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A-2. 銃使い、町に到着する その3

前の方で書いたやつと若干違うけど引っ張られちゃいますね。

次はBの2ですね。

「私たちはリュエンドクライムという世界を作った女神によって召喚されたものだ。あの世界の原住民(ひと)と区別をつけるために異界種(こう)呼ばれることになった」

 男——ラゥガンはセイジの話に耳を傾ける。三十年ほど前に突如異世界から現れたものたち。それが何故か一人ここにいる。彼が酒場に入った時のあまりにも異様な気配に、室内にいた者たちは愕然(がくぜん)としたのをラゥガンは思い出した。横にカーラが、人一倍警戒心の強い少女がそばにいなければ武器を抜いた者が出たかもしれない。だから、セイジがこの世界のものではないと言われた時、ラゥガンはすぐに納得できたのだ。

「そのリュエンドクライムってのは何だ?」

「世界の名であり、大陸の名だ。あの世界の陸地はリュエンドクライムだけだと聞いている」

「知らねぇな。この町やウィトシア森林の何覚えは?」

「ない」

 ラゥガンとセイジは互いに知っている地名、国名を出してみたが見事なまでに一致するものがなかった。

「ギルド証、魔法はなぜかこの世界にもあるな」

「魔法士かアンタ」

「いや、銃使いだ。そういえばこの世界に銃はあるのか?」

 ラゥガンは首を横に振った。

「そういうモノがあるってのは知ってるが、この大陸にはない。オレらの先祖がこの大陸にたどり着いたときに職人がいなかったのか銃を作る技術は失われたそうだ」

 数百年ほど前まで、この大陸——ストロントに人はいなかったとラゥガンはセイジに説明した。大災害と呼ばれるものが発生し、一部の人々は住処を捨て新天地を求めた。なんとかこの大陸にたどり着いたのが、ラゥガンたちの先祖だ。

「そっちの世界がどうかは知らねぇが冒険者ってのは、開拓者兼傭兵の総称だ。開拓の必要の無くなった今は傭兵や商人の護衛とか、冒険って言葉とは無縁の職だな」

「こちらとは随分と違うな」

 他にも何か共通点がないか、ラゥガンとセイジは情報を出し合う。技術面でリュエンドクライムは、この世界の大災害前にあたる水準であることがわかった。また、意外な共通点が見つかった。

「リュエンドクライムには四つの種族が存在している。『人種』『夜種』『魔種』『竜種』だ」

「それはこっちと一緒だな」

 ()と呼ぶ生き物がほぼ同じものだったのだ。それぞれの種の特徴もラゥガンとセイジの認識で一致している。

「異界種は竜種と敵対関係にあったが、この世界ではどうだった?」

「……なんだと?」

 セイジの言葉にラゥガンは固まる。

「女神が異界種を召喚した理由は、竜種の神たる『白竜』の討伐だったんだ」

「リュエンドクライムの話だよな」

「ああ、そうだ。あの世界での話だ」

 顔色の悪いラゥガンの様子に、セイジは今後竜種に出会ったとしても敵対しないことにした。そもそもゲームでもセイジの実力では勝てない相手だった。喧嘩を売って無事ですむわけがない。

「私はこの世界のリュエンドクライムは同じものとは思っていない。だから敵対はしない」

「そ、そうか」

 ほっとした様子のラゥガンを見て、セイジは言葉を続けた。

「ただこれは私の考えに過ぎない。他の異界種が敵対しないとは限らん。ギルド証を見る限り異界種を判別する手段はあるようだ。早めの認識のすり合わせが必要だろう」

「そう、だな。アンタのことを他のギルドに伝えてもいいか?」

「かまわない。何も知らずにやらかすよりもよっぽど良い」

 そこまで話し、二人は息を吐いた。ラゥガンは頭を抱える。

「こう、なんつーか長くなりそうだな。また今度話をいいか?」

「ああ」

「もう遅いですしね」

 セイジの横から聞こえた声に二人は固まった。カーラがいることをすっかり忘れていたのだ。

「あー、カーラ。ほっといてすまん」

「大丈夫です。セイジさんの話は内緒にしてた方がいいですか?」

 こてんと首をかしげたカーラを見て、ラゥガンはどうなんだとセイジに聞く。

「別に話してもかまわない。いや、私が常識外れな行動をする可能性がある以上、知っていて貰った方が良いかもしれん」

「じゃあ、セイジさん。一緒に宿屋に行きましょうか」

 町に着いたのが日暮れ直前、宿を探す時間もないだろう。宿屋の娘のカーラがいることをセイジは感謝したのだった。


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