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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第二章 冒険者と仲間
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47.朝の日課

 次の日、まだ完全に疲れが抜けきっていない気怠さを感じながらシュウは目を覚ました。

 なんとか購入した懐中時計で時間を確認するとだいたいいつもの時間通りのようだった。

 寝ていた服から動きやすい物に着替え部屋から出る。

 腰には魔術書をホルスターに納めている。

 そこにあることに慣れていくために、常に身に付けるようにしていた。

 時間的には陽が昇り始めた頃で、この時間に起きているのは朝食の支度を始めるビアンゼぐらいだ。

 物音を立てないように静かに外を目指す。

 

 元の世界にいた頃の軽い運動を今でも行っている。

 こちらに来てからというもの肉体労働が多いため自発的に体を鍛えなくても体が引き締まったように感じるため、朝の運動は専ら前日の疲労を発散させるために体を解す程度のものとなっていた。

 

 一旦宿の玄関から外に出て、裏に回る。

 そこには宿の裏庭が広がっていた。

 ビアンゼとリームが育てているだろう花が咲いた花壇や野菜が育った畑が隅にあり、少し剣を振っても大丈夫なほど広さがあった。

 宿の中を通ってもこちらに出てくることができるが、厨房の横を通るのでこの時間でも忙しそうにしているビアンゼの手を止めたくないと表から回るようにしていた。

 

 裏庭に到着し、疲労の抜けきっていない箇所を確認して念入りに解していく。

 厨房から漂ってくる朝食のいい匂いに胃を刺激されながら手・肩・腰・脚・足を伸ばしていく。

(ビアンゼさん、一番遅く寝てる感じなのに、一番早起きなんだよな。

 睡眠足りてるのかな?)

 この宿に最初に来た時から快活な印象で娘のリームや客である自分たちの前では疲れている顔を見せなかった。

 夜はリームを寝かし、シュウ達が部屋に戻ったあとも起きて作業をしているようだった。

 今はシュウとクランとリンの三人がお世話になっているが、経営は厳しいと思われた。

 きっと寝静まってからも何か内職をしているのではないかと感じた(気配察知で)。

(暫くお世話になってるけど、ほんと僕達以外にお客さん来ないんだよな……)

 滞在している間、常に感じている疑問だった。

(宿の中の清潔感、料理、ビアンゼさんやリームちゃんの接客にはなにも不備を感じないし……。

 ただ……)

 シュウは柔軟体操を止め、宿の壁に立てかけてあった木剣を手に取り、素振りを始めた。

 ルーツから教わった型を、何度もそれはもう真剣に。

 まるで誰かに見せて、威嚇するように……。

 暫くして素振りを止める。

 最近、クエスト中に気配察知を使うようになり制度が上がってきたのか、微かだが見られている視線を感じることができるようになっていた。

(これもお客さんが来ない理由の一つかもしれない……)

 

 この宿は監視されてる。


 誰からか、どこからかはまだ感じ取ることができない。

 朝、体を動かすのにいい場所と、この裏庭にくるようになってから、気配察知が上達し、視線を感じるるようになると、これは毎日だった。

 最初のころはビアンゼが何度も様子を伺いに来ていた。

 用事もないのに顔を出したり声を掛けてくれたりしていて不思議に思っていたが、ビアンゼは気づいているのだろう。

 シュウを護るために気を使ってくれていたのだ。

 視線に気づくようになってからは、木剣を威嚇するように振るようにした。

 ビアンゼもシュウが視線に気づいたことに気づいたのか、最初は何か言いたそうに宿の出口から見ていたが、シュウの木剣を振る雰囲気がただの素振りではないことを察し、顔を出す回数が減っていった。

 だが、いつでも飛び出せるように厨房の裏口寄りにいることはシュウも感じ取っていた。

 

 シュウは木剣を正眼に構え目を瞑った。

 気配察知に集中して視線がどこから来ているのか感じ取ろう試みてみた。

 けれど、今はもう何も感じ取れなかった。

(感じなくなったから素振りを止めたんだけど、一体どこからいつも見てんだ……?)

 目を瞑ったまま集中した状態で周囲に気を配るが厨房から感じる気配の他は特に感じなかった。


『裏の民家の陰から一人、二軒離れた民家の煙突の陰に一人。

 計二名。

 現在は移動したため確認できません。

 対象のデータに該当なし』


 不意にどこからともなく声が聞こえた。

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