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A-4. 銃使い、職を探す その2

狩人ABC出したかっただけ。

次はBパート、数話分Bパートにするかもしれません。

 それから数日が経過した。狩人の仕事はローテーションを組んで行動しているため、セイジと顔合わせした狩人の番が来るまで待機という形になった。そのため、時間が出来たセイジは冒険者ギルドへ赴いた。目的はギルド横の酒場ではない。

「冒険者ギルドのルール、ねぇ」

 この世界のものではないセイジには常識がない。それはゲームで冒険者をしていたとしても、この世界の冒険者のルールを知らないということだ。

「どんな仕事をしているかは説明したはずだが」

「違反等のやってはいけないことを知らなくてな」

「あー」

 ラゥガンは合点がいったとばかりに頷いた。セイジの見た目年齢が下手に高いせいか、その説明を忘れていたのだ。ラゥガンはカウンターの奥へ引っ込み一冊の本と薄い木の板の束を持ってきた。

「紙は高価なんでこっちしか売れねぇ、本は貸し出ししかしねぇから必要なもんだけ木版(こいつ)に写してくれ」

 受け取ったセイジは困惑した。ラゥガンの話から製紙技術はあるが高価で手に入りづらいということがわかった。ぱらりとめくった本は手書きとは違った(ゆが)みのない文字が並んでいる。印刷技術があるということだ。以前話に出た大災害なるもの、それより前に作成されたものをだとラゥガンが答えた。その答えに納得したセイジは本を閉じ、固まった。

(地の陰と海の陽が(めぐ)る?)

 本の表面を見てセイジが首をかしげる。文字を読んだわけではない。セイジはそれが見えた場所を手でなぞる。

(わからない? いや、なんでわかる(・・・)? 腐食を防ぐ術式。維持のため術式部には銀が織り込まれているのか)

「セイジ、どうした?」

「……いや、気にしないでくれ」

 セイジは混乱していた。セイジが持つゲームの記憶が正しければ、そんなもの知るわけがない。セイジは眉間を指で押さえる。思い出すなと、脳内に警鐘(けいしょう)(ひび)く。セイジとして生きるのであれば、それは考える必要がないと、だ。

 セイジはラゥガンに礼を言い、近くの机へと移動した。早速目を通し始める。

(リュエンドクライムの文字って読めなかったよな。こっちの世界の文字は読めるってありがたいけど釈然(しゃくぜん)としないなぁ)

「セイジ、アンタ字ぃきたねぇな」

「書き慣れていないんだ」

 それ以上に書けていることがセイジとしてはおかしいことなのだが、口には出さないことにした。出来るに越したことはないのだから。


「どうフォローするか、ですかー」

「アレじゃあな」

「どうなるかね」

 セイジのフォロー役に回ることになった狩人。先日髭で喧嘩した三人のセイジよりやや若い男たちだ。猫背で無精髭のアイキー、熊のように大きく髭がびっしりと生えたベネディクト、狐目のチョビ髭なチャールズだ。

 彼らはどうするか考えていた。セイジは近くにいるだけでわかってしまうような、妙な気配を発している。そんな状態で獲物を刈ることなど出来るのか、という問題があるのだ。

「本人は気づいてないでしょうねー」

「気づいてたら、今ダダ漏れなってねぇんじゃねぇか?」

「だろうね」

 しかし、困ったことにセイジを狩りに連れて行く当日だ。いや、今セイジを連れ森にいる状態だ。彼らはやや遠くで辺りを見渡しているセイジを眺めながら、小声でやりとりを続ける。

「アイキー、ベネディクト、チャールズ……、あっちに狼がいるのだが」

 セイジの放った言葉に三人は黙り込む。

「見えないですよ?」

「確かに木々が邪魔で視界には入らないが」

 チャールズのつぶやきに対し、何のこともないと言わんばかりにセイジは返した。そして、狩る対象と聞いている狼の方に向け移動を始める。三人は関心した。セイジは音を立てない。気配で全部台無しにはしているが、狩人としての基本は押さえているようだ。

 セイジに先導される形で三人はある方角へ進む。と、そこでセイジが急に走り出した。慌てて三人が追いかけ視界が開けると、セイジが狼を短剣で切り裂く様が見えた。あっという間に戦いは終わっていた。

(何であの気配に気づかないんだ!?)

 そのときの三人の心は一つになっていた。その後三人が固まって行動しなくてもよいとして、アイキーとセイジ、ベネディクトとチャールズの組み合わせだ。どんな理由であれ、セイジは狩ることができる。

 二人と離れたベネディクトとチャールズは、すぐにセイジが問題なく狩りを出来た理由に思い至った。少しでも離れた場所へ行けば、あの気配を感じないのだ。原因がわかりすっきりした二人は、さっさと狩りを続行することにした。

 一方アイキーとセイジ。アイキーが弦を引き絞る。放った矢は角のない鹿のような生物の脳天に突き刺さった。

「見事な腕だな」

「まあ、これくらいできないとね」

 褒められて嬉しいのか、心なしか声が弾んでいる。この町の狩人は大体が弓を扱える。そこそこの腕のアイキーに対し、そんな反応をするものはいないのだ。

「そういえば、きみの銃というのは使わないのか?」

「大きな音が鳴る飛び道具なんだ」

「それでは確かに使えないね」

 アイキーはセイジの戦いぶりを見ていた。投げナイフや短剣といった軽い武器を使う。外皮の柔らかい獣の多いこの森ならば十分通用するであろう。弓矢では貫通しないような生物が現れれば、アイキー自身もそうだがセイジも太刀打ち出来ない可能性が高い。

(ガガダーラがボクらにつけたのは、同レベルだからからかな)

 それから、二時間後にセイジと狩人たちは合流した。討伐対象の数は満たしている。一切を放っておけば人に被害が出る。だが狩りすぎても同様のこと。生態バランスを崩さないために行っていることだ。

 時間的には少し早いが、四人は町へ帰還するのであった。そして、狩人三人組の報告からセイジは正式に狩人ギルドの手伝いという仕事を得ることが出来たのだった。

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