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夜の國  作者: 帝
6/19

VS八代 前編

その公園に、そいつは──『復讐者(リベンジャー)』と呼ばれる2人目のマンイーター、八代はいた。

厳格な面構えで腕を組み、仁王立ちをして僕を睨みつけていた。

「来たな。──少年よ。」

その呼び掛けに僕は応えることもなく、無言で歩き、やがてある一点で立ち止まる。


「それじゃあ、始めようぜ」

僕は言う。

「ああ、終わらそう」

八代は言う。

再び、化物と化物の死闘が始まった──!


僕は考える。

大丈夫、今回も舞台は公園だ。つまり砂鉄不足に困ることは無い、絶好の場所。

出雲と対峙した時と同様、脚に装甲を作ってスピードを加速させることも考えたのだが、あれはダメだ。元々、僕はマンイーターとして人間を逸脱したレベルのスピードは持っているのに、それを磁力でブーストしたら、恐らく制御が格段に難しくなるだろう。故に、加速装甲は好機の時のみ。まずは、武器だ──!


意識を集中させ、砂鉄を集めて太刀を作ろうとする。

したのだが。

「!?」

その瞬間、八代から巨木のような拳が飛んできた。

まともにそれを喰らってしまった僕は、血を吐きながら遥か遠くまで吹っ飛ばされる。

「ぐうっ……!」

なんだ、今、何が起こった?

いや、むしろ──。

「何も起こらなかった」のだ。

砂鉄を操ることが出来なかった。

いつもやっているように集中しても、少しも砂鉄は反応しなかった。

「どうした、少年──鉄の人喰いッ!」

獣のような迫力満点の叫びと共に、二撃目が飛んでくる。

僕は先程、こいつの拳を「巨木のような」と形容したが、それは間違っていた。

間違っていたし、正しかったのだ。

八代の腕が、巨大な樹の幹に変身している。

「人喰いなんて呼び方をするんじゃねえよ!!」

僕は叫びながら、とにかく逃げ回る。

といっても、やつは巨大樹で作られた拳で──つまり格闘技で戦闘するのだ。身体能力は相当高いはず──逃げ切れるか!?


「クソォッ!」

僕はありったけの脚力を駆動させて跳び回るが、八代に仕留められるのも、正直、時間の問題だった。

八代は出雲と同じような巨大な体躯の癖に、僕とほぼ同じ速度で駆け回っている。

どうする──!

武器が無いんじゃ、意味がねぇッ────!


八代が拳を巨木にしていたのを見て、僕は思う。

あいつは恐らく、植物を操るのだろう。そしてその能力と、やつ自身の戦闘能力の相性…

良すぎるっ…!



そして『植物を操る』という能力…多分それは…!

瞬間、僕の予期していた最悪の事態が起こった。

奴はその怪力で地面を殴りつけたかと思えば、地面にできた亀裂から、無数の『植物の蔓』が僕を追いかけて伸びてくる。

マジかよ。

しゅるしゅると伸び続けるその蔓は、やがて僕の体を捕らえ、ついに縛り上げた。


ゆっくりとこちらへ歩み寄りながら、八代は言う。

「なあ、少年よ。お前はマンイーターになったばかりで、何を思った?」

………。

復讐者。

やつだって、怪物の力に対して、思うところはあるはずなのだ。「復讐」なんて銘打って戦闘を続けるわけだしな。

「──動揺したし、混乱したし、困惑したし、後悔したし、悲観したし、絶望したし………」

蔓の中で必死にもがきながら、それでも冷静に僕は応える。こんな時でも、まだ砂鉄は反応しない。そしてそのまま言葉を続ける。

「正直、死んでしまえたら、楽だろうなって思ったよ。」


……………………………………………………………………………。

言ってしまった。

この事だけは、考えたくも無かったのに。

「私もそうだったよ…。かつて人間だった私は、愛する娘を守って、死にかけた。」

しかし、あろうことか怪物になってしまった。そう八代は続けた。

「その規格外なる力が、多くの人に疎まれた。恐れられた。……畏れられてしまったのだ。娘からも────『近寄るな』と、包丁を向けられたよ。まるで、得体の知れない怪物でも見るような目でな。」

一呼吸置いて、さらに話す。

「少年──お前もそうなのだろう?尋常ならざる力を得て、苦痛なのだろう?良いことなぞ、何一つも無かっただろう?」


「──だから、解放してやろう」


「──その苦痛に塗れた人生から。」


そして、片腕を樹木の怜悧な刀に変形させた八代は、僕の腹を目がけて、一直線に、









──貫いた。

八代さんも悲しい過去がありました。

頑張ってバトルシーン書きます。よろしくね。

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