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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第一章 なかなか冒険しない冒険者
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30.薬草採集報告

 冒険者ギルドに戻ってきたシュウはクエスト報告の為受付の列に並んだ。

 この二週間毎日通っているお陰か、ギルド職員に顔を覚えて貰えたようで、並んでいるとサーショを呼んでくれるようになった。

(基本クエストの受注や報告はどの受付担当でも行えるが、個人的に担当が付くこともある。

 ギルド側がアロンの紹介で冒険者になったシュウにサーシャを担当付けにしているが、シュウはそのことを知りません)

 シュウの番になるとサーシャに呼ばれいつもの個室に向かった。

「ただいま戻りました。

 すみません。

 他の冒険者の方に人気なサーシャさんにいつも手続きしてもらって」

 個室に入り、扉を閉めてシュウは言った。

「大丈夫ですよ。

 冒険者になりたての方のお世話をさせていただくのも私たちの仕事ですので。

 それよりも、思ったよりも時間がかかりましたね。

 薬草、見つからなかったのですか?」

 サーシャはクエストを受けて出てから戻ってくるまでの時間が薬草採集のクエストにしては時間がかかったことが気になったようだった。

「そうですね、街の周辺では薬草が見つけられませんでした。

 ですので、予定通りランブルさんに教えてもらった場所に行って見つけてきました。

 これがそうです」

 シュウは魔法鞄から納品用に袋詰めした薬草をとりだし、サーシャの前に置いた。

「そうだったのですね。

 受注時に説明させて頂いたように、街の周辺では数が減ってきてしまっているようですね。

 今は傷薬やポーションの需要が高まっているので、薬草採集の依頼はずっと出ているのですが。

 シュウさんが無事に採集できたようでなによりでした。

 では薬草はお預かりいたしますね。

 あら……?」

 サーシャはシュウが差し出した薬草の袋を受け取りつつ、その袋が予想よりも重いことに気が付いた。

「こちらは依頼された量よりも多そうですが、よろしいのですか?

 多く採れた場合、今の世情的に喜ばしいので買い取らせて頂きますが、ご自分で使用することも考え持っておいた方がいいと思いますが」

 薬草は傷薬やポーションにする以外に、そのまま使用することもできるようだった。

 ただ加工されたものよりも治すのに時間がかかってしまうが。

「大丈夫です。

 自分の分も別で取ってあります」

 鞄から少し薬草を取り出して、サーシャに見せた。

「帰ってくるのが遅くなったのは、他の冒険者さんがモンスターと戦ってる様子を観察して勉強したり、動き方の確認をしていたからです」

 遅くなった理由を説明しつつ薬草を仕舞うシュウに安心したのか、サーシャはふっと息をついた。

「それは、大事なことですね。

 実は先程、街門の衛兵の方が来られまして、草原に狼が出没している可能性があると伝えられまして。

 シュウさんが狼に遭遇されてないか心配だったのですよ」

 サーシャは心から安心したように笑顔をシュウに向けながら説明した。

(……その情報、報告したのは僕です)

「あはは。そ、草原ってあぶないとこですね」

 乾いた笑いを上げながら、シュウはサーシャから視線を外した。

「シュウさん?

 どうかされたのですか?」

 シュウが不自然に視線を逸らすのでサーシャは気になったようだった。

「え、いや、べつに……」

「シュウさん?」

 さーしゃが机から身を乗り出してくる気配がする。

「ええと……」

 シュウは身を引きながらどうしようか考える。

 どちらにしろギルドに報告するつもりで詰所から戻ってきてたのだが、ここまでその件でサーシャに心配されるとは思わなかった。

「実は……。

 衛兵さんにその狼の事報告したの僕なんですよね~

 あははっ」

「えっ?」

 後ろ頭をかきながら言うシュウにサーシャの笑顔は固まった。

「ええと、ですね。

 実は……」

 シュウはサーシャに一連の出来事を説明していった。


「では、そのお二人は街門の衛兵詰所で手当て中なんですね?

 そして、本当にシュウさんはケガしてないんですね?」

 説明が終わり、サーシャが確認してきた。

「してないですしてないです。

 無事です。

 とりあえず、冒険者のみなさんに注意をお願いします」

 シュウは心配そうなサーシャに申し訳なく思いつつお願いした。

「もう。

 承りました。

 衛兵の方からも注意が来てますので、シュウさんの目撃情報も合わせて冒険者ギルドも対応を検討させていただきますね」

 申し訳なさそうにしているシュウを見て、ふっと優しく微笑みながらサーシャはいった。

「まず、今回のクエスト報告の処理をさせていただきますね。

 薬草も確認をさせて頂いて買取分と合わせて報酬をお持ちいたします。

 少々お待ちください」

 サーシャは椅子から立ち、薬草の袋を手に立ち上がりクエストの処理をするため扉から出て行った。

 シュウはふぅと息を吐きつつ椅子の背もたれにもたれかかった。


 その後報酬と薬草の買取金をサーシャから受け取りシュウは宿屋に帰った。

 シュウの持って帰った薬草はどれも品質が高かったようで、報酬は変わらなかったが買取金額を上乗せしてもらえた。




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