよサッコは。実際異世界だとそういうの普通にあるわけだから。でも問題はそこじゃないのよ。どっちが攻めなの?」


問題しかないだろ。真顔で何言ってんだこのサブカル魔法腐女子。


「罪な男だなぁ...俺って奴は」


困った困ったと首を振るマックの肩をがっしり掴んで三人に無言で差し出す。


「え?え?え?ちょっと!?ちょっとちょっと!?どうして俺を差し出すの?ねぇ、俺さっきこの三人に襲われて死にかけたんだよ!?」


「ありがとうございます。店員さん、後で懸賞金の3円をお渡ししますわ」


クレアさんが差し出されたマックの首根っこを捕まえて微笑んだ。


「ぐえっ...ひっ...懸賞金安すぎ...普通せめて千円は行かせ...」


首を押さえながら俺に手を伸ばすマックに、


「あら、まだそんな言葉が喋れるのですね。舌を引っこ抜いてかえるの子供の餌にでもしてあげましょうか」


クレアさん引くほど怖いんだけど...この人一人いれば勇者パーティ最恐なんじゃないかってくらい怖いんだけど!?


「ヒィ!なんて事言うんだよクレア!俺達は過去に愛し合った仲じゃないか!」


首根っこを掴むクレアさんの手をぎゅっと掴み力の限り叫ぶ勇者に、クレアさんは動揺したようにパッと手を離す。


「ゴホッ...ゲブォホッ...」


「な、何突然手を握って来てるんですか!変態がうつります!それに、それは過去の話ですからね、勘違いしないでください。私は今貴方のことなんて微塵も好きではないですから」


サッコさんと、アイリスさんがいつの間にか俺の隣に来ていた。


「何言ってんのよクレアったら、いつもあいつの配信見て応援コメント毎回書いてるくせに」


「本当はクレアは大好きなんだぜ、マックのこと。でも裏切られた思い出があるからどう奴と付き合っていけばいいかわからないだけでさ」


小声で俺にクレアさんの本当の気持ちを伝えたサッコさんとアイリスさんは、二人同時に真顔で俺を見た。怖っ何!?


「な、なんですか」


「サッコ達だって、そりゃ勇者の事好きだったわよ、付き合ってたし。でも三股されてあいつは憎むべき敵となったわ。それでもあいつと離れて何となくわかったのよ、あいつ自分の周りの人を皆助けたい、幸せにしたいっていっつも言ってた馬鹿だったからさ、あぁするしかあいつの頭の中にはなかったんだなって」


「あぁ、誰かを選んだらあたし達のパーティはもっと前に壊滅してただろうしさ、そういうのを考えてあいつなりに答えを出したんだなって、結果は最悪だったけどな。あいつは何が悪かったのか、あんまりわかってねぇ感じだったし」


腕を組んで真剣な表情で二人は続ける。


「サッコはそこで割り切ったわ。勇者にもらったぬいぐるみは八つ裂きにしたし、プレゼントの愛の結晶で作ったネックレスは塩と共にジュエリーボックスに埋まってる。でもね、やっぱり根本では忘れられてないんだと思うの。近くにいたら元気かどうか確認したいなって思っちゃうの」


いやサッコさん怖すぎでしょ、プレゼントを塩になんて?


「あたしも、三股された時点で割り切ったぜ。あいつの人形を作って毎日この剣の素振りの練習をしたり、あいつをプリントした抱き枕をサンドバック代わりに部屋に吊るしたり。でもやっぱりあたしも他の二人と一緒で近くにいたらどんなツラしてっかなぁって気になっちまうんだよ」


いやいやいやいや!?アイリスさんに至っては未練タラッタラじゃないか!?

何うんうんって頷きながら普通に話してんの!?サッコさんもなんで何も言わないの!?

勇者パーティ歪んでる人多すぎじゃない!?


「でも、クレアは割り切れてなかったのよね。あいつの動画を見つけたら毎日正座して見ながら応援コメントしたり、ツイッターで叩かれてたら擁護しに行ったり、ちょっとストーカーじみてやばいと思ったけどさ」


「わかるぜ。クレアだけ割り切れてなかったんだよな。あぁやって口では悪く言ってても、まだこの三人の中で唯一あのダメ男のことが好きなんだと思うぜ」


いやいや何しんみりと話してんの!?

今の話からよっぽとクレアさんの方がまともだっただろ。やばいのはサッコさんとアイリスさん以外の何者でもないだろ。何この恋愛感情を失った代わりに大切な何かを確実に失った組!?おかしいだろ!?


今の話を聞いてから勇者と口喧嘩をするクレアさんを見ると、心なしかとても楽しそうに見える。


「また四人で一緒に暮らそう。何なら一緒にユーチューバーやってもいいぞ!」


大きく手を広げて俺の胸に飛び込んでこいのポーズのマックがクレアさんに近づいていく。


「調子に乗らないでください。死んでもごめんなので、私の代わりに死んでください」


近づいてくるマックからじりじり後ずさりしながら微笑むクレアさん。


「何クレアにセクハラしようとしてんだ!変態三股野郎コラァ!サッコが空き缶のフタを開けるように560の握力で真っ二つにするってよ!」


「何言ってんのよアイリス!いくらサッコでもそんな力はないわよ!!それより勇者!クレアから離れなさーい!」


二人はクレアさんを助けに走っていく。


「あっはっは!何だよこの感じ!異世界にいた時と同じで楽しいなぁ!」


マックは心底嬉しそうに笑って三人の女性達に両手を広げて走っていった。


三人に返り討ちにあったのは言わずもがな。

動かなくなった勇者を見て、俺は静かに手を合わせた。


本日も読んでくださりありがとうございます。


昨日見たら50万PVと、10万ユニークいってましたありがとうございます。本当に嬉しいです。

今日はお休みなのですが、同僚のお姉さんが一時間くらい運動にゲーセンでmaimaiして汗かいた後温泉行こう!と誘っていただき行くことになったんですが、私体力が本当になくてですね。

maimai、太鼓の達人、一プレイ終わると肩で息をしてるんですよ。まぁこれでも小学生から中学生の頃まで太鼓を習ってたんですがね...そう、太鼓習ってたんですよ握力がなんでそれで鍛えられなかったんだっていう。

何でこんなに体力が落ちたのか、自分でもわかりませんが、温泉にも入って日々の疲れを癒してきます。お姉さんおっぱい大きいのでちょっと一緒に入るの恥ずかしいんですけどね。

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