50.待合テーブル
今日のギルドも騒がしい。
皆どうしてそんなに大声で話し合う必要があるのだろうか。
仲間内の相談なんて聞こえる声で話せばいい。
どうして周りに聞かせるように大声で話すのか。
……まあ、独りの自分には関係ないこと。
そんな事を思いながらいつものように、パーティ募集の掲示を覗く。
掲示されている内容のものには、目に留まる募集はなかった。
そこからクエストボードに移動し、目ぼしい依頼がないか見て回る。
朝一番の冒険者たちによるクエスト争奪戦から残った依頼は、人気のない住民クエストか街の周辺の採集クエストや害獣討伐クエストぐらいであった。
自分のランクで受けられるクエストに引かれるものはなかった。
そこからギルドの片隅に設置されているテーブルに向かう。
そこには同じように一人でいる冒険者が複数いて、飲み物を飲む者、受付でもらえる簡易依頼一覧を眺めている者、武器の手入れをする者などとそれぞれが思い思いにすごしていた。
そこはパーティからの誘われ待ちをする場所だ。
誰かがそこをそういった場所に決めたかは定かではないが、いつの間にかこのギルドでは暗黙の了解となっていた。
トトッ。
クエストボードから待合テーブルに向かう間で少し足がもつれる。
転ぶほどではないが、
「……っ!」
頭を振って、しっかり足元を確認して気を引き締める。
足早に誰も座ってない空いたテーブルの一つを陣取り、窓向きに椅子に座る。
少し周りを見渡し、今躓いたことを誰かに見られてないか確認し、顔を俯ける。
鞄から少しボロボロになりつつある本を取り出し読み始める。
ポツポツと相談の終わったパーティやチームがギルドから出ていく。
そこにパーティ募集で合致した者が加わったり、待合テーブルにいる者に声を掛け手を取り合っていく様子が増えてきた。
そこに近づいてくる足音が響いた。
「おい。
あんた魔術師だな?」
声に顔を上げると、大剣を背負った野蛮そうな戦士が立っていた。
「これからモンスター討伐に行くんだが、一枚噛まないか?」
戦士が腕を組んで見下ろしながら声を掛けてきていた。
その後ろに慌てた様子の仲間と思われる軽装の戦士が、
「お、おいコイツ……」
その仲間を手を挙げて制止し、
「あんた、たしかランクはEだったよな?
俺達が受けたモンスター討伐がDランクでDランクの俺達に付いてきたら参加できるが、どうだ?」
「あんた達よりもランクが低いけど?」
「構わん。ランクなんざ下から順に上げていかなきゃならん、強い奴でもな。
だからランクの上下なんて真の強さの指標にはならん。
面倒だよなぁ。
で、どうだ?」
このままここに居ても次に声がかかるとは限らない。
そうなると低ランクのモンスター討伐に行くしかなくなる。
「わかった。
いいだろう」
「へっ。
噂はほんとだったな」
戦士はこちらを見下ろしながら言ってきた。
「噂?」
「あんたは討伐系のクエストなら断らない。ってな」
「ふん……」
本を鞄に仕舞い、椅子から立ち上がってギルドの受付へ向かう。
「お、おい。
どういうことだよ?
あいつ灰かぶりだろ?」
「ああ、そうだ。
今回のモンスターは魔術が有効だからな。
少しでも使えるやつは多い方がいい。
それに…」
背後で戦士たちの会話を聞きながら、いつもの反応にうんざりしながら歩き続ける。
投稿してから
あ、設定的に間違ってるーと気づいたところお修正しました。
きっと皆さんにはどうでもいいとこですが…
ついでにタイトルも変えました。




