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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第一章 なかなか冒険しない冒険者
25/303

24.街の外に

24話短いですが。

23話に追記してます。

投稿時にしか読んでない方、23話も読まれると話が繋がるかと思います。

※モンドの名前をクロードに変更しました。

 シュウはギルドを出て街門へ向かった。

 ここを通るのは街に入ってきた時以来だった。

 外に出る為に衛兵にギルドカードを見せて門をくぐった。


 門を抜けると草原を疾る風が草花の香りを運んできた。

 二週間前はゴブリンに襲われた後はアロンとティアが一緒だった。

 しかし、今は一人だ。

 けれど、今日まで何度もあのゴブリン達よりも強いルーツと訓練してきたので、思ったほど恐怖はなかった。

 死を感じた恐怖が無いと言ったら嘘になるが、それで足を止める訳にはいかない。

 一度深呼吸をして、草原に一歩踏み出した。

 その時。

「お~い」

 シュウに横から声がかけられた。

「やっと君も出て来たんだね」

 声をかけてきたのは、街に入る手続きをしてくれたクロードだった。

「あ、どうも。お久しぶりです」

 シュウは一度しか会っていないのに顔を覚えているクロードに驚きつつも挨拶を交わした。

「君と一緒に来た女の子はすぐに見たのに、君はなかなか見なくてどうしたのかと思ってたよ。

 そうしたら風の噂で、外に出ず、ずっと住民クエストを受けている新人冒険者がいるって聞くじゃないか。

 もしかしてと思ってたんだが」

「あはは。僕ですね」

(ここまで噂になってたのか)

 シュウはクロードに苦笑いをしながら答えた。

「お金も装備も無かったですし、戦い方もわからなかったので、住民クエストで修行してたんですよ」

 クロードに弁解するように言うシュウだったが、クロードは腕を組みながら何度も頷き、

「偉い!偉いぞ!他の新人冒険者にも見習ってほしいくらいだ」

 クロードは周りの人々に聞こえないように声を小さくして話した。

「新人冒険者が勇んで出てくるのはいいが、何の情報も無く出てくる奴が多い。

 そうするとモンスターにバッタリ出くわして対処できずに大ケガをするか、ここまでモンスターを連れてきてしまう訳だ。

 こっちの苦労も考えろってな。

 けど、ここまで逃げられたらいい方で、ケガで動けなくなった奴の救援が大変でな。

 急がないと間に合わんし、どんな状況かもわからんからな」

 衛兵の愚痴に自分も気を付けますと返していると

「でも、君は大丈夫そうだ」

 クロードから言われた言葉にシュウは驚いた。

「え?何でですか?」

 聞かれたクロードは指を立てて笑いながら、

「君は新人冒険者と思えないほど、剣気が安定して満ちてる。

 前にここに来たときから今日までの短い間にそこまで剣気を安定させるには相当訓練をしただろう。

 それに、住民クエストで街中を回って周辺の事を聞いていただろ?」

 クロードはニヤリと笑ってシュウを見つめた。

「ええっ?何でそこまで知っているんですか?」

 またも驚いたシュウは慌てて聞き返した。

 そんな様子を見たクロードは満足げに、

「冒険者連中の耳には入りづらいかもしれんが、街の中で君の評判はすごくいいんだよ。

 住民クエストでも丁寧に対応してくれるってな。

 期待の新人らしいぞ。

 そして、俺もそう思う。

 自分から人に情報を聞いて集めるってのは地味だが、とても重要な事だ。

 それは、相手に信用してもらわないと出来ない事だからな。

 それが出来てるって事は君は信用に足りうるってことだろう。

 街の連中の冒険者のイメージは野蛮や粗野って感じで客商売以外で関わり合いたくないって人が少なくないんだ」

 シュウはそうだったのかと初めて知った気分だった。

 確かにクエストを受けて初めて行く所は大抵訝しい目で見られたが、接しているうちに優しいものに変わったので、街の人々の冒険者のイメージがそんなものだと思わなかった。

「君の実力を見てないから何とも言えないけど、雰囲気でこの辺りのモンスターなら大丈夫だろう。

 けど、無理はするなよ?

 ギルドで救援の狼煙は貰っただろ?

 必要ならすぐに上げるんだぞ。

 俺達が助けに行ってやる。

 君が無事じゃなかったら、今度は俺達が街の人達に殺されそうだからね」

 クロードは冗談なのか本気なのかわからない事を言って笑った。

「はい。ピンチの時はよろしくお願いします」

 シュウはなるべく救援の狼煙は上げたくないなと思いながら返事をした。

 ちなみに救援の狼煙とはギルドから配布される魔法道具で、使えばその頭上に煙と花火が上がり、遠くの人に救援を知らせる物だった。

 それを見た周辺の人や衛兵が救援に向かうことになるのだった。

「じゃあ、気を付けてな」

 クロードは右手を挙げて衛兵の詰所に戻っていった。


 シュウは街の人達が自分をどう見ていたのか気付いていなかった。

 期待されていると知ってしまった今、下手にクエストを失敗して期待を裏切れないとプレッシャーを感じてしまう。

 深呼吸をして、街の人達の期待をプレッシャーと思わず、最初に感じた喜びに変換した。

 そして、今度こそ草原に踏み出した。


クエスト≪薬草採集≫

・薬草を十個納品


 やはり薬草は門の近くでは探しても見つけられなかった。

 元々、門付近に自生する数は少なく、生えていても薬草見分けられる人にすぐ採られてしまうからだった。

 シュウは薬草が生えていそうな茂みをいくつか調べたあと、腰のポーチに移した地図を取り出した。

 ポーチには鞄よりもすぐ取り出せるように傷薬等が入れられていた。

 門付近で探すことを早々に諦め、予定通りに薬屋のランブルに教えてもらった穴場の一つに向かうことにした。

 選んだ場所は街から西にある森付近。

 森の中では薬草以外にも採集クエスト対象の素材が採れるが、獣や魔物も多く危険だった。

 その手前のランブルが見つけたという薬草の群生地を目的地にした。

 普通に歩けば十五分程で着くかという距離だったが、シュウはこの草原でゴブリンに襲われ命の危機に陥った経験がある。

 街で集めた話ではゴブリンはまだこの近くでは滅多に現れないとのことだったが、ルーツに教わった気配察知の訓練も兼ねて周囲に気を配って行くことにした。

 事情を知らない他人に見られると街の前から周囲を見回しながら姿勢を低くして歩いて行く不審者に写ることに彼は気付いていない。

 スキル気配察知が上達していないシュウは、まだ周囲の音や動きを頼りに周りのモノの動きを感じるしかなかった。なので、周囲をキョロキョロと見回し、耳を澄ませることに集中していた。前述のようにとても不審に見える光景だが、これが慣れれば人と話をしていてもできるようになるらしい。

 さらに上達すれば、音ではなく剣気や魔力などで相手の場所がわかったり、強さもわかるらしい。

 アニメや漫画でよくある「この気配は…」が本当にできるのだ。

 もちろん、気配を察知する(すべ)があれば、隠す術もあり、スキルや魔法で姿や足音を消すこともできるので察知術に頼りすぎるなとルーツに言われた。

 ただ、この辺りではそんな技術を持ったモンスターはいない。

 シュウはゲームのスキルの熟練度のようだなと思いながら教わっていたことを思い出しながら、慎重に目的地に向かった。

 まだ、自分の足音も上手く消すことはできないので察知する方に集中しながら進んだ。


 目的地に向かう間に何度か大きな野生のウサギや動く植物(と思われる)の魔物を見つけ、じっくり”観察”した。

 そして、他の冒険者達がモンスターと戦う音もしたので、茂みからその様子を伺った。

 高校生の自分よりも若い、まだ駆け出しのようで小剣を振り回しているが、相手のウサギに避けられていた。

 その後ろにはローブを着て、杖を持った同じ年齢ぐらいの子がいたのでパーティなのかもしれない。

 シュウは自分があのウサギと戦うかもしれないと、その戦いを真剣に観察した。

 前衛で小剣を振ってる子がウサギに付きっきりなので、後衛の子は巻き込まないようになかなか魔法を使えないようだった。

 魔法を放った時も前衛の子に当たりそうで、見ていたシュウが冷や冷やした。

 二人は五分程戦って、なんとかウサギを倒した。

 前衛の子が手を膝について息を整えているところに後衛の子が近づいて行っていた。

 そこでシュウは慎重に茂みから離れ、再度目的地に足を向けた。

 前衛の子には悪いが、ウサギの動きはだいぶ掴め、一匹ならなんとかなりそうだった。

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