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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第一章 なかなか冒険しない冒険者
28/303

27.集中

 茂みから飛び出したシュウはそのままリンの横を駆け抜け、迫る狼の顔を目掛けて蹴りを放った。

 狼は自身の勢いを止める事ができず、顔に蹴りを受けて飛んで行った。

 シュウはルーツから受け取った剣を鞘から抜きつつ、

「彼を!」

 リンにクランの容態を確認に行くよう指示をした。

「えっ?

 あ、はい!」

 リンは状況の変化についていけてないようだが、指示を受けた事でクランの許へ走った。

(狼と二人の間に常に入って、絶対に狼を通さない!)

 シュウは気配察知に集中していた状態から剣気のコントロールに切り替えた。

(まだ全身を覆える程高まってないな……

 狼の動きに注意しつつ、一気にいく!)

 狼は頭を振りつつ起き上がった。

「グルルルゥ」

 唸り声をあげてシュウを睨みつけてくる。

 狼から怒りの籠った殺気が発せられるが、

(ルーツさん程じゃない……。

 大丈夫だ。落ち着いて。

 狼の動きをよく“観察”して)

 シュウは自分で自分を落ち着かせるように狼に集中した。


「ガゥガアァ!」

 狼が吠えながら走り出した。

 シュウは動かず狼の動きに合わせられるように集中した。

 狼はシュウの首に目掛けて飛び上がった。

(遅い!)

 シュウは飛び込んでくる狼の喉を蹴り上げた。

 再度蹴られ飛ばされる狼。

(普通の靴じゃなかったら、もうちょっとダメージいけたか?)

 二度目の蹴りで飛ばされた狼は咳のような荒い呼吸を数度して、シュウを睨みつけた。

 そして、大きく息を吸い込み……

「まさか!しまっ……」

「ワオオオオォォォン!」

 狼は遠吠えした。

「しまったな……。

 仲間に知らせたか……

 なら、こいつを早く倒して、逃げる!」

 狼は遠吠えを止め、シュウを睨みつけつつ身構えた。

 シュウは右手の剣で狼をけん制しつつ、左手をゆっくり動かし腰のポーチから先程拾っておいた石を取り出した。

 取り出した石を狼に見せつつ、再度ゆっくり持ち上げた。

 狼も取り出された石に反応できるように石に集中した。

 シュウは持ち上げた石を手首のスナップだけで“真上に”投げた。

 

 クランの傍まで来たリンは、クランの容態を診ていたが狼の遠吠えで顔を上げた。

(ああ、狼がもっとくる!

 早く逃げないと……)

 この場からすぐにでも逃げ出したいが、倒れているクランをこのままにすることもできない。

 助けに飛び出してきた青年はよく見ると防具もつけていない、ただの服に小剣しか持っていなかった。

 青年だけでも逃げてもらえるようにと声を掛けようとした時、青年の左手がゆっくりと腰のポーチに向かった。

 そこから拳ほどの石を取り出すと、またゆっくりと石を持ち上げた。

(そんな普通のような石でなにを?

 えっ!?)

 

 狼にも見えてしまっている石を隠そうともせずに、持ち上げて青年は“真上に”投げた。

 

 その石の動きを目で追っていると、青年は“消えて”いた。


 そして、リンが青年を見つけたのは狼の首に剣を突き立てた姿だった。

「な、なにが?」

 リンは事態が呑み込めず呟いた。

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