263.湿地の夜9
前話
湿地でのリーチ達との戦いが続いている
剣がアシッドリーチに通じないと判断したシュウ
魔術での攻撃に切り替えようとするが使える魔術に倒せるほどの威力があるものは……
(ん?風?)
シュウから離れた所へ風が強酸の泡を飛ばし、泡が地面に落ちて煙を上げる。
「お待たせしました!」
声の方へ顔だけ向けると、魔術で風を発生させ、杖を持ち上げた姿勢のティアリスがいた。
(一体引き付けてくれるだけでもと思ってたけど、倒してくれたのか!)
『ティアリスに任せたスモールリーチを発見しました。
活動停止しています。
風魔術で切断したようです』
シュウは一体をティアリスが受け持ってくれてる間に残りのスモールリーチとアシッドリーチをどうにかしたかったが、ティアリスの方が早くスモールリーチを倒せたようだ。
(アルテ。
頼んでいいか?)
『……任されました』
ティアリスが戦線に加わったことで出来る手が増える。
シュウ一人の魔術ではアシッドリーチを倒すには心許なかったからだ。
だが、二人の魔術、しかも魔術師の魔術が加わると倒せる可能性が大幅に上がる。
『アシッドリーチが魔力集中!
マスター警戒してください!』
空中に漂わせていた強酸の泡を風で吹き飛ばされたアシッドリーチは魔力を集中させて魔術の構成を練っていた。
「あちゃ~。
なんかお怒りのご様子」
アシッドリーチの周りに渦巻く魔力が青く光を放っている。
見るからに今まで一番魔力が込められている。
アシッドリーチは込められた魔力に比例するように大量の水を一気に放射した。
シュウからすると地球の消防隊によるホースからの放水に近いが、吐き出される水とその勢いは段違いだった。
しかし、アシッドリーチも魔術の勢いが強すぎるのか扱いきれていないようで、激流の放水は明後日の方向へ飛んでいく。
魔術に警戒していたシュウとティアリスはアシッドリーチから距離を取っていた。
その二人の間を暴れる水流が右往左往している。
ティアリスが激流を扱いきれていないのを隙と判断したのか魔術で攻撃しようと魔力を練ろうと足を止めた。
「ティア!足を止めちゃダメだ!」
ティアリスの様子に気付いたシュウが叫ぶ。
暴れる激流が地面を削りながらティアリスに向かって行っていた。
シュウはティアリスの方へ走りながら魔力を練る。
『周囲が属性色に発光するほどの魔力量はさすがモンスター、見事です。
ですが、それを扱う頭が低脳なのが残念です。
魔術の構成時間、制御力、どれも不完全です。
魔術を扱うとはこういう事です』
ティアリスの前に駆け込んだシュウは地面に手を突く。
「ロックスパイク!」
魔術を発動させるとシュウとティアリスの正面に地面から尖った岩がいくつも突き出した。
アシッドリーチの激流がシュウのロックスパイクと衝突する。
ティアリスのシールドすら耐えられないアシッドリーチの放水をさらに強化した激流。
しかしロックスパイクはその衝撃に耐えていた。
「ティア、大丈夫?」
岩の影で狙われたティアリスに声をかける。
「どう……して……?」
ティアリスは目の前で起きている魔術の衝突に理解が追いついていない。
「火や風に比べて地属性って質量があるのが特徴なんだ。
岩って重くて硬いよね。
ロックスパイクは地面から尖った岩を突き出して攻撃する魔術なんだけど、その尖った部分で激流を分散させてるんだ」
(さすがに一人ではここまで完成度の高いロックスパイクは無理だけど)
『マスターが練った魔力を私が最速で構成して完璧に制御して発動したのです。
あの稚拙な魔術には負けるはずがありません』
簡単な魔術を構成するなら走りながらでも訓練と練度で発動することが出来る。
シュウとティアリスはその練度まで到達するべく訓練をしていた。
しかし中級以上の魔術は流石に二人とも足を止めて集中しないと構成することができなかった。
先のロックスパイクはその構成する部分をアルテに任せてシュウはティアリスの元へ走っていたのだった。
「すみません。
魔術が暴走していると思ったので攻撃しようと思ったのですが……」
ティアリスはアシッドリーチの激流の暴走が隙と安直に判断して魔術を放つために足を止めてしまったことを謝る。
「大丈夫。
それとこの岩もいつまで持つかわからないから今のうちに作戦会議」
アルテが構築した完璧に近い魔術も常に激流の衝撃にさらされれば突破されてしまう。
それが遠くないことが岩から聞こえる軋む音が物語っている。
「タイミングを計って同時に雷の魔術を放ってほしいんだ」
そろそろ終わらせないとと焦りつつ
またずるずると続いてしまいました
この話で終わると思ったのにな……
あとは一気にかな……
ここまで読んで頂きありがとうございます
皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです
それではまた~




