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姫と海賊  作者: ベイリー
10/10

男の正体

夕日を受けた海が、素晴らしい景色を見せる。

その海の上に二隻の海賊船が横並びに進んでいた。


「いやーそれにしても」

キロックが帰りの船の上で船長に話しかける。

「本当にひやひやしましたぜ。私はついついもう終わりかと……!」

「まあ、俺も途中まではそう思った」

船長は腕組みをしながら言う。

「そうですよ船長」

トムもその会話に入る。

「あの時どうして素早く船を調達できたんですか?

……いくら潜入しても、皆さんを救助しつつ反攻に出るなんて普通できませんよ」

「ああ、それはだな……」

そう言って船長は、近くの乗組員を連れてくる。

フードを被った男……。トロイヤの街で不思議な会話を交わした彼だった。

「……どちらさまで?」

キロックは船長に聞く。するとフードの男は不敵な笑みを見せながら答えた。

「元シンバ海賊団の参謀、ジャズと申します。その節はどうも」

そう言って彼はフードをとってこちらに会釈した。

船長はみんなにその時の状況を説明した。

「こいつは潜入して言った俺たちにこう言った。『あなたの仲間と海軍の兵は既に敵船を奪いに行っています。あなたも急いで敵の船を。敵の指揮官ザジは軍艦を出航させ、船であなた達を叩き潰す気です。避難は私と数名の部下に任せて早く』とな」


「そういうことです」

トムはなんだぁと言うとその場にへたれこんだ。

「それだとなんですかい。俺たちはこいつの手のひらで踊らされていただけだったんですかい?」

「それは捉え方によりますねぇ」

ジャズはククッと笑った。

「まあどのみち俺たちはジャズのおかげで助かったんだ。一応礼は言うべきだろう」

船長の言葉にみんなは静かに頭を下げた。

「でも、なんで俺たちに味方したんだ?」

ケネディ小隊長が果物をかじりながら聞く。

「実は、やつをギャフンと言わせたかったんですよ。

……シンバ海賊団は手柄をとったものが上へ立つ。そして、上の者へは逆らえない。

あいつは態度が悪かったんで、少し目にものを見せてやりたかったんですよ」

そういうとジャズは船長に向き直った。

「しかし、これで俺もシンバさんの元へは帰れませんねぇ。もしよければ、ここにいてもよろしいですか?」

「……好きにするといい」

船長は笑いながらそう言った。


そんな事をしていると、隣の船から声が聞こえてきた。

「お父様……!」

リラがアルテ国の王にすがりつく。

王はよしよしと、崩れ落ちたリラの頭をなでた。


「よかったですね、船長」

キロックは船長に話しかける。船長は「うむ」と答えた。


リラの横には少年……ラングの姿もあった。

ラングは大きく手を振り、船長たちに満面の笑顔を見せたのだった。


第一部は終了です。そのうち後日談も書きます(笑)

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