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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第四章 他国へ
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280.湿地の夜26

前話

湿地のアウトポストで一夜を過ごすことにしたシュウとティアリス

先に寝ることになったティアリスだが

寝入ってからの様子がおかしくなり……

「う……うう……」

 シュウが見つめる前でベッドの上のティアリスは顔を歪ませながら眠っている。

『鑑定の結果は睡眠中……。

 それ以外に特に異常は診られません』

(そうか……)

 アルテから鑑定で診た診断結果を聞いて、シュウは心の中で呟く。

『……申し訳ございません。

 何のお役にも立てず……』

 シュウの心の中の呟きもシュウの中に存在するスキルであるアルテには丸聞こえである。

(ああ……、アルテを攻めてるわけじゃないよ。

 ごめんね)

 シュウの呟きがアルテを攻めてしまったと思ったシュウは謝る。

(一人で戦うのが怖くて必死に強くなって、何でもできるように色々と学んできた。

 一緒に戦う仲間もできて、助け合えるようにもっと勉強してみた。

 けど、傷もない、症状もわからない。

 どうやって助けていいかもわからない……)

 

 ポタ……


 シュウの握りしめられた右手から赤い雫が床に落ちた。

 

 この世界に召喚されて、訳も分からずに放り出されて、魔物に襲われて殺されかけた。

 あの時に感じた死の恐怖。

 それから遠ざかるために自分を鍛えて、魔術も学んできた。

 それが全く通用しない。

 今までの努力が全く無駄だったように感じた。

『マスター……。

 マスターの努力は決して無駄では……』

(でも、仲間の一人も救えない……)

 目の前でうなされているティアリスに何もしてあげることができない。

 そんな自分を許せなくなってきたとき、アルテが呟くように提案してきた。

『マスター……。

 そこまでティアリスの状態が気になるのでしたら、一度起こしてみればどうでしょう?』

(起こす……?

 あっ!)

 シュウはアルテの提案が最初飲み込めなかったが、一気に頭に入ってきた。

 すっかりうなされていることと原因が不明ということに囚われていたが、所詮はうなされる程の悪夢を見ているだけなのだ。

 それならば、眠っているティアリスを起こせば一応この場は解決だ。

 起きたティアリスに事情を説明して、眠っている間のことを聞こう。

 寝ている相手を起こすという単純な事に思い至らなかったことにシュウは恥じる。

『ティアリスの疲労を考慮されていたので、起こすのが忍びなかったのでしょう』

(たしかにティアが寝入った頃は疲れただろうからゆっくり寝て欲しいって思ってたな。

 それがいつの間にか起こしてはいけないって勝手に思い込んでた。

 そうと決まれば、早速起こそう)

 シュウはティアリスを起こすと決めると右手の血を一度拭いて両手で肩を掴む。

「ティア。

 起きて!

 大丈夫か!」

 シュウはティアリスに声をかけながら肩を優しく揺する。

「ティア。

 あ、あれ?

 ティア?」

 しかし、声をかけても揺すってもティアリスからの反応はない。

「お、おい……。

 起きないぞ。

 どうなってるんだ?」

 優しく揺するぐらいでは起きないティアリスにシュウは揺する力を強くしながら声をかけ続ける。

 それでも、ティアリスはうなされる声をあげるだけで、一向におきる気配がなかった。

「普通だとこれぐらいやられると熟睡してても起きるよな……?」

 シュウは一旦手を止めると途方に暮れるように立ち上がる。

「どうしたんだ?

 どうする?

 どうしたらいい?」

 シュウは思っていた結果と違い頭の中が混乱する。

「こんなにしても起きないなんて、一体どんな夢を見てるんだ……。

 どうやったら起こせる……?」

 寝ている人を起こすのなんて、声をかけるか揺すって起こすのが基本だろう。

 その基本の起こし方で起きないとなるとどうしたらいいのかわからない。

『……』

 ベッドの脇に立ってティアリスを見下ろすが、顔を歪ませている以外は普通に寝ているようにしか見えない。

「くっ、どうしたら……」

 シュウは焦りから何もできない事に再度自己嫌悪に陥りそうだったが、

『マスター。

 焦っても仕方ありません。

 ティアリスの話では今までも夢を見ていても最終的には起きています。

 心配なのはわかりますが周囲の警戒もしなくてはいけません。

 ここは傍で見守ってみては……』

(そんな簡単に!

 そもそもアルテが様子を見ようって……)

 シュウは自分が何もできない怒りをアルテにぶつけそうになり、

(いや、ごめん。

 アルテの言う通りだ)

 ふーっと一度大きく息を吸って吐く。

(何がどうなっているかは今はわからない。

 ティアリスが起きたら改めて話してみよう)

 シュウはテーブルの方へ歩いて行くと椅子を一脚掴み、ベッドの横へ置いた。

(せめて、ティアが安全に寝ていられるように周囲を警戒しよう。

 アルテ、ティアへ注意を払っていてくれるか?)

『承知しました』

 シュウは静かに椅子に座るとそっとティアリスの左手を優しく左手で握る。

「ティア……」

ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです


(あとがき書くことが思いつきませんでした)


それではまた~

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