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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第二章 冒険者と仲間
73/303

70.ロックホーン戦前編

こ、今回こそちゃんと戦いますよ!(戦うとは言ってない)


お時間ある方の時間つぶしになれば幸いです。

拙い文ですがゆっくり楽しんでください。

 シュウの言葉に手を引かれて走るティアリスは息を切らしながらも目を見開いて驚いている。

「な、なにを言ってるんですか?

 勝てるわけないでしょう!」

 シュウの提案に無理と断言する。

「ロックホーンの強さを知ってるのですか!?」

「いや、ごめん。

 知らない」

「ハァ……。

 討伐ランクはDですが、Dランクの冒険者だとパーティ必須で戦略と戦力が充実しててやっと勝率が三割いけばいい方。

 Cランクの冒険者パーティでも油断ができないモンスターです。

 聞いただけですが……」

 そんなDランクでも危ないモンスターが討伐ランクがDなのか。

 後で聞いた話だと冒険者ランクと討伐ランクは必ずしも同じではないらしい。

 それとロックホーンは魔術師が充実したパーティだと比較的楽に討伐できる。

 盾役がしっかりと食い止める事ができればの話だが……。

 もしくは囮を犠牲にして罠を仕掛け、集中砲火で倒してしまうという方法もあるようだ……。


「ランクでは到底敵わないかもしれない。

 けど、このまま走っても速度的に街まで逃げきれない」

 ティアリスもそれはわかっていた。

 シュウだけならまだ余裕もありそうで逃げ切れるかもしれないが、一緒にいるティアリスが枷となっている。

 このまま走ってももう数分と持たずスタミナが切れるだろう。

「私が残って足止め……」

「却下」

 シュウは自分が残ると提案した時の仕返しと言わんばかりの即答で返した。

「一人残って一人が助かるのは無しにしよう。

 それで、このまま走ってもティアの限界がきたらそれまで。

 だったらもう戦うしかない」

 ティアリスもわかってはいた。

 だが、どうしてもあのロックホーンに勝てるイメージができなかった。

「どうするの?

 無策に戦うのは危険すぎる相手よ」

 ただでさえランクが足りてないモンスター相手に二人はほぼ自殺行為だ。

 けれど、二人で生き残るにはこの方法しかない。

「僕が足止めをする」

「だからそれは!」

 シュウの提案を最後まで聞かずにティアリスは拒否を示す。

「まあまあ最後まで聞いて。

 僕が足止めをしてる間にティアは息を整えて、体力を戻して。

 今のままだと、息が続かなくて魔術に集中できないでしょ?」

 たしかにシュウの言う事も一理ある。

 詠唱が必要な魔術は息が整っているといないとでは発動にかかるまでの時間に大きく差ができる。

 完成度もだいぶ違ってくるだろう。

「そうだけど……。

 あなたが危険だわ」

「わかってるけど、どの道あの硬そうな鱗を突破して攻撃するにはティアの魔術が必要になる。

 だからティアは少しでも早く息を整えて魔術の準備をしてほしい」

 シュウの一番の不安は最初の一撃だろう。

 相手に追いかけられている状況で戦うにはこちらは止まる必要がある。

 相手は走っている勢いそのままで攻撃できる。

 シュウは走る先の地形を観察する。

 自分とロックホーンが戦う地形とティアが身を隠して落ち着ける場所が必要だ。

 なだらか丘を登るとその先に平坦な地形と背の高い草が生い茂る茂みが見えた。

(あそこだな)

 後ろを少し振り向くと懸命に走るティアリスとその後方を追いかけてくるロックホーンが見える。

(ん?思ったよりも追いつかれてない?

 あの体躯だともっと追いついて来ていてもいいはず……。

 逃げ切れる距離じゃないけど)

 前に視線を戻して距離と位置を再度確認する。

「ティア。

 正面に見える平地で僕がロックホーンを足止めする。

 君はその先の茂みまで走って息を整えて。

 走れる?」

「ば、馬鹿にしないで!

 走れるわ。

 たぶん……」

 実はちょっと不安なティアリスだった。

 足を止めるとしばらく動かない気がする。

「あなたはどうするの?

 足止めするって言ってもロックホーンの硬いに鱗に剣は通りにくいわ」

 自分の足の不安を隠す様にシュウに尋ねる。

「そうなんだよね。

 残念ながら見た感じまだ僕の剣技だと先に剣がダメになっちゃう。

 だけどね、剣がダメなら他で戦うよ」

 シュウが答えているうちに足止めをする平地に差し掛かった。

「じゃ、手を放すからあそこまで頑張って走って。

 さ、行って」

「あっ……。

 うん。

 ありがとう……。

 頑張って。

 お願い、無事で」

「怪我したら治癒頼むよ」

「怪我したら許さないから」

「ははっじゃ気を付けないと」

「気を付けてね……」

 ティアリスがここまで引っ張ってくれたシュウと繋いでいた右手を胸に抱くようにしてから、茂みに向かって走る。

「さ、気を引き締めて行こうか」


「斬撃系は鱗でダメ。

 突き系も同じだろうな。

 残るは余り得意ではないんだけど……」

 そう言いながら小剣を魔法鞄に仕舞う。

 そして、入れ替わりに中に仕舞っていた武器を取り出す。

「ルーツさんはこういう事態に何度も遭遇して、僕達に身をもって教えてくれたのかな」

 魔法鞄から取り出したのは長い柄の先に鉄の塊が付いた両手持ちハンマー。

 シュウが振り回せるようにメイン武器として使用している人の物よりも鉄の頭部小振りとなっている。

 異世界ファンタジーの物よりもまだ現代で見る物に近い形をしている。

 なぜならシュウの自作だからだ。

 この世界の両手持ちハンマーは本当に重い。

 新人冒険者用のハンマーでも普段から使わないと振り回せない。

 ルーツから基礎的な動き方を学んでいるが、まだ体に馴染まない。

 やはり剣とは体の使い方が違う。

「こんな不慣れな武器でクレヴァとやり合ったら一瞬でやられるな」


 ハンマーを担いでグッと重心を落として構える。

 重低音を響かせて岩のような獣が走り込んでくる。

 自慢の角を突き立てようと頭を下げて真っすぐに突っ込んでくる。

 シュウは横に飛び角を回避する。

(これだけなら回避に集中したら避けれるけど……)

 重い体の勢いを止めきれず通り過ぎて暫くしてから止まるロックホーン。

 重そうに体をこちらに向け直している。

(ここまで走ってスタミナが切れているのか……?

 野生であの体格だとまだまだ体力ありそうなのに……)

 シュウはロックホーンの動きを観察する。

 観察していると、なんと前足が持ち上がっていく。

 重そうな身体を後ろ足だけで支えている!

(あ、これは……)

 

 ストンプ


 持ち上げた前足を体重をかけてシュウに落としてくる!

 押しつぶされる前に後ろに飛ぶ。

 叩きつけられた地面が軽く揺れる。

 地面に足形の窪みができていた。

 まともに当たればひとたまりもないな。

 こんなの盾持って受け止める人いるのか?

 ストンプを避けられたロックホーンは角を左右振り回して、鋭利な角先でシュウを切り裂こうとしてくる。

 バックステップで左右から迫る角を避ける。

 痺れを切らしたロックホーンは右前足を横から振り出してきた。

 ずっと避け続けていてもこちらのスタミナが減っていくだけでいつか追い詰められてしまう。

 剣からハンマーに持ち変えた理由をみせる。

 シュウはハンマーを勢いを付けて振り上げ、迫るロックホーンを右前足を狙い打つ。

 

 ギイィィィン


 重量級のぶつかり合いで火花が散る。

 タイミングよく打ち据えたことで前足の軌道を逸らすことができた。

(よしっ)

 こっちから攻撃しても鱗で弾かれるのは目に見えてる。

 重量武器は攻撃の後の隙がでかすぎるから危なすぎるから、今みたいに攻撃に合わせて攻撃すれば隙を突かれる事がなくなる。

 攻撃と防御を同時に行うのだ。

(これで回避と迎撃に集中していれば、ティアが復帰してくれるはず。

 それまで凌ぐぞ!)


 シュウとロックホーンの持久戦が始まった。

 角や前足、時に尻尾まで振り回して攻撃してくるロックホーン。

 その攻撃を躱し、時に迎撃して微々たるものだが少しづつダメージを与えていくシュウ。

 回避だけでも集中力が必要だが、その上重量級の両手ハンマーを振り回して攻撃を迎撃するのはさらに集中が必要とした。

 

 ギイィィン

 ギィィン


 それでも、ティアリスが復帰した時に少しでも勝つ可能性を上げておきたい。

(やっぱもっと選択肢を増やすなら得意不得意言わずにちゃんと訓練しないとな!)


 ギンィィン


 何度回避と迎撃したかわからないが、シュウの額には球のように汗が噴き出している。

 また集中し過ぎていて時間の経過がわからなくなっていた。

 五分ほどしか経っていないのか、三十分以上戦っているのか。

 ティアリスの事も頭の片隅に追いやる。

 それほどロックホーンの動きを見て回避するか迎撃するかに集中していた。


 そして、待望の時が来た。

「シュウさん!」

 その声に思い切り後ろに飛ぶ。

「ファイアーボール!」

 ティアリスの魔術が発動してシュウの横を火の玉が通り過ぎてロックホーンに直撃し、爆発を起こす。

「お待たせしました」

 シュウの背後からティアリスの声がする。

 離れた位置から魔術を放つようだ。

「なんとか持ちこたえたよ!」

 背後に返事を返す。

(このロックホーンをずっと観察してたけど、やっぱりこのロックホーンはどこかおかしい。

 僕の攻撃でそんなダメージ入ってる訳じゃないのにどんどん動きが悪くなってる。

 そうでなければ、ここまで回避と迎撃が維持できるはずがない)

 ファーアーボールで生じた粉塵が風で流されていく。

 そこにはファイアーボールが直撃した部分だけ鱗がコゲたロックホーンが佇んでいる。

「やっぱり私の魔術一発だけだと倒せないか」

 ティアリスが呟くのが聞こえる。

「引き付けるから魔術をお願い。

 なるべくそっちに行かせないように頑張る」

「わかったわ」

 簡単に作戦を伝え、ロックホーンの正面に戻る。

 シュウでやっと反応できる攻撃にティアリスが反応できるか怪しい。

 攻撃を受けるのも論外だ。

 後ろに通すことはできない。

 幸いロックホーンは目の前に立つシュウに顔を向けている。

 心なしか先程よりも息遣いが荒い気がする。

 動きも緩慢で攻撃を避ける事も先程よりも簡単だ。

 迎撃に重点を置いてもいいかもしれない。

「準備できました!

 いきます!」

 ティアリスの合図に合わせて、ロックホーンの攻撃を上に弾き態勢を崩して後ろに下がる。

「ファイアーボール!」

 再度火の玉がロックホーンを襲い爆発する。

 粉塵がもうもうと立ち込める。

「これでどうかな?」

 ティアリスが呟いているけど、先程のロックホーン様子を見ているとこれでもダメな気がする。

 

 ズシンズシン


 粉塵からロックホーンが歩み出てきた。

「くっ……」

 ティアリスが悔しそうに呻く。

「ん!?

 これは!?」

ち、ちゃんと戦いました。よね?


このまま某ウィルスは収まってくれるといいんですが。

みなさんが健康にすごせますように。


それではまたね~

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