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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第二章 冒険者と仲間
91/303

88.長い夜の始まり3

戦闘が続く!

と、思いきや……

 廊下に出たシュウとティアリスは素早く廊下を横切り、反対側の壁にに背を付ける。

 シュウはクランとリンの部屋の前まで来ると再度ティアリスに目配せをして、扉を開けて突入した。


 中はリンを背後に庇った状態で剣と短剣を交差させた状態のクランと襲撃者の姿があった。

 シュウは突入して、まずティアリスを扉の近くの壁際に導く。

 そのままクランを追い詰めている襲撃者の背後に詰め寄る。

 しかし、襲撃者はシュウ達が突入してきたことに驚いた様子だったが、詰め寄るシュウに気付くと短剣をクランから引き戻し、シュウに振り返りつつ牽制する。

 シュウは短剣の前に足を止めつつ、丸腰で部屋を飛び出してきてしまったことを悔やむ。

 襲撃者は足を止めたシュウを見ると部屋を見渡し、窓に駆け寄って枠に手をかけて飛び降りた。

(判断が早い!)

 シュウは急いで窓に駆け寄って外に目を凝らすが、まだ真夜中の街並みは暗く黒装束の襲撃者を見つけることができなかった。

(飛び降りてそんなに間もなかったのに!)

『予測。

 スキルの使用』

(そうか、スキルか……。

 僕の部屋で急に出てきた感じがしたのもスキルか……)

『マスターの気配察知以上の熟練度と予想』

(そうか。

 そんなところまでゲームみたいだな)

 シュウがアルテとスキルの話をしつつ窓の外を警戒していると、

「クラン、大丈夫!?」

 リンがクランに声をかけているのが聞こえてきた。

 シュウが窓の外から視線を戻すと、クランが膝を付いて肩で息をしている。

「ハァハァ。

 大丈夫。

 かすり傷だ」

 クランをよく見ると、服が所々裂けていて血が滲んでいる。

 顔の頬も切り裂かれて血が垂れている。

「えっと、えっと。

 待って。

 今治すから」

 リンが慌てながら治癒術を試みようとしている。

「えっと。

 早く早く」

 涙目になりながら手をクランにかざしているが、魔力が集まる気配がない。

 そこに、ティアリスが駆けよった。

「落ち着いて。

 ここは私がやるわ」

 ティアリスがクランに手をかざす。

「ヒール」

 クランの身体が優しい光に包まれる。

 顔の頬に見えた傷が塞がっていく。

「ありがとうございます」

 クランが手の甲で頬を垂れていた血を拭う。

「何だったんですか?

 あいつは?」

 クランがシュウに尋ねてくる。

「わからない。

 僕達も襲われたんだ。

 みんなの所に来たと言うと無差別か……」

「ビアンゼさんとリームちゃんは!?」

 シュウの言葉を聞いたリンが、ここにいない宿の二人を心配する。

「見に行こう。

 あいつらの目的が何なのかわからない以上ビアンゼさん達も襲われてるかもしれない」

 シュウは窓から扉の前に移動すると、部屋の中にいるみんなに振り返る。

 全員が無言でシュウに頷く。

 ティアリスがシュウに駆け寄る。

「クランはティアとリンを挟んで後ろを警戒してくれるかな?」

「はい」

「ティアとリンも警戒だけは怠らないようにね」

「わかったわ」

「はい」

 ティアとリンが返事をする。

 リンは壁に立てかけてあった杖を手に持ちティアリスに続く。

 その後ろにクランも続く。

「じゃ、行こう」

 扉を静かに少し開けて外の様子を伺ってから、シュウは静かに外に出る。


 宿の中は静かだ。

 客はここにいる四人。

 後は宿の住人ビアンゼとリーム。

 深夜なので周辺の家からのおともしない。

 大分慣れてきたこの宿だが真夜中の暗闇と静まり返ったこの空気で別の場所に感じてしまう。

 その中を音を立てないように慎重に歩いて行く。


 ギシッギシッ


 聞き耳を立てながら歩いているといつもは気にならない足音が耳に入る。

 シュウは忍び足に大分慣れてきたので足音も極わずかだが、後ろを付いてくる仲間はそうはいかない。

 慎重に歩いているつもりだが足音を殺しきれていない。

 先頭を歩くシュウが一階に降りる階段まで到着した。

 距離的にはそんなにないが、緊張と慎重に歩いているせいで何倍もの距離に感じた。

 階段の手前で一旦足を止めて、階下の気配を探る。

 何も聞こえない。

 後ろを振り返って、みんなの顔を見回してから頷く。

 慎重に階段を下りていく。

 階段は数段降りると踊り場になっており九十度曲がって一階に降りる。

 その踊り場まで降り、壁に背を付け階下を覗き込む。

 灯りの落とされたフロントと玄関の扉が見えた。

(む……。

 玄関の扉が少し開いてる……。

 たしか、いつもビアンゼさんが鍵をかけているはず……)

 ビアンゼは夜間に訪れる客は受け付けていないので(来るかは別問題)扉は締めてしまう。

 泊っている客が事前に遅くなると言っていると待っていてくれるらしい。

 ビアンゼのことなので言わなくても待っていてくれそうではある。

(あいつらはご丁寧にも表から入って来たのか?)

 とりあえず、思考をビアンゼ達の現状に戻す。

 たしかビアンゼ達は一階の奥に部屋がある……と、思う。

 シュウ達が部屋に戻るまでビアンゼは起きているので部屋に戻るところを見たことが無い。

 けれど、リ-ムが眠そうにして部屋に戻ると奥の部屋に入っていくのを見たことがあるので、そちらに向かってみる。


 食堂を横切り、奥に続く扉の前まで移動する。

 この扉がリームが入って行くのを見た扉だ。

 壁に背を付け、扉越しに気配を伺う。

 すると、扉の奥からこちらに向かってくる気配を感じる。

 シュウは背後に揃って待っている仲間に、

「誰かこっちに来る」

 と、小声で伝える。

 後ろの仲間たちの顔に緊張が走るのがわかった。

 向こう側に気配が近づいたタイミングで扉を開けようと集中する。

(今だ!)


 ガンッ!

徐々に仲間がそろった所で次に来るのは!


ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです

それではまた~

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