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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第二章 冒険者と仲間
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40.私は無実だ!

 いつも通りにスパーンスパーンと薪を割っていたら、ゆーもういいから帰っていいよって放り出された。

 なぜだ…ちょっと離れた所でクランとリンとルーツさんとフランさんが感動的な雰囲気だな~と思って邪魔しちゃいけないと薪を割る仕事を黙々とやってただけなのに。

 今日の分が終わったとこで止められてしまった。

 そこからクランはルーツさん、リンはフランさんが剣気について指導するんだと思う。

 ルーツさんから、

「ギルドに行って、治癒術師を探してこい」

 と言われてしまった。

 ただでさえ、少ない治癒術師を探せってすごい無理難題を簡単に言われてしまった。

 さっきの話でも出てたけど、ほんと治癒術師は少ないらしい。

 いつもギルドの募集掲示板は「治癒術師募集!」が何組も貼られている。

 それも、固定から臨時まで。

 治癒術が使えるのは教会関係の人が多いらしく、その子供も遺伝かなにかで治癒術の素質がある場合が多いみたいだけどその場合もだいたい親の影響で教会に所属してしまう。

 そうならない人や別で素質が発現した人が冒険者になってくれればいいが、何パーセントいるのか……。

 うん。難しい。

 今日は普通に何か適当にクエスト受けてこよう。


 冒険者ギルドの前まで来た。

 何となくギルドの中がざわついている気がする。

 最近スカウト的な動きを心掛けているせいか、耳が良く聞こえるようになった気がするんだ。

「ん!?」

 このまま、扉というかスイングドアに向かうと危ない気がする。

 中からこちらに向かってくる足音が聞こえ、勢いよくスイングドアが開けられた。

 前にも似たことがあった気がするな~と思っていると、出てきた人も前と同じ人物だったようだ。

 以前見た灰色ローブが冒険のせいかほつれた箇所が増えている気がした。

 今回もフードを目深に被って俯き加減で行ってしまったので、顔が見えなかった。


 中に入るとギルドの中はざわつきが静まっていく一歩前といった感じで、少しざわついていた。

 クエストボードの前に依頼書を見に行くついでに、先程からここにいたと思われる先輩冒険者に何があったか尋ねてみた。

「すみません。なんかざわついてるみたいですが、何かあったんですか?」

 尋ねるシュウに気づいたのか、先輩冒険者はクエストボードから視線をシュウに向ける。

「ああ。

 いや、単なるパーティの内輪もめだよ。

 あー内輪もめとも違うか」

 何か複雑なケンカでもあったんだろうか?

「なんかな。

 臨時のパーティ募集で組んだ魔術師をそのままパーティに誘ったら、断られたみたいでな。

 まあ、そんなのはよくある話なんだが、そのパーティって言うのがな、あんま良い噂のない奴らで……。

 ほら、あのテーブルに固まってる奴らだ。

 あ、じっと見るなよ?チラッとにしとけ」

 先輩冒険者は冒険者ギルドに併設されている酒場の一画を陣取っている冒険者パーティをこっそり指差して教えてくれた。

 まだ、陽も高いのに酒がテーブルに並んでおり、テーブルに足を乗せている人もいれば、何か腹立たしそうに周りの椅子を蹴り飛ばしている奴もいた。

「お前、まだ日が浅そうだから教えといてやるけど、あいつらには関わんなよ。

 冒険者ギルドに所属はしてるが、裏ではなんかヤバい奴らとも繋がってるらしい。

 パーティランクはDなんだが、何人かはCランクでも通用する腕だとか」

 なんでそんな腕を持つ人がランクを上げずに低ランクにいるのだろうか?

 その疑問をシュウの顔から察した先輩冒険者は、声をさらに小さくしてシュウに耳打ちするように

「これも噂の域が出ない話なんだが、あいつら臨時でパーティ募集をかけて集まった新人とかをな……」

 そこで一旦言葉を切る先輩。

 

「街の外に出て殺したりするらしい」


 一瞬何を言っているのか理解できなかった。

 殺す?臨時でも仲間となった冒険者を?

 先輩冒険者の話に目を見開いて驚くシュウに、

「もちろん門の前で殺したりはしてないんだろうな。

 新人でもギリギリ受けれるような討伐系のモンスターで募集をかけて、まだ慣れてない新人に指導してやるって連れだすみたいなんだ。

 それで街からはなれたとこで何かがあって、新人だけ戻ってこないっつう話だ」

「な、なん……

 もぐむぐぐ!?」

 大声を上げかけたシュウの口を手で押さえる先輩。

「しーっ。

 静かにしろよ。

 お前の気持ちもわかる。

 こんだけ噂もあるのに、なんでギルドが動かないかだろ?」

 その先輩の問いに、口を押えられながらシュウは首を上下に振る。

「証拠がないんだとよ。

 目的の討伐モンスターにやられたとかなんとか言ってな。

 ただ、ギルドも馬鹿じゃないからこっそり監視を付けるときもあるらしいんだが、そう言うときは普通に新人を指導しているらしい」

 ここまで聞いて、先輩詳しいですね?と思っていると、

「あいつら以外のこの街がホームのチームに副ギルドマスターから忠告とこっそり依頼があったんだよ。

 新人があいつらに引っかからないようにさりげなく止めてやるのと、外で見かけたら注意してほしいってな。

 ちなみにあいつらは他所の街から流れてきたらしいがな」

 そこまで話してまだシュウの口を塞いでいた事に気づいた先輩冒険者はわりいわりいと謝りながら手を放してくれた。

「詳しく教えてもらってなんですが、どうして僕にここまで?」

 冒険者ギルドで何度か見た事のある先輩冒険者だが、話すのは今日が初めてである。

「ああ。

 お前もまだ日が浅そうだったのを思い出してな」

 その言葉に再度驚くシュウ。

「そんな驚いた顔すんなよ。

 住民クエスト君。

 クク。わるいわるい。

 だいたいの新人が来るとな。

 そこに居合わせた俺達みたいなチームを組んでる奴は有望そうなやつかチェックしてるもんなんだよ」

 なるほどなー。

 そうやって有望そうな新人がくるとスカウトするわけか。

「それで僕が冒険者になってから日もそんなに経ってないって知ってたってことですか」

「そーいうこと」

「なるほど」

「ま、それも一つなんだが」

「え?まだ理由があるんですか?」

「ああ。お前、最初は今日のひと悶着の理由を聞いてきただろ?」

 そうだった、最初はギルド内のざわつきが気になって声を掛けたんだった。

「あのパーティが誘った魔術師に振られたんですっけ」

 あの素行の悪いパーティの話で忘れそうだったが、最初はそのパーティと魔術師のもめごとが始まりだったのを頑張って引きづり出した。

「そうそう。

 で、その振った魔術師もな、最近よく噂されてるんだ。

 

 “死にたがりの灰かぶり”ってな」


「“死にたがりの灰かぶり”ですか?」

 聞いた単語をオウム返ししてしまった。

「あれ?こっちも聞いたことない?」

 先輩冒険者の質問にコクコクと頭を上下に振って応える。

「こっちはな、なんでも討伐系のクエストやモンスターばかり受けてる奴みたいでな、しかも自分のランクよりも格上をよく狙ってるようだ。

 自身はまだEランクみたいだが、Dランクのクエストや討伐にはパーティとして参加できるから募集によく乗っかるみたいだな」

「それって自分より上の人たちに……」

 シュウが思ったのは自分より上位の人たちのパーティに参加して、クエストやモンスター討伐を楽にクリアしようとしてるのではということだった。

「ああ。

 言いたいことはわかる。

 だがな、パーティ募集ってのはな、ギリギリ今のメンバーだと勝てないと思われるときに出すパーティが多い。

 だから新人を甘やかすような募集をだすチームはそんなにいない。

 あいつらみたいなのは特殊だ」

 先輩冒険者はチラッと先程のパーティに視線を向ける。

「あの“死にたがり”はそんな余裕のある募集には参加せず、本当にギリギリのクエストに参加してるみたいでな。

 しかもほぼ毎日」

「毎日!?」

 シュウは自分でも忘れているが薪割を毎日行っている。

 が、それはルーツの監督の元で行われている。

 それに、壁外クエストの間に住民クエストを程よく挟み、休日も作っている。

 それは、ルーツや周りの人の話を聞いて、体を酷使した後は体を休めることによって体をより強くできるという、所謂超回復を狙ったものだった。

「ああ。

 ギルドも休むように受付で注意するぐらいらしいな」

「先輩、ほんと詳しいっすね?」

 この先輩に声かけてよかったと心から思った。

「まあ、情報は大事だからな。

 ほんとは一杯おごってもらいたいとこだが、可愛い後輩のためだからな~。

 これからは自分でもちゃんと噂話でもなんでも気に掛けるんだぞ?」

 シュウもこれからは周りの噂話などをちゃんと聞いておこうと心に決めた。

「あの“死にたがり”に関してだが、まあ噂はだいたい合ってると思う。

 自分のランクよりも上のモンスターに挑むってやつ」

「なんでわかるんですか?」

「なんせ一度俺たちの募集にも当の本人が参加して来てな。

 俺たちのチームはそん時Eランクで、もう少しでDランク昇格クエストが受けられるってとこらだったんだ。

 そん時の募集はどうしても狩りに行かなきゃいけないモンスターがいて、そいつがEランクから個体によってはDランクにも該当するってモンスターだった。

 結果は見ての通り無事生還で、奴も俺たちの動きに引けを取らない、それどころか俺達よりも攻撃してたぐらいだったな。

 たしかに強かった。

 だけど、なんか危うい雰囲気がした気がしてな~。

 戦い終わったらやたらとフラフラしてたし、手を貸そうとしても強情に手を払ってくる始末さ。

 ま、そん時のモンスターのポイントとそのあと数回クエストに行って、チーム全員Dランクに昇格できたんだけどな」

 先輩冒険者はニカっと笑ってギルドカードを見せてくれた。

「おお~おめでとうございます!

 あ、じゃあその“死にたがり”さんも一緒に?」

「いや。あいつは討伐モンスターの一回組んだだけだな。

 そういう契約だったし。

 あいつは基本ソロで、格上とやるときにパーティに参加するみたいだな。

 あんなフラフラになるようだったら、気の置ける仲間作った方がいいと俺は思うんだけどね~」

 “死にたがり”と呼ばれた人を思い出しているのか、顎に手をやりながら先輩は話してくれた。


「おーい、リーダーそろそろ来てくれ!」

 受付に並んでいた人の方から先輩冒険者を呼ぶ声がした。

「わかった!

 悪いな。

 また今度な!」

 先輩冒険者がそちらに向かおうと、シュウに手を上げ謝ってきた。

「いえいえ、とんでもないです。

 こちらから声掛けちゃって、時間取らせちゃって。

 あ、僕シュウって言います!

 今日はいろいろありがとうございました!」

 シュウはいろいろ教えてくれた先輩にお礼を言った。

「ああ!

 俺はチーム“紅蓮の疾風”のガイだ!

 またなシュウ!」

 先輩冒険者ガイはシュウに片手を上げて、爽やかに笑って仲間の方に歩いていった。


 うーん。ランクは一つ上なだけだけど、ずいぶん心構えやら基本的なとこで差を見せつけられてしまった。

 これからは教えてもらった通り、周りの話とかも聞くようにしよう。

 あとはやっぱり仲間集めだなー。

 パーティは基本四人から六人。

 ずっと同じメンバーで活動していくのならチームを結成して、ギルドや周囲に認知されるように努力する。

 ガイがリーダーという紅蓮の疾風も遠くからだが六人パーティのようだった。

 とりあえず、サーシャさんにも相談して、ルーツさんのとこで頑張ってるクランとリンに負けないよう、僕も外のクエスト行って来ようか!

私事ではありますが、自粛も解除されつつあり、本職も再開しましたので、

また投稿が途切れないようにしたいと思いますが、どうなることか……

毎日五〇〇字でも書こうと思ったら、仕事終わりの二日目で三千字書いてて、

三日目は千字ほど書き足し。

なんとか続くといいな……

みなさんも気を緩めすぎず、お体にはお気をつけてお過ごしください。

それでは~。

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