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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第四章 他国へ
291/303

281.湿地の夜27

前話

湿地のアウトポストで一夜を過ごすことにしたシュウとティアリス

先に寝ることになったティアリスから呻き声が聞こえはじめる

話していた悪夢を思いだしたシュウはティアリスを起こそうとするが

ティアリスは起きる気配がなかった

「冷たい……」

 自分の体温が高いのかわからないが、持ち上げたティアリスの左手はひやりとして冷たかった。

『通常のティアリスの体温よりも低下しているようです』

「一体ティアに何が起きてるんだ……」

『……原因不明です』

 シュウはギュッとティアリスの手を少し強く握りしめた……。



 私はお母さんに頼まれたお遣いで村の中を歩いていました。

 向かっている途中で急に胸騒ぎがして足を止めました。

 周囲は緑に囲まれた山奥にあるいつもの村。

 同世代の子供は少ないので、よく話す少し上の世代は何もなくて外に出たいといつも言っていた。

 私はお父さんのお手伝いとお母さんの話を聞くのが好きなのでちっともそんなことは思わないけど。

 見渡しても変わらない風景。

「な、何が……」

 村の様子をもっと確認しようと身体を翻した瞬間、

「えっ……?」

 視界に広がっていた緑色の景色が一瞬で真っ赤に変わった。

「村がっ……」

 知っているおじさんやおばさんの家から真っ赤な炎が立ち昇っていた。

「何が、何で何で?」

 私は周囲をぐるぐると見回しましたが、どこも炎に包まれている。

 さっきまでの普通の村だった風景がどこを見ても火の海になっていた。

「い、嫌、嫌あ。

 お父さん、お母さん……」

 私は怖くなって家に向かって走り出しました。

 お父さんとお母さんなら何とかしてくれる。

 そう考えて必死に走ります。


 家に向かっている気づきました。

 頭では全力で走っているつもりなのに身体はゆっくりとしか動きません。

 走れ走れ走れ。

 けれど、視界を流れていく真っ赤な風景はゆっくりとしか流れません。

 急いで急いで急いで。

 全力走っているはずなのに、周りが火の海なのに熱は感じず、逆に身体は冷水を浴びたように冷たくなっていく感じがしました。

 いつもより時間がかかったけれど家に辿り着きました。

 私の家はまだ火の手が回っていないようで無事でした。

 入り口に飛びつくように駆け寄るとノブに手をかけます。

 けれど、そこで手を止めました。

 何かこの扉を開けるとよくないことが起こりそう。

 よくわからないけど頭の奥の方から開けちゃダメという声が聞こえてる気がします。

 早くお父さんやお母さんのいる家に入りたいと思う気持ちと頭の奥から聞こえる声に従わないといけないような気がして迷ってしまいます。

 ところが、頭の中で迷っていると手が勝手に動いて握っていたノブを回していました。

 そのまま扉が開いていきます。

 中の様子が見える所まで扉を開けるとピタッと手が止まりました。

 私の身体が自然とその扉の隙間から中を覗き込んでしまいます。

 家の中は真っ暗ですが、なぜか中の様子ははっきりとわかります。

 木の床に広がる真っ赤な水溜り。

 その中に横たわるお父さんとお母さん。

 それまでは何もなかった家が真っ赤に燃え上がりました。

 このままではお父さんもお母さんも燃えてしまいます。

「――!」

 声を出して二人に呼びかけようとしても声が出ません。

 どんどん家の中が火に包まれていきます。

 声を出そうとしても、扉を開けようとしても、扉の隙間から目を離したくても身体が動いてくれません。

 頭が拒否しても身体が目の前の光景を見せようとしているように……。


 ピシッ


 お父さんとお母さんはピクリとも動きません。

 私もどうにかしないと思うけれど身体が動いてくれません。

 気持ちだけが焦っていきます。

 火の手がお父さんとお母さんを包もうとしています。

 もうダメ……。

 そう思うと脚から力が抜けて膝をから崩れ落ち……


 ビシビキビキッ


 地面に崩れ落ちそうになった私の足元の地面が崩れた。

 急に訪れた浮遊感、そして訪れる下方向への落下。

 真っ赤だった視界が真っ暗になった。

 足元を見ても上を見ても右を見ても左を見てもどこを見ても

 黒黒黒黒黒黒

 真っ黒な闇しかなかった。

 そこを私は落下感に包まれながら落ちていきます。

 ああ、父さんも母さんも死んでしまったんだった。

 村の人もみんなみんな。

 私だけが生きていていい訳がない。

 このまま父さんや母さんの所まで落ちていければ……


「……」


 何かが聞こえた気がする。

 でも耳には落下する風切り音も聞こえない、無音状態だった。

 周りを見渡しても闇のまま。

 私を助けてくれる人なんているはずもなかった。


「……ァ」


 また、聞こえた気がする。

 聞いたことがあるかどうかもわからない程微かな声。

 誰?誰かいるの?

 身体は動くようになったけど、声は変わらず出ない。

 それでも、誰かがいるような気がして……


『オ前ヲ、助ケル者ナドイナイ。

 求メル者ナドイナイ。

 オ前ハ生キル資格ナドナイ』


 私の頭の中に先程とは違う声がハッキリと響いた。

 そっか、そうか、そうだよね私にはもう何も誰も……


「ティア」


 頭の上の方から小さいけれど今度は聞き間違いではない声が聞こえた。

 上を向くとそこは変わらず真っ黒な闇が広がっている。

 しかし、遠くに小さい何かが光った気がした。

『!』

 その小さい何かはまた光ったかと思うと視界から消えてしまった。

 と思った瞬間、私の目の前に現れたかと思うと光を反射して閃いた。

 それは一振りの剣。

 私の物でも実家の倉庫にあった物ではない。

 だけどそれを私は“知っている”。

 護剣グラディウス

 私は頭上を漂うグラディウスに左手を伸ばした。

「ティア」

 伸ばした左手を声と共に暖かな手が掴んだ。

 私はこの手を知ってる。

 そうだ、前にもこの手に導かれた。

 掴まれた左手に力を入れて握り返す。

 頭上から太陽のような温かい光が差し、優しい風が身体を包む。

「シュウ……」

 小さく呟くとティアリスの瞳はゆっくりと閉じられていった。


 

 グッ……

 握っていた左手が弱弱しく握り返された気がした。

 そして

「……ゥ」

 微かな声が聞こえた。

 周囲に気を払っていたシュウは気の所為じゃない確信があった。

「ティア?」

 声の主であるティアリスの顔を覗き込むと、苦しそうに顰めていた顔が幾分か楽になったように素の表情をしていた。

 先程まで呻き声を上げていたが、今は規則正しい呼吸に戻ったようだった。

『ティアリスの体温、常温に戻りました』

 アルテに言われて握っていた左手が冷たくなくなっている事に気付いた。

「なんかよくわかんないけど、悪夢は見終わったのかな?」

 シュウは安堵をするようにベッドの脇に置いた椅子に座り直した。

「邪魔しないように向こうに戻るか……」

 深刻な状態から脱したようなので静かに椅子から腰を上げて離れようとしたが


 ギュッ


 ティアリスの左手を掴んでいた手を今はティアリスからも掴み返されていた。

 離れようにも手を放してくれなかった。

(これどうしよう手を放してくれないんだけど……)

『振りほどいてベッドに戻るべきでは』

 アルテの冷ややかな視線と意見に反して、シュウの足は動かず、浮かせた腰を椅子に戻した。

(左手を自然に話してくれるまで待つか……。

 やることもないし)

 アルテが無限で冷ややかな視線を向けているよう気がするが気のせいだろう。

 スキルであるアルテに目はない。

 ないはずだ。

 他にないはずの視線を探すように周囲を見渡すシュウ。

 あるところで目が止まった。

(朝までしっかり見守ろう。

 ゆっくり寝て。

 今度こそおやすみ)


 静かに魔力を練る訓練を開始したシュウの横のベッドには小さく微笑む美人が眠っている。

日本の気温はこのままどうなってしまうのか……

本職の通勤だけで暑さに体力が削られてる気がします

帰ってきても休みの日も気を失う様に睡魔に襲われます


はい、先週飛ばしてしまいました

すみません


今話は飛ばした分も含めたつもりでいつもより字数が多くなってます

え、このくらい普通?

聞こえません


ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです


暑さに負けないよう頑張りましょう

まず、私が?あ、はい


それではまた~

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