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深夜のコンビニバイト四十一日目 桃太郎来店

昨日はお休みしましたが、今日はできたら二話更新したいなぁ、できるかな。

書きたい番外編がいくつかあって、楽しいです。

こういう話が見たいと言うのがあれば是非感想等に書いてくだされば検討します。

深夜のコンビニバイト四十一日目。


ピロリロピロリロ。


「いらっしゃ...あっ」


ふくよかな体、頭に桃とかかれたハチマキ、腰にはきびだんごとかかれた巾着袋、メガネを無駄に中指でかちゃかちゃあげながら来店してきたのは、見た目から瞬時にわかる。


この人、桃太郎だ。

犬、猿、キジはいないのか?

七月の夜はむしむしして暑い。

涼しいコンビニにこれて安心という顔でふぅーと息を吐いた桃太郎は、きょろきょろと辺りを見回した。

何かを探しているようだ。


コンビニを一通り一周、二週すると、俺の所にまっすぐ歩いてきた。


「あ、あの...あの...す、すいません...あの、その、い、いい、一番、一番くじはどこですか?」


どもっていてよく聞こえなかったけど、一番くじという言葉だけは聞こえた。


「一番くじ...あぁ、あのくじを引くとアニメのキャラクターのグッズが当たる?」


「そ...それそれ!それです。あの、今月は、その、あの七月の魔法少女プリプリハルミちゃんの..げ、限定のい、水着一番くじがその、でてるはずで、ふへふへへ」


にやにやふへふへへと笑う桃太郎に若干引きつつ、


「あっ、それでしたらレジ前にご用意してあります」


レジ前にどーんとビキニ水着の小さい女の子のフィギュアが置かれ、店長にさっき聞いたら、お年寄りに「破廉恥」だと指摘されたと困っていたっけ。


「はぁあ!!ハルミちゃん...会いたかったよぉ...ふひ、ふひひ」


ガラスケースに抱きついて、横から下から斜めから眺めた桃太郎は、


「あの...これ、あの、これとりあえず全部買います」


「全部!?」


「えっ...はい。いいですよね。お金はあるんで」


「いや、初日に全部というのは驚きましたけど、大丈夫ですよ」


よかった。これで店長の悩みも晴れるし、桃太郎も喜ぶしウィンウィンだな。


「ふへ...ふへへ」


「よかったですね」


二人でにっこり微笑んで、お会計という時に、


ピロリロピロリロ。


犬、猿、キジが物凄い勢いで来店してきた。

来店というより、飛び込んできたに近い。


「おい、テメェ...やっぱりここにいやがったか」


猿が、喋った。

いや、もう俺はおっさん犬を見ているからいちいち驚かない。


「桃ちゃん!もうこれ以上やめて!課金に、ネット通販に、一番くじに、ニートのくせにそんな事ばかりにお金使わないで!」


白い柴犬が涙を流しながら叫んだ。

もう俺はいちいち驚かないぞ。


「簡潔に言おう、死ね」


キジが、死んだ魚のような目をしてぴしゃりと言った。

いや、どんだけ嫌われてんだよ。


「う、うるせぇよ!お前ら!何しにしてんだよ!」


桃太郎は急に口うるさいお母さんに怒る引きこもりの子供みたいな口調になり、三匹を指差して叫びだす。


「おめえを止めに来たに決まってんだろうが、こちとら飯代がてめぇの課金代に消えてんだよ。そのくせこんな金にもならねえ女の為に金を使ってんじゃねぇよ。柴子が苦労してんだよ」


猿が、ハードボイルドな低い声でとんでもないことを暴露し、腕を組みながら顎で美少女フィギュアをしめした。

いやいやいや嘘だろ、この三匹の餌代ゲームの課金代にしてんの、この人。クズなの。


「もう、いいのよ...猿男ちゃん。わたしの餌をまた減らせばええんや。でも、桃ちゃん、わたしは桃ちゃんのこれからが心配。今はおばあさんが実家から送ってくれるきびだんごを桃太郎じるしのこびだんごとしてネット販売してるけど、売り上げも落ちてきとるし...」


安心するおばちゃんの声の白い犬は、またまた衝撃の事実を明かした。

何、こいつおばあさんが送ってくれるきびだんごネット販売してお金稼いでその金を課金代にしてるの?

しかもまたって、この子の餌を減らしてまでやってんの?


「簡潔に言う。今すぐ帰らねえとてめぇの脳みそ啄むぞ」


キジさんは桃太郎さんに親でも殺されたんだろうか。

めちゃくちゃグロいこと言ってるけど。


「嫌だ!俺がどんだけこのフィギュアを楽しみにしてたと思ってんだよ!昼に行くと人がいっぱいいるしお前らにバレると思って深夜に来たのに!俺は絶対ハルミャン手に入れてやるんだからな!」


ガラスケースに抱きついて叫ぶ桃太郎。

三匹は桃太郎を囲んで、説得を始めた。


「その女がおめぇに何かしてくれるのか?金の無駄だってまだ気づかねえのか?」


猿男の言葉に桃太郎は激高する。


「ふざけてんじゃねぇ!!ハルミャンは、天使だ!神様だ!俺の女神だ!お金なんて関係ない!そこに真実の愛があれば関係ないんだ!!」


「落ち着いて、桃ちゃん。あのね、わたし達は別に桃ちゃんの趣味を否定したいわけじゃあないんよ。わたし達は桃ちゃんがこれからお金の使い道のわからん大人になっていかんように心配しとるんよ?」


「うるせぇババァ!」


「何ゆうとんの。ババァやないでしょ!柴おばちゃんでしょ!」


ちょっと口うるさいお母ちゃんと引きこもりの会話を聞いているみたいだ。


「簡潔に言う。てめぇ...柴子さんがどんだけ苦労してると思ってんだ、テメェみたいなヒキニートクズ野郎の為に家計簿つけたり、自分の食費削ったりしてんだぞ。ミミズ以下だな。ついばむ価値もねえよテメェは」


いや全然簡潔になってないキジさん。

殺意剥き出しなんだけど、来店当初から殺意やばすぎるんだけど。


「てめぇらには俺の気持ちなんてわかんねえんだろうな!就職したってコミュ障のせいで失敗してよぉ!特技が鬼退治なんて言っても企業はとってくれねえんだよ!世知辛い世の中だぜ!あんだけ俺を英雄扱いした日本は、今じゃ俺を雇ってもくれねぇんだ!」


涙で顔をぐしゃぐしゃにする桃太郎。

世知辛い世の中だよな、わかるけど。わかるけど...。


「簡潔に言う。雇われない自分が何故雇われないのか自分のそのだらしねえ体を見つめ直し、腐った脳みそで考えてみろ」


キジさん、相変わらず一言一言が必殺技というか、キレッキレなんだよな。


「俺は、一人ぼっちなんだよぉ、これしか!この趣味しか!拠り所がねえんだよ!俺にはハルミャンしかいねぇんだよ!二次元のロリっ子は優しくて可愛くて、天使なんだよぉ!」


「桃ちゃん、あんたは一人ぼっちなんかやない!わたしらがついとるよ。一緒に鬼退治した、旅したわたしらがついとるよ。そんなん二次元に逃げんと、わたしらと一緒に楽しく暮らそうよ」


柴おかんは、目に涙を溜めながら一生懸命だ。


「...うわぁぁん、俺は友達だっていねぇし!クズだって俺だってわかってるけどさぁ!だって!俺だって辛かったんだもん!逃げ道が欲しかったんだもん!うわぁあん!」


大の大人が、コンビニの一番くじのガラスケース前で上を向いて大泣きを始めた。


「ったく、図体ばっかりでかくなりやがってよぉ。人様の迷惑も考えろってんだぜ。すまねぇな兄ちゃん。すぐ連れて帰るからよ」


猿男が、俺をチラッと見て優しい声で言った。

なんだかんだ、愛されてるんだな、桃太郎は。三匹に一生懸命桃太郎に変わってほしいからこうして言っているんだ。

それがよくわかる。

正直、三匹の苦労を考えて桃太郎はクズだと思っていたけれど、桃太郎も本当は寂しくて、一人で、悩んだ末に苦しんだ末に二次元に走ってしまったんだろう。


「ほら、帰ろう桃ちゃん。皆で桃缶分けて食べよ。桃ちゃんには一個多くあげるから」


桃太郎は、しゅんと俯いてしばらく黙った後、


「そうだよな...ごめんな。ありがとう。皆、俺勘違いしてた。皆は俺のこと考えてずっと言ってくれてたのに、俺ってば自分のことばっかで、ごめん。俺みたいなクズのこと、親身にこうして支えてくれる皆のこと、俺大好きだからさ」


桃太郎は、皆の言葉が効いたようでフッと微笑んで、メガネをかちゃりとあげた。


「ったく、世話がやけるな相変わらずよぉ」


「桃ちゃん...わたしの言葉、やっと通じたんやね、ほな早く帰ろう!」


「簡潔に言う。帰らねえと殺す」


「いでっ!!キジ松!後ろから頭をつっつくなよ!勘弁してくれよぉ、もう」


泣きそうな声で頭を抑える桃太郎は、そのままキジさんに頭を突かれながら前に進む。


俺のレジを横切りながら、桃太郎は


「わかったよお!帰るよぉ」


と大きな声で叫んだ。

俺のレジを通る時、


「ちょっと待った!店員さんに聞きたいことがあるんだよね。これちょっと見てくれる?コンビニのこの商品なんだけどさぁ!」


わざとらしく俺の前で立ち止まりポケットからスマホを取り出し操作した桃太郎は、俺の目の前にスマホを差し出した。


『こいつらの目を盗んでまた必ず来る。それまで俺のハルミャンを見張ってて』


画面の文字を見て俺は息を飲んだ。


「そ、それじゃ、店員さん。もう会うことはないと思いますけど...ふへ」


「当たり前だっつーの!こんなくじにもう金使わせねえからな!」


猿男さんに、叱られながら三匹プラス桃太郎さんは、コンビニを去った。

桃太郎さんの、コンビニを出る前に俺を振り返って力強い瞳で見つめたあの目を俺は忘れられない。絶対にまた来る。


桃太郎はこれからも全く自分を変える気はないんだろうな...三匹が可哀想だから桃太郎が次に来る前にフィギュア売れないかな、なんて思いながら俺は頬杖をついて水着フィギュアを眺めた。


本日も読んでくださりありがとうございます。


私が、中学の時小説を書き始めたのは好きな人の影響もあって、私は感想でバイとか高校だとレズを疑われていましたが、普通に男性が好きなんですよ。初恋の人はまぁ言うの恥ずかしいんですが、中二病でオタクで、ラノベを書いていて、友達が少なくてとっても可愛いんです。

材木座義輝っていうんですけど、俺の青春ラブコメは間違っているという作品に出てくるキャラで彼が私の初恋の相手でしたね。アニメで彼の出る話を毎日見ないと気が済まないくらい好きでした。二番目は監獄学園の三国志オタクのガクトで、三番目はハイスクールオブザデッドの銃オタクのコウタです。要するにオタクの方が好きなんですよね。好きな事を楽しそうに語る姿にときめいてしまいます。高校の友達にはデブ専キモ専と言われましたが、私はそれでも彼らを愛してますね。

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