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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第一章 なかなか冒険しない冒険者
22/303

挿話.とある酒場にて

ちょっとしたチャレンジとして今回下書きなしの

ぶっつけ本番で書きました。

なので設定とかがおかしいかもしれません。

文章も少なめで申し訳ないです。


 シュウが初めてのクエストを受けた日の夜。

 とある酒場でテーブルを囲む人達がいた。


「皆、よく集まってくれた」

 一人の男が他の人々を見て口を開いた。

「くくく。お前がわし等を集めると言えば、集まらん訳にいくまい」

「ここ最近無かったですからね~」

「前にあったのはいつだったか」

 集まった人々が口々に言葉を発していったが、最初に口を開いた男の対面に座る男が他の者を制して言った。

「して、ルーツ。我らを楽しませるような輩が現れたか?」

 最初に口を開いた男は薪商人のルーツだった。

「ああ。今日、俺の所に来た冒険者だ」

 ルーツが答えると、右隣に座った男が軽く笑いながら、

「ルーツさんが冒険者を認めて、さらに私たちを集めるなんて何時ぶりですかね?

 ビアンゼさん以来ですか」

「彼女とあの旦那もここに来た時点で元々の能力が高かったからね。

 で、今回はどこの国の猛者なの?」

 右隣の男からさらに隣の今度は女性が続いた。

「それがな、昨日冒険者になったばかりの奴だ」

 ルーツの返しに皆が驚いた様子だった。

「そ、そんな。このメンバーの中でも認める基準が一位、二位を競う程高いルーツさんが、そんななり立ての駆け出し冒険者を認めるなんて!

 なにか悪いものでも食べました?

 薬だしましょうか?」

「いらん。

 それに私は私のやりたいようにやっているだけだ。

 ここの皆もそうだろう?

 基準なんて作った覚えもない。

 皆に会わせてみたいと思った。

 それだけだ」

 ルーツの言葉にさらに唖然とした人々だった。

「ルーツにそこまで言わせる程の奴か。

 我も興味が出てきた」

 ルーツの正面に座った男が最初に驚きから立ち直り口を開いた。

「ルーツ。昨日冒険者になった者にいつもの薪を割らせたのか?」

「ああ」

「あの堅固杉けんこすぎの薪ですか。

 あれは駆け出しには難しいでしょうが、まさか割ったのですか?」

「慌てるなランブル。

 結果は割れなかった」

 ルーツは右隣の男をランブルと呼び、首を横に振った。

「あの杉は周囲のマナを吸って幹を堅くしよるからの。

 並の剣気を纏っても割れはせん」

 ルーツの左に座る男が堅固杉について話した。

「それがなコル爺。

 斧を堅固杉の半分まで押し込んだんだ」

「な、なに!?」

 さらに声を上げ驚く面々。

「そ奴は剣気をそこまで扱えるやつなのか?

 どこぞの国の者か?」

 ルーツの左に座りコル爺と呼ばれた男がルーツに聞いた。

「出身は聞いておらんが、剣気の事を知らなかった」

「「「「な、なんだと!?」」」」

「なんだって!?」

「どうやって斧を薪に入れたんだ!?」

 コルの隣に座った偉丈夫がテーブルに身を乗り出してルーツに聞いた。

「シモン。それだがな。

 俺が手本を見せて、それを見てまねたらしい」

「!?」

 もうみんな声が出なくなってしまった。

「奴が来る前からいつも通りに鬼気闘装ききとうそうして待っていたら、ずっと俺を観察して、剣気に気付くきっかけになったようだ」

「それは本当の話か?

 剣気をどこかで知っていたとか」

「いや、私もそう思って聞いてみたが、知らないと言っていたな。

 あと体の中でもう一つの光も感じたと言っていた」

「ん?まさか?」

 ルーツの正面に座った男とコル爺が反応した。

「たぶんだが、魔力の光だろう。

 だれしも魔力を持っているが、それに気付くのに時間がかかる。

 奴は剣気とともに魔力にも気付いたことだろう」

「くくく。それは久しぶりに面白い奴だな」

「だろう?デスト。

 だが奴はまだひよっこに過ぎん。

 それに世間で言う常識や知識も不足しているようだ。

 そこで皆に協力を頼みたく集まってもらった」

 正面に座った男はデストと言うようだ。

「慎重に事を進めないとな。

 ランス君のような事態は避けたいものだ」

 コル爺がルーツとデストを窘めるように言った。

「ああ。わかっている。

 皆のところにはいつものように・・・

 なぁ?マルク」

 ルーツは背後に振り返りながら、そこにいた男に話しかけた。

「ええ。皆さんのいつもの依頼を登録させてもらって、向かうよう手配します」

 マルクは気配を消しながら六人の座るテーブルに近づいた。

「マルクさん。お飲物は何にしますか?」

 そこに酒場の店員のような女性がマルクに注文を聞きに来た。

「ああ。ロンナ。

 これから仕事に戻るから水でいいよ」

「えー!

 気配消して入ってくるような方を話が進むまで見逃してあげてたんですよ?

 本来なら営業妨害でお帰りいただくところです。

 どう思いますか?皆さん」

 ロンナと呼ばれた店員は頬を膨らませ六人とマルクの傍まで近づいて抗議の声を上げた。

「まぁそう言ってやるな。ロンナ。

 マルクが軽々しく自由に動ける身ではないのを知っているだろう?」

 ルーツがロンナに話しかけると

「わかってます~

 では、果物の飲み物でもお作りしますね」

「ありがとう。

 お願いしますね」

 ロンナはカウンターの向こうに戻り、果物を取り出し始めた。

「では、改めまして。

 薬屋ランブルさん。道具屋ロールさん。

 魔術屋コルさん。鍛冶屋シモンさん。

 錬金術師デストさん。酒場ロンナさん。

 あなた方の依頼を冒険者ギルドに再登録させていただき、彼の冒険者を向かわせます。

 よろしいですね?」

 マルクが全員の顔を見回して確認を取る。

 全員がマルクに頷いたとき、

「悪いが半日は俺が預かる。

 皆も残りの半日でどうにか頼む」

 今度はルーツが全員の顔を見ながら伝えた。

「今回はお前が見極めたのだからな。

 好きにするといい。

 皆もいいな?」

 ゼストが残りの者達を代表して答え、皆それぞれ頷きあった。

「では、こちらもそのように手配します」

「よろしく頼む」

 マルクとルーツが頷きあった。

「これはまた楽しい日々が送れそうじゃの」

 ルーツの左隣りに座っている魔術屋コル。

「ですが、半日となるとこちらも考えておかないと困りますね」

 ルーツの右隣に座る薬屋ランブル。

「そうね。魔術や薬は時間が限られているから、準備が必要そうね」

 ランブルの右隣の道具屋ロール。

「なら、道具と鍛冶を先に勧めてもらおう」

 コルの左隣りのシモン。

「各自楽しみすぎて新人を壊すなよ」

 ルーツの正面、錬金術師デスト。

「一番気を付けてほしいのは、デストさんですよ」

 トレイに果物ジュースを乗せた酒場の店主ロンナ。

「皆もくれぐれも内密に。国に悟られる訳にはいかん。

 マルク。大変だと思うが一番注意してくれ」

 薪商人ルーツ。

「ああ。わかっている。

 あくまで依頼として派遣する。

 これ以上国の好きにさせる気はない」

 冒険者ギルド副ギルド長マルク。


 ここに一人の冒険者の今後を左右する会議が本人の知らない所で行われ、決定した。



 


 

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