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目覚め


きっかけはいわゆる地方の2流大学に入学してしばらく経った19才程こなったあたりであったと思う。

その当時の僕は大学生が経験するであろうあらゆる事を貪欲に欲していた。

理由としては単純で「書を捨てよ、町に出よう。」のフレーズに影響されたというだけで特に深い理由は無かった。

時々、問われてこの理由を応答していたが、勿論って言うのも何だがその当時は原書は読んで無かったし、このフレーズを連呼する僕は馬鹿のように見えたんだと今なら思う。


当時は彼女もいるし、飲み会もあるしで年中金欠だったのでスーパーでアルバイトをしていた。

仕事の内容は品切れにならないように商品を補充する品出しって仕事だった。

僕は品出しって言葉をその時初めて聞いたので驚いた記憶がある。

商品の補充って言葉の方が分かりやすいしその単語を使う必要があるんだろうかとの素朴な疑問も含んでいた。


その後、大学のサークルでの飲み会でその疑問は解けた。

別のスーパーで働いていたサークルの奴が言うにはそいつが働いていた店では品出しの仕事の内容は商品の補充の他に賞味期限の確認や賞味期限間近の商品を売り切る為の値引きまでを含んでいるらしい。

納得して、僕の仕事を采配していた30代の良い匂い(香りでは無く、匂いってのが重要なのは分かってくれ。)のする奥様って感じの人にこのことを伝えたが他所は他所、家は家だしねって言われた。


この時にかなりの衝撃を受けたのを今でも覚えている。

同一の言語を話す人の間でその人の経験、環境によって受け取りが違う可能性に初めて気付いたのだ。


確かに考えてみると本音と建て前のように言葉があらゆることを説明しているわけではない。

ワイドショーで政治家の発言の裏には…と言うが、この発言からは政治家が真意を言わなかったらコメンテーターが真意を類推しているようにもとれるし、政治家は真意を通常話さないようにもとれる。


これを纏めると言葉単体であれこれ考えるのでは用をなさないってことだ。

言葉を発する人の歩んできた人生、その時の環境、状況等踏まえて初めてその人が発する言葉を類推できる。



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