74.ギルドに報告すると
先に言っておきます
戦いはありません
別の意味の戦いはあるかもしれません……
個室に入るとサーシャが受付嬢を椅子に座らせているところだった。
受付嬢はまだ目を回していて体をフラフラさせてる。
「……大丈夫ですか?」
再度シュウは受付嬢に尋ねる。
「はい~。
大丈夫です~。
少し休めば落ち着くと思いますぅ~」
頭をフラフラさせながら言われても説得力がない……。
「サーシャさん、前から思ってましたけど強いですよね?」
「え?
あ、いえ私はそんな……」
受付嬢が落ち着くまでサーシャに気になっていた質問をすることにした。
「この娘は元冒険者なんですよ。
そこそこランクも高かったんですよ」
両手をわたわたとばたつかせるサーシャの隣で受付嬢が答えを教えてくれた。
「ちょ、ちょっとドレーヌさん!?」
「むぎゅっ!?」
また、サーシャによって口を押えられる受付嬢。
(あ、ドレーヌさんって言うんだ……)
「サーシャさんやっと落ち着いてきたのに!」
「あああ、すみませんすみません」
「きゅ~……」
ドレーヌは再度目を回して椅子の背もたれに体を預けてしまった。
「なんか悪化した……?
ティア、治癒できない?」
「……ちょっと無理かな?」
冷静なティアリスも困惑顔だ。
もうフラフラというよりもピクピクと涎を垂らして痙攣しかかっている。
「見てたのが僕達だけで良かったですね……」
シュウは魔法鞄から取り出した清潔なハンカチで涎を拭ってやった。
「……お嫁に行けなかったら、シュウさんに責任取ってもらお」
目を回しながらドレーヌが呟くと、なぜかニ方向からプレッシャーが立ち昇る。
「僕は関係ないんじゃ……
それはそうと、はいこれクエストの依頼だったキリア草です」
このままだと話が進みそうになかったので魔法鞄からキリア草をまとめた麻袋を取り出して机に置く。
プレッシャーを発していた二人もプレッシャーを抑えてくれた。
一体何が原因だったのか。
「確認します」
サーシャが麻袋を手に取り、口を開けてキリア草を一束取り出す。
「確かにキリア草ですね。
品質も高そうなので、追加報酬が出ると思います!」
麻袋の中身が品質の高そうなキリア草だったことにサーシャが満足して答えてくれる。
「品質は高品質ですね。
追加報酬確定です」
目を回していたドレーヌがいつの間にか回復して、サーシャが手に持つキリア草を見つめている。
「サーシャ、あなたも鑑定のスキルをそろそろ鍛えないと」
「意識はしてるんですが……。
なかなか上がってくれないんです」
受付嬢達の内輪の話をしているようで聞いててもいいのか迷ってしまう。
「……二人とも鑑定スキル持ちなの?」
シュウが迷っている所にティアリスが横から聞いてくれた。
「ギルドの受付担当になるには必須なんですよ。
元々持っているか、裏の事務をしながら覚えるかしないと受付担当になれないのです。
裏できちんとした品質等の鑑定を行いますが、受付である程度納品された物が合っているかどうかだけでも鑑定できれば納品時の確認の手間が省けますので」
内緒ですよと人差し指を口元に当ててドレーヌがギルドの受付の事情を説明してくれる。
「ドレーヌさんは鑑定スキルが高いので品質もわかるんですよ」
サーシャが自分の事のようにドレーヌの事を話している。
「サーシャも冒険者時代の知識で鑑定でわからないことを知っているでしょう?
私は薬草の品質はわかるけど、どこで採取できるか具体的にはわからないもの」
「私も最近の状況はわかりませんよ?」
二人は受付の前よりも仲がいいように感じる。
「お二人はとても仲がいいみたいですね?」
シュウは疑問に思ったことをそのまま尋ねる。
「あ、えーっと、それは……」
サーシャが目を泳がせながら質問に慌てる。
「この子が冒険者をやっていた頃に担当していたのが新人だった私なんですよ。
そして、ギルドに入ってからもそのまま教育担当みたいな間柄ですね」
なるほど、と思って聞いていると次に沸いた疑問はサーシャとドレーヌの年齢についてだったが、さすがに女性に年齢を聞くのは失礼に当たることはわかるので自重する。
と、横に座るティアリスに脇を肘で突かれた。
「……顔に出てるわよ」
ティアリスの方に顔を向けると小さく呟かれる。
何が……?と思いながら顔を正面に向けると、首を傾げながら顔は笑顔なのに目だけ笑っていないドレーヌと目が合った。
「……何かご質問でも?」
ドレーヌから尋ねられるが、首と両手をブンブン振って、
「いえ、何もないです?」
と、答える事しかできなかった。
「キリア草は十分だと思うので手続きしてもらっても?」
横から冷静な声でティアリスが手続きを進めるように促してくれる。
「あ、それとこれも確認お願いできるかしら」
そう言ってティアリスはギルドカードを机に出す。
「あなたも出して」
ティアリスがシュウに向かって言ってくるので、言われるように慌ててギルドカードを取り出してティアリスのカードの横に並べて置く。
「あら、何か駆逐対象の魔物でも狩られました?」
サーシャが二人分のギルドカードを手に取りながら尋ねてくる。
ギルドカードの詳しい仕組みはわからないけど、ギルドカードには倒した魔物等が自動で登録されていく。
そして、クエストの依頼以外でも近隣の治安を脅かすような魔物をギルドが駆逐対象として登録しており、依頼のついでに駆逐対象を討伐して追加報酬を狙うこともある。
(はて、駆逐対象の確認はこの間してもらったけど、何か狩っただろうか?)
カードを出してみたものの心当たりがないシュウは記憶を探るがヒットしない。
「昨日私が参加したパーティの暴れるロックホーンのクエストはまだ依頼出ていると思うのだけれど、そのロックホーンの対処をしたので解決にならないかしら?」
「「えっ?」」
目の前に座る二人の受付嬢が同じようなポカンとした表情になって同時に同じ言葉を揃えて口にした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
駄文ではございますが、まとめて読んで頂いた方もおられるようで
PVの数にニヤニヤしております。
大手様ではないのでそんな大きな数字ではないですが……。
一人でも読んでいる方がいると、次も頑張って書こうと元気をもらえます。
読んで頂いてる方的には二千字程の話ってどうなんですかね。
この先、余裕ができれば週二話投稿とかしてみようかな。
クオリティ落とさず、生活に無理のない範囲でですが。
皆さんの空いた時間を埋めることに貢献できれば幸いです。
寒くなってきましたのでお身体大事にお過ごしください。
ではまた~
※某人気ラノベ原作の映画を観させていただいて、あんなかっこいいバトル書いてみたいと思いましたまる




