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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第四章 他国へ
287/303

277.湿地の夜23

前話

ティアリスが見た夢の話が一段落し

食事を採る二人

長かった湿地での初日を終えるために身体を休める準備を始めた

(みんなと一緒に強くなる。

 今は本心からそう思ってる。

 でも、実際に戦いや旅になると周りに助けられてばかり)

 ベッドに腰かけたティアリスはシュウに話した出来事を思い返していた。

 ブランジリに着いて冒険者になり、一人で戦って自分を鍛え、パーティの臨時枠に入り、いくつかの依頼をこなした。

 しかし、パーティでの戦いはパーティ毎に違い、治癒術が使えるティアリスは主に治癒を求められ戦いに加わる機会が少なく、自分が強くなることに重きを置いていたティアリスは求めていたことへの違いに段々と心を閉ざしていった。

 ソロでの行動が多くなっていき、ブランジリでの冒険者活動に見切りをつけようかと思い、他国へ向かう資金集めに割の良いパーティ募集に入ったのが運の尽きだった。

 その依頼中にパーティに裏切られることとなり、危うく命を散らすところをシュウに助けられた。

 それからシュウからのパーティの誘いも断ったティアリスをそれでもパーティに加えてくれ、求めていた強くなる道を示してくれた。

 それは一足飛びに強くなる方法ではなく、一歩一歩地道な道だった。

 だが、初めて会った時はゴブリンにすら怯えて戦えず殺されそうになっていたシュウが、今はティアリスの何歩も先を進んでいるのを見てしまった。

 ゴブリンに殺されそうになっていた時には眠っていたシュウの才能が目覚めたのだろうか。

 それもあるだろう。

 しかし、その才能を目覚めさせるのにはゴブリンに殺されそうになった死の恐怖から立ち上がる必要がある。

 多くの人は死にそうになると心が折れる。

 もう二度とその恐怖に逢いたくないと戦いを避けるようになる。

 それをシュウは乗り越えたのだ。

 シュウはティアリスの知らない所でルーツと出会い、鍛えられ今のように強くなった。

 ティアリスもルーツとそのパーティに師事してもらったが、何でもっと早く出会わなかったのかと後悔するほどだった。

 ルーツの元を離れている今でもルーツの教えを受け継いでいるシュウが鍛えてくれている。

 剣士のはずのシュウはなぜか魔術にも精通しており魔術の話を振っても普通に返してくるのだ。

 更にはティアリスの素養を考慮した剣気と魔力の修行を考えてくれている。

 一人でいた時とは考えられない程強くなった実感がある。

 本当にありがたいことだ。

 だが、このままでいいのだろうか。

(シュウさんに甘えて強くなる道を示してもらって行くのはとても安定して楽だ。

 でも、ずっとこのままだとそれを私は当たり前だと思ってしまわないだろうか……。

 私自身からもシュウさんに教えてもらうこと以外のことで鍛えていかないといけないんじゃないのかな)

 そうしないといつまで経ってもシュウに追いつき、横に並ぶことはできない。


 ポスッ


 ティアリスは座っていた姿勢からベッドにゆっくりと倒れ込む。

(今だって私の体調不良を気にして自分から見張りを買って出てくれてる。

 自分だって私と同じように雨の中を歩いて、リーチとも戦ったのに。

 いや、私以上に戦ってくれてた)

 それでもティアリスの体調を気にして、先に寝かしてくれているのだ。

 ティアリス自身はリーチとの戦いからこのアウトポストに来た時までの記憶がない。

 気が付いたらここにいて、裸で……。

 今はこれ以上そこを思い出すのは止めよう。

 恥ずかしくて眠れなくなってしまう。


 実は同じ夢を見て、寝不足になっている自覚は前からあった。

 それは一人で依頼をこなしていたころからだ。

 その頃は夜寝たくないと夜中に宿の部屋でこっそりと魔術の練習をしていたこともあった。

 それに身体が慣れていったのか二日、三日は寝なくても眠くならないようになっていった。

 シュウのパーティに参加してからも暫くは同じように夜を過ごしていたが、自分で考えた魔術の修行をするよりもビアンゼやシュウに教えられたことを繰り返す方が自分に良いということがわかった。

 それから寝つけない日はその日行った修行を思い出しながら自信を鍛えることにしていた。

 そのことを先程シュウには話していない。

 自分に与えられたことを身につけ、実力にして、戦力となって貢献して返さなければ。

 そうティアリスは考えている。

(先に見張りを買って出くれたシュウさんには悪いけど、今日はまだ眠気がないから静かに魔力の操作の訓練でもして時間を潰して早めに交代してあげよう)

 ティアリスはベッドに身体を横に倒した姿勢から足も持ち上げてベッドに横になる。

 そうして身体の中の魔力に集中した。

『……――』


(やっと眠ったのかな?)

 シュウが耳を澄ましているとベッドの間を仕切る布の向こうから規則正しい呼吸音が聞こえ始めた。

(さっきまではなんか考え事もしていたみたいだけど……)

 ティアリスは気づいていないが気配察知を覚える者は周りの気配に敏感になるので息の仕方一つで寝ているか起きているかわかるのだった。

今回はほぼほぼティアリス視点でお送りしました

ティアリスから見たシュウが語られています


ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです


それではまた~

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