267.湿地の夜13
前話
アシッドリーチの皮膚を硬化する能力に対して
雷の合成魔術を試みたシュウ達
雷撃がアシッドリーチの防御を貫通し、瀕死の状態に
シュウがアシッドリーチに止めを刺すことで湿地の初戦闘が終わりを迎えた
辺りに散らばっていたリーチの死骸から討伐証明部位を回収した。
(アシッドリーチあんなに強かったのに、いい素材が採れないなんて……)
『アシッドリーチはスモールリーチの上位種ではありますが、突然変異の上位種ではないので湿地等の奥には普通に生息しています』
(普通にいるのか……。
あんなのに囲まれたら……。
やば、考えるんじゃなかった)
『それだけ湿地の奥は高ランクの冒険者しか訪れることはないのでしょう。
そもそも行くような理由がなさそうですが』
(なるほど。
湿地の奥に行くことがそもそもないのか)
『定期的にモンスターの調査や増えすぎないように掃討する依頼が出ると記載はありました』
(そうか。
あんなのが溢れかえると周辺の街の安全性に問題が出そうだもんな)
『肯定します。
ただ今回のアシッドリーチとの遭遇は想定外でした』
(想定外?)
『アシッドリーチは湿地の奥に生息していると先程言いましたが、この辺りは地図上では入り口に近い位置になります。
この辺りにアシッドリーチはいるはずがないのです』
(スモールリーチから進化か生まれたとかは?)
『モンスターの上位種は突然変異を除いて、自然発生するには上位種が交配して産むか、下位のモンスターが長い年月をかけて進化することがあるらしいとされています。
スモールリーチは湿地では珍しくない種で数は多いですが、強いモンスターではないため進化するまでの経験を積むまでに寿命がくるはずです』
(この辺りで進化による発生はないってこと?)
『ほぼないでしょう。
考えらるのは……』
(考えられるのは?)
『湿地の奥から群れを率いて流れてきたということでしょうか』
(流れてきた?)
『湿地の奥でアシッドリーチの群れが住んでいた場所辺りに何か起こっている可能性があります』
(何か?)
『そこまでは推測出来かねます。
天変地異やモンスター同士の縄張り争い等候補が多すぎます。
向かう国にて情報収集を推奨します』
(そうか。
そうだね。
早く向かうとしよう。
ずっとこの雨に打たれるのも精神的に辛い)
『まだここに来て間も無く、湿地を抜ける行程はまだ続きますが』
(だから早く行こうってことだよ。
身体が冷えすぎるのも問題だし。
僕はまだしも、魔術師で女性のティアリスは辛いだろ)
遠目にティアリスを振り返ると杖を両手で掴んでもたれ掛かっているように見える。
(慣れない場所での初戦闘で疲労も多かったみたいだ。
休めそうな所を探して休もう。
僕も少し休みたい)
『地図とルーツ達からの情報を基に候補を検索します』
(頼むよ)
討伐部位証明を集め終わったシュウはティアリスの元へ戻ってきた。
「お待たせ。
大丈夫そうなら先に進んで休めそうな所を探そう」
「……」
ティアリスは杖にもたれ掛かるようにして顔を俯けているが、無言で頭を上下させた。
「ん?
大丈夫?
まだ動けそうにないなら待ってるけど、移動できる?」
「……」
ティアリスはシュウの言葉に再度無言でゆっくりと頭を上下させることで応えた。
シュウは落としていた荷物を拾って、小分け用の小袋に討伐部位証明入れてしまう。
「とりあえず、移動しようか。
雨宿りできる場所を探して少し休もう」
シュウは荷物を背負い、ティアリスに声をかける。
ティアリスはもう杖にもたれ掛かることなく普通に立っている。
が、防水のコートのフードの下の顔は俯きがちで虚ろな目をしていた。
「……うん」
小さく返事をしてシュウの方へゆっくり近づいてくる。
シュウもティアリスの歩調に合わせて歩き出す。
『む』
(どうした、アルテ?
ティアに何話しかけたらいいかわからないのだけど)
『そのティアリスの状態の報告です。
様子がおかしいので鑑定を行いました』
(あ、仲間にはなるべくしないって約束だろう)
『緊急事態と判断しました』
(それでもする前に聞いてくれても……)
『ティアリスの現在の状態ですが、リーチ達との戦闘前後で変化している部分があります』
(話聞いてた?)
『状態異常の部分に変化がみられます』
(状態異常とかわかるの?)
『ティアリスは状態異常にかかっています』
(なんだって?
何にかかってるの?)
『ティアリスの現在の状態は……』
(じ、状態は?)
『”寝不足”です』
やっとバトルが終わったので
ほぼ会話回
やってることはシュウの脳内会話ですが
そういえばバトル中も脳内会話やってたっけ……
ここまで読んで頂きありがとうございます
皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです
それではまた~




