36.二章プロローグ
ここから2章見切りスタート
冒険者ギルド。
それは普通の人々では解決が困難な様々な依頼が舞い込み、冒険者がクエストとして解決に赴く。
急を要する素材の採取、周辺に現れた凶暴なモンスターの討伐、他の街へ移動するための護衛。
依頼内容によってランク付けられ、冒険者も自分のランクに対応したクエアストを受け、解決していく。
そして、自身のランクを上げる。
それは、さらに困難な依頼を求める。上位ランクという名誉を得たい。
自分の強さを証明したい……
人によって様々な目的がある。
チーム「紅蓮の疾風」はその日、ギルドで暇を持て余していた。
同じ村からこのブランジリに出てきた幼馴染三人とこの街で出会った三人組パーティが意気投合し、チームを結成したのがつい先日。
チームの雰囲気は上々で連携も取れつつあった。
クエストも壁外での採取や討伐依頼を満遍なく受けており、あと少しで全員でDランクへの昇格クエストを受けられるといった所であった。
クエストのランクはパーティの中で一番高い人が基準となり、基準となったランクの一つ下のランクの人までが同行できる仕組みとなっている。
チーム「紅蓮の疾風」は現在メンバー全員がEランクと揃っており、このままみんなでと毎日のように乾杯していた。
だが、この日はギルドにいるメンバーは五人しかいなかった。
幼馴染三人組の一人の魔術師が熱を出して宿で休んでいるからだった。
医者に診てもらうと、先日森へ出向いたクエスト中に知らずに触れていた毒草が今朝になって発症したとのことだった。
しかも、この毒草の治癒には高度な魔術が必要で神殿の神官でも使える者は少なく高額なお布施が必要だった。
薬による治療では特殊な素材を使うため医者も常備していないと言われた。
特殊な素材は森に生息するモンスターから採ることができ、その強さはEランクからDランクの間ぐらいで、パーティ推奨。
そして、現在その特殊な素材入手するために「紅蓮の疾風」は、ギルドにてそのモンスター討伐に同行してくれる冒険者を募集しているところだった。
対象のモンスターは討伐対象というクエスト以外で倒しても、討伐証明部位をギルドに提出すると昇格ポイントに加算してくる対象だった。
だが、生息地が森の奥の方で、毒を使った特殊な攻撃によって滅多に倒そうとする者はいなかった。
ギルドの受付で現在のパーティメンバーだと危険と注意され、魔術師を募集してはどうかと提案され、現在に至る。
攻撃を受けると毒を付与される恐れがあるとのことで、近接攻撃役は不向き。
弓等による遠隔攻撃も武器の特性上、倒すのに時間がかかってしまう。
よって、遠くから高威力の魔術による攻撃が求められるモンスターだった。
その魔術を使える仲間が倒れているのがチームの悩みの種であった。
ギルドでパーティ募集の掲示がかかってもう一時間が経つ。
宿で倒れている仲間を想う幼馴染の二人がイライラと立ったり座ったりウロウロしたりと忙しない。
他のメンバーも気持ちは同じだ。
この時も少しずつ仲間は衰弱しているのだ。
苦戦は必至だが、今のメンバーで向かおうかとリーダーが思案し始めたところ。
紅蓮の疾風のメンバーが陣取っているテーブルに近づく足音がした。
「……このパーティ募集をしているのはここか?」
ローブのフードを目深にかぶり、女だとは思うが声は低く判然としなかった。
その手からギルドに提出したパーティ募集の羊皮紙がテーブルに放られた。
「ああ、そうだ。
あんたは?」
真ん中に座ったリーダーが応え、質問を返した。
他のメンバーもテーブルの周りに集まってくる。
「……魔術師が必要とのこと。
同行してやってもいい」
上からな言葉に文句を言いそうなメンバーを目で制しし、リーダーは確認をとる。
「ああ。
俺たちは魔術師を探している。
募集要項に書いた通り、あるモンスターを討伐するためだ。
よって、最低でもEランクの魔術師じゃないと断らしてもらう」
魔術師はその魔術によって詠唱が必要となり、戦う場では壁となる味方が必要だった。
そのため、ソロの魔術師は非常に珍しく、このパーティ募集で魔術師一名の募集に中々人が訪れない理由でもあった。
近づいてきたこの魔術師の着ているローブは元は高そうだが、所々ほつれてくすんだ灰色をしていた。
リーダーはパーティが組めずにクエストを受けられず装備を更新できない新米だと心配したのだが、
「……問題ない」
不意に持ち上げられた手に魔術師のギルドカードが握られていた。
そのカードにはEランクと記載されている。
「……これでいいだろうか」
手を下げ、カードを仕舞いながら灰ローブは尋ねる。
「あ、ああ。
ランクは問題ないな。
では、詳細を説明して納得してもらえたら決定ということでいいだろうか」
「ああ。わかった」
「繰り返すが目的は募集に書いたモンスターの討伐。
俺たちはある素材が目的だ。
それをこちらに譲ってもらって、残りの素材はあんたとこっちのパーティで半々でどうだ?」
今回は目的の素材をどうしても入手したいので、この条件を渋るのなら他の素材を全部渡してもいいとリーダーは考えていた。
「……それで、構わない」
灰ローブは短く答え、踵を返した。
その背中にリーダーが言葉を投げる。
「なら、よろしく頼む」
ギルドにパーティメンバーの登録をするため、リーダーは立ち上がった。
そこに横から小さく耳打ちされる。
「あいつ今ギルドで噂の“死にたがりの灰かぶり”じゃないか?」
1章ってめっちゃ1話で長くなったとこあったんですが、
2章で試しに1話を短くしてみようかなと思ったりしてます。
(できるとは言ってない)
どっちが読みやすいか教えてください。
(あ、つまらないのは仕様です)




