66.お宿紹介
ギルドから出てティアリスを連れて宿に帰ってきた。
シュウだけ簡単な採取クエストを受けていた。
ティアリスは毎日討伐クエストを受けているという噂は誇張で、疲れが抜けない日や装備の準備に充てる日もあるらしい。
ただ、それ以外は討伐クエストだけを受けていたようだ。
(それは毎日って言われても仕方ない頻度なんじゃないだろうか?)
シュウは心の中で思ったが口に出すのは止めた。
「あ、お兄さんもうおかえりー?」
宿の前を掃除していたリームがシュウに気付いて出迎えてくれる。
「リームちゃんただいま~。
冒険者ギルドで知り合いの冒険者さんにリームちゃんの宿の紹介頼まれたんだよ」
横にずれて後ろに隠れていたティアリスをリームに見せる。
「(……お、女の人だ……)」
ティアリスを見たリームが小さく呟いているが、シュウにはよく聞こえない。
「宿の子?」
ティアリスもリームを見て、シュウに尋ねてくる。
「うん。
そうだよ。
宿の看板娘のリームちゃん」
ティアリスにリームを紹介する。
「ティアリスよ。
一部屋お願いできるかしら?」
ティアリスは自分で名乗ってから、リームに宿の手配を頼む。
「あ、はい。
こっちです!」
リームがハッとした顔をして正気に戻ったようで宿に駆けていった。
「元気」
ティアリスが駆けていくリームを見つめながら呟く。
「ティアリスさんはまだ疲れ抜けない?」
「え?
なんで?」
「なんか口数少ないと思ってさ」
「昨日の魔力の使い過ぎでまだ戻ってないぐらいで体調はいいですよ」
魔力の回復は人によるところが多いけれど、ゲームみたいに一晩寝ると全快することはない。
ただ体を休めることで回復は早めることはできるようなので、元の魔力が少ない人は全快できる。
ティアリスは魔力の総量が多いので全快に至っていないのだろう。
ちなみにシュウは魔力の総量が少ないのか自然に戻る魔力の量が多いのかわからないが一晩寝ればスッキリしている。
そもそもシュウは魔力を感じ取れたのが最近なので、まだ魔力が全快しているかわかっていない。
魔力を使っていくと体がだるく感じるような気がするだけで、限界まで使ったことが無い。
「そっか、とりあえず宿に入ってゆっくりするといいよ」
シュウはティアリスを宿に促す。
「そうね」
ティアリスを宿に連れていき、中で待っていたビアンゼにも紹介した。
二度目のお客の紹介に嬉しそうにしてくれたが、女性だとわかった時の目が笑ってなかったような気がする。
僕は何もしてないのにひどい。
部屋に荷物を置いただけでティアリスが二階から降りてきた。
「あれ、荷物整理終わり?」
ビアンゼやリームと話していたシュウはティアリスに尋ねる。
「元々荷物少ないから。
宿を変えることもあったから、荷物は最小限なの」
「どういうこと?」
ビアンゼが事情を尋ねてきたのでティアリスを見ると、少し考えた後に頷いてきた。
(自分で話すんじゃないんだね)
「えっと、本人から聞いた話では……」
ティアリスの事情を分かる範囲で説明した。
それほど知っていることもおおくないので、わからないことはティアリス自身に説明を振る。
「なるほど。
それは大変だったね。
こんな宿でよければ好きなだけ居てくれるといいわ」
「お姉ちゃん可哀そう」
悲しそうな顔をしたリームが話を聞いてティアリスの腰に抱き着いた。
ティアリスはリームに驚いた様子だったが、ぎこちなく頭を撫でた。
「……ありがとう」
二人を見ている横でふとビアンゼを見ると顎に手を当てて、何か考え込んでいるようだった。
シュウの視線に気づくと手を戻して微笑んだ。
いつものビアンゼに戻ったようだ。
「荷物整理もないならどうする?
足りない物でも買い足してくる?」
シュウはいつの間にか撫でられて上機嫌のリームを撫でているティアリスにこの後の予定を聞く。
「買う物も無いから」
そう言って考え込むティアリス。
「じゃあ、魔力が万全じゃないなら、僕の採取クエストでも付いてくる?
採取ついでに薬草とか集めてくるけど。
暇なら」
「時々お兄ちゃんの部屋臭いんだよー」
リームがティアリスに告げ口をする。
「ひどいな!
ポーションを作る練習してるんだって!」
「布団や内装に臭いが染みつかないようにしてくださいね?」
笑顔のビアンゼが怖い。
「わ、わかってます。
ちゃんと換気をしてますから」
(臭い消す魔術ってないかな……)
『告。
マジックデオドランス。
自身や周囲の臭いを消臭する。
未修得』
(あるのか~。
覚えたい)
「ポーション作れるの?」
考え込んでいるとティアリスが尋ねてきた。
「ああ、うん。
まだ下級ポーションだけだけどね。
知り合いに錬金術師がいて、教えてもらってるんだ。
昨日、結構使って手持ち用使い切ったから部屋に置いてた予備で補充したんだけど、その分を作るのに素材を採ってきたいんだ」
「昨日……
私も行く。
採集手伝うわ」
自分の治療にポーションを使ったことを知っているティアリスは責任を感じたのか素材採集の手伝いを申し出た。
「別に昨日使ったことは気にしなくていいからね?
あれも自作だったし。
けど、することないならのんびり行こうか?」
「うん」
「はいはーい!
私も行きたーい」
「え?
リームちゃんも?」
「うん!」
「リーム、お前はだめよ。
せめて冒険者になってからにしなさい」
「えー」
「まぁまぁ、リームちゃんも冒険者になったら行こう」
ぽんぽんと頭を撫でてリームを宥める。
「さ、お姉さんから離れて。
気を付けていってきて」
ビアンゼがティアリスからリームを引きはがして、シュウとティアリスに見送る。
「ありがとう」
「はい。
行ってきます」
ティアリスとシュウが入り口に向かう。
「あ、帰ってきたら、クランとリンも紹介するよ。
僕のパーティ紹介するよ。
この宿に一緒に泊ってるんだ」
「そう」
「じゃあ、今晩は歓迎会でもしましょうか」
「わーい。
私お手伝いするね!」
「それは楽しみですね。
きっちりクエスト終わらせて帰ってこよう」
「うん」
「いってらっしゃーい!」
リームが大きく手を振って二人を送り出した。
久しぶりに宿屋親子を書いたら
口調等を忘れてた
ビアンゼの口調はおいといてもリームの口調はしっかりしておかないと…




