282.隣国へ
前話
湿地のアウトポストで一夜を過ごすことにしたシュウとティアリス
先に寝ることになったティアリスから呻き声が聞こえはじめる
悪い夢を見ている様子のティアリスにどうすることもできないシュウ
ティアリスその夢の中で
ティアリスがうなされずに寝入ってから数時間が経った。
時間的にはもうすぐ陽が昇る頃だろうか。
今は湿地にいるので外は昨日からずっと降り続いている雨だ。
陽が昇っても明るくならずに暗いままだろう。
(それにしても、よく寝るな)
悪夢を見てうなされていたと思う昨夜の出来事から穏やかに寝始めてシュウはずっとティアリスのベッドの横にいた。
ティアリスの手を握ってから、握り返されて振りほどくのも躊躇われて今に至っている。
見張りで起きているシュウにとって周囲の警戒は気配察知を使っているので、自分のベッドいるのと隣のベッド脇いるのは誤差の範囲だ。
ただ寝ている女性の横にいるという状況がシュウには慣れない。
更には手も繋いでいる状態だ。
気にしないように魔力を練る訓練をしながら時間を潰していたが、いつもより時間が経つのが長く感じた。
『通常の見張りの交代時間をかなりオーバーしているようですが』
(うん。
わかってるけど、今まで寝つけなくて寝不足だったみたいだから寝れている時に寝かしてあげようと思ってたから。
自然に起きるのを待つよ)
『マスターが体調を崩しては意味がないのでは』
(そうだね。
ティアが起きたら少し仮眠させてもらおう)
シュウは集中を乱しながらも魔力を練る訓練を続けた。
気配察知も同時使用して見張りもしつつだったので、思ったよりも複数の事を同時にする訓練になっていた。
いつもより微睡の時間が心地よかった。
こんなにも眠ることが気持ちよく感じたのはいつぶりだろうか。
自分が寝ている状態から徐々に覚醒しつつあるのを感じるティアリス。
(ああ、そうだ。
依頼で隣国に向かっている途中でシュウさんと休むことになって……)
意識がはっきりしてくるまで昨日までのことを整理する。
(湿地に入った後の戦いの後、私の様子がおかしくなったみたいで……、
先に休む……ように……)
そうだ、湿地に入って初めてのリーチとの戦いの後、意識がない状態でアウトポストまできたティアリス。
それを気遣ってくれたシュウが先に休むように見張りを買って出てくれたのだった。
ティアリスは戦いも旅のケアもシュウに任せきりになっているのが気がかりで、少し休むと見張りを代ろうと寝たふりで時間を潰そうとしていたはずだった。
最近は寝つきもよくないので寝ても身体が休まった気がしないので、少しでもシュウに休んでもらえるように見張りの交代を早くしようと思っていた。
そこまで思い出したところで一気に覚醒する。
(私寝ちゃってた!?)
頭が覚醒すると同時に勢いよく身体を起こす。
いつもより気持ちよく眠れたからか、頭もスッキリしていて最近は常にあった身体の気怠さもない。
早くシュウと交代しないと思い、身体の調子を確認しようとしたところで左手に重みを感じた。
ゆっくりと視線を左手に向けるとティアリスの左手が何かに掴まれている。
掴まれているということは掴むことのできる何かだ。
何かとは何か。
掴んでいるのは、そう手だ。
世界の動きがゆっくりになっているようにその手を辿って手の主を見やり、視線が重なる。
シュウが魔力を練る訓練を繰り返していると、ティアリスの身体が少し動いた。
(そろそろ起きるかな?)
と、思っていると
ガバッ
っと上半身が起き上がった。
あまりにも突然だったので声をかけることもできずにシュウは固まってしまった。
ティアリスは少しボーっとした後、右手を持ち上げ、左手に視線を落とした。
(あっ……)
左手はシュウの左手と繋がったままだ。
ティアリスの視線が左手を辿って、シュウの方へ向いてくる。
そして完璧にシュウと視線が合った。
視線が合った状態でお互いに無言が続く。
耐え切れなくなったのはずっと起きていて、思考がよりハッキリとしていたシュウだった。
「お、おはよう、ティア」
シュウから挨拶をされてティアリスは起きた時と同じように身体をベッドに倒してしまった……。
ダラダラと続いた夜も終わりました
いったい一日に何か月かかったのか……
まあここまで読んでくださってる方にはいつもの事と思われてそうですが……
週一でこのペースですからねえ
ここまで読んで頂きありがとうございます
皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです
それではまた~




