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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第四章 他国へ
283/303

273.湿地の夜19

前話

湿地での戦いを終えたシュウ達

雨が降り続く中

屋根を求めてアウトポストに向かう

無事到着した二人は中で暖取ろうとする

リーチ戦後からティアリスの様子がいつもと違うが、

正気に戻ったティアリスに不調の原因を問うが……

「私の村は山奥にあって旅人も滅多に来ないような僻地でした。

 そこに結界を張って魔物が入らないようにしていたそうです」

「ティアも山奥出身だったのか」

 シュウはティア達にどこの国属しているかもわからないような山奥の隠れ里から出て来た田舎者だと説明していた。

「シュウさんのように住んでた方も場所が特定できない程ではないですが、私も田舎出身ですよ。

 ただ父が薬師でしたので薬を売ったり、素材を買いに街に行くこともありました」

(なるほど。

 だからちゃんと冒険者の事や街の事とかの一般常識も知ってたんだな)

 山奥の閉塞的な村に住んでいると情報も偏るだろう。


 この世界にはネットもないので他所の情報を得ることは想像以上に難しい。

 ネット環境が整っていた日本からきたシュウはその不便さをまず感じていた。

『私の情報提供では不満ですか?』

 ネット環境の無い世界の事を考えているとアルテが拗ねたような声を出した。

(アルテの情報提供にはいつも助けられているよ)

 ネットの無いこの世界で情報を自動で収集してくれるアルテには本当に助かっていた。

 ただ、アルテは一度見るか鑑定で調べた物じゃないと知識として蓄えられないようで、何でも知っている訳ではないようだった。

 なのでシュウの行動の裏でアルテは常に周囲の物に鑑定を行って知識を集めて、それをシュウに報告してくれている。

 シュウが一つ一つ鑑定する手間が省けているのだ。


「私の見る夢はその村が終わる日の出来事を何度も見せてくるの」

 シュウがちょっと脱線したことを考えているとティアリスが視線を手元のカップに落として続きを話し出す。

「夢はどこから始まったのかわからないぐらいで私が本当にあの日に戻ったかのように思えるほど鮮明なの。

 でも、さっきも言ったけど見ている間はそれが過去に起きたことってわからないみたいで、夢が始まった時、私はいろいろな場所にいるのだけどだんだんと同じ行動をしていって結果最後は同じ結末になる……」

「その結末っていうのが……」

「両親が血だまりに倒れていて、他の村の家が燃えていて……」

 ティアリスのカップを包む両手が白くなる程ギュッと握りしめられているのがわかった。

「ごめん。

 辛いことを思いださせて」

「ううん。

 あなたにはいつかは打ち明けようと思ってた事だし、もっと早くてもよかったと思うわ。

 いえ、話しておくべきだったわね。

 ごめんなさい」

「いや、そんな」

 シュウは互いに謝る雰囲気を誤魔化すためにカップを口に運ぶ。

 湯気を立てていたお茶がすでにぬるくなってしまっていた。

『ティアリスはなぜ生き残ったのでしょう』

(ん?

 どういうこと?)

『両親の死体を見ていることや他の家が燃えていることからそれを行った犯人は村を全滅させるほどのことをしているのになぜティアリスは生きているのでしょうか』

(たしかに?)

『本当に起こった出来事なのかも疑問となります』

(ティアリスが嘘をついてるってこと?)

『いえ。

 何度も夢を見ていると言っていたので現実では起きてない事を現実だと思い込んでいる可能性があるかもと……』

(うーん……。

 でも実際にティアリスはそのことがあって村から出て来たってことだしなあ……)

 シュウはアルテの疑問を同じように考えてみるが答えは見つからない。

(聞きにくいけど、聞いてみるしかないか……)

 シュウは本当にあった出来事なのかティアリスに聞いてみることにした。

「ティア、その話って本当に起こった出来事なの?」

 シュウはあくまでも信じられないと言った様子でティアリスに尋ねる。

「夢の中だけの出来事ならどんなによかったか……」

 その言葉で村の壊滅は現実の出来事だと雄弁に語っていた。

「でも、ティアリスは無事だったんだよね?

 どうやって切り抜けたの?」

「……それは私もわかりません」

「わからない?」

「うん。

 夢は両親が倒れてるのを見つけて、その向こうに黒い靄のような物を纏った魔物がいるところで目が覚めて終わる」

「黒い靄を纏った魔物……」

「そして、現実で私が覚えているのもそこまでで、次に覚えてるのは村のはずれでアロンさんに助け出されたところ」

「アロンさんに?」

 シュウは出て来た懐かしい名前を繰り返しながら、狼人族の戦士の姿を思い起こす。

「偶々、私の両親に会いに来たアロンさんが燃える私の家から私を助け出してくれたみたいなの。

 その後、二人で村を見て回ったのだけれど全ての家が焼け落ちてしまっていたわ」

「村が全て全焼……」

 それを聞くだけで胸が締め付けられる思いだった。

「アロンさんが村に到着した時にはすでに焼け落ちてる家がほとんだったらしいわ。

 私の両親の無事を確認しようと私の家に駆けつけて、奇跡的に形を保っていた家に飛び込んで私を見つけて助け出してくれたようなの」

「無事でよかったね……」

 アロンの到着が遅れていたらティアリスも無事ではすまなかったかもしれなかった。

「あ、そういえば」

 その時のことを思いだしていた、ティアリスが何か思いついたように声を漏らした。

「アロンさんが言ってたの、私の家に行くまでにまだ大丈夫そうな家の中を確認したけど、村の人の姿を一人も見なかったって」

「村の人を一人も?」

「うん。

 何かに襲われたことがわかるような跡や血痕はたくさんあったって言ってたけど、その……。

 死体は見かけなかったって」

「それは、一体どういう……?」

「わからない。

 アロンさんも火が回る前に私の家に向かう事を優先したって言ってたけど……。

 私が起きた後に村を見て回った時も見なかった気がするわ。

 私は村の惨状や焼け落ちてしまった家を見てショックで他に何を見たか定かではないのだけど……」

 シュウは辛い記憶を思い出した少女がいつもよりも小さく見えた。

今回は脱線しそうだったけど何とか修正することができた(のかな)

ここもそんなに時間かける気は無かったけど……

ま、いつものことですか


ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです


それではまた~

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