16.離れゆく背中
前話から空いてしまいました。
下書きのストックが少なくなってきました。
期間空いたら必死に下書きしていると思ってください。
説明が終わって受付カウンターに戻って来ると、二階からアロンとマルクが降りてきた。
「アロンさん、クエストの報告終わったんですか?」
降りてくる二人を待ってシュウが聞いた。
「ああ。報告と報酬を受け取っていて時間がかかったが、二人も登録と説明は終わったみたいだな」
「はい。私達も今終わったところです。
アロンさん。登録料やここまでありがとうございました」
「ぼくも街に入るお金や登録料に助けてもらって、ここまでありがとうございました」
ティアリスとシュウは先程話し合っていたようにアロンに感謝を告げた。
「気にしなくていい。
これから冒険者となったが、無理せず自分を大事にして強くなれ」
アロンは二人を優しく見つめた。
「二人はパーティーを組んだのか?」
「いえ、ぼくはまだ戦い方がわからないので、簡単なクエストを受けつつ訓練しようと思います」
アロンの質問にシュウが答える。
「・・・そうか。
ティア。焦らず無理はするな」
シュウの答えにアロンはティアリスに心配そうな目を向けたが、ティアリスは黙ったまま目をそらした。
「二人とも、何かあればこのギルドを頼るといい。
ギルドは俺達冒険者を守ってくれる。
俺もしばらくはこの街に滞在する予定だから、何かあれば言うといい」
「ああ。何かわからないことや、困ったことがあれば言ってきなさい」
アロンの言葉にマルクが応じた。
「はい。よろしくお願いします。
アロンさん。お借りしたお金は頑張って絶対にお返ししますので、しばらく貸しておいてください」
シュウはアロンに払ってもらっていたお金を返す約束をした。
だが、アロンはニヤリと口の端を上げると、
「気にするなと言っただろうに。
それに冒険者登録は終わっただろうが、まず最初のクエストを終えるまでの金が必要だろう?」
「あ・・・」
アロンの言葉に考えが足りなかった事に思い至り、顔を赤くした。
「二人とも、しばらくはこのお金で生活と身の周りの物を整えろ」
そう言って、アロンはお金の入った袋を二人にそれぞれ出した。
「そ、そんなこれ以上受け取れません」
「そうです。それに私は少しなら持ってます」
シュウとティアリスがそれぞれ断ろうと袋を押し返していると、
「シュウ。冒険者は想像以上に厳しい。
体調は整えられる時に整えないと戦いで死ぬ。
ティア。君もだ。
資金はあるだけいい。
余裕が出来たら返せばいい」
「わかりました。
あるがとうございます。
これも合わせて返します」
二人はそれぞれお金を受け取った。
「それでは、今日はここまでにしよう。
宿屋や拠点の確保と身の回りの準備が必要だ」
アロンが二人に向かって言った。
「あ、泊る所か。
どこか安い所を探さないと」
シュウが気付いて呟いた。
アロンからお金は借りたが、クエストを達成し報酬を手に入れるまで、このお金で賄わなければいけない。
宿泊費だけでなく、身の回りとくに着替え等に加え、生きていくには食事も必要だった。
抑えられるところは抑えたい。
「余り安すぎる宿は勧められん。
体を休めるのも冒険者の大事な仕事だ」
「そうです。
安い所では安全性に問題がありましょう。
我が街の事ながら情けないことですが。
しっかり戸締りができる宿をおススメします」
アロンとマルクはシュウに注意をした。
曰く、安い宿では部屋に鍵がない所もあるらしく、寝込みを強盗に襲われたり、外出中に空き巣に入られることもあるらしい。
しかも、宿側が手引きしている可能性もあるらしい。
そのような宿は取り締まってほしいが証拠もなく、鍵がないこと等や万が一があっても保障しないことを最初に説明しているとのことで、泊まる判断は客の意思によるものだった。
だが、そのような宿に行き、被害に遭うのは駆け出しの冒険者のような金に余裕のない者が多く、他の選択肢がないことがほとんどだった。
「サーシャ。どこか手頃な宿を紹介してあげなさい」
ギルドとしても新たな冒険者が被害に遭わないよう、街にある宿の状況を確認し、営業妨害にならない程度に紹介していた。
これは、本来なら冒険者側から聞かれれば便宜を図ることだが、マルクは上級冒険者のアロンの知り合いということで、二人に便宜をはかる指示をした。
と、このやり取りの裏をシュウが知るのは大分経ってからだった。
「はい。わかりました。
え、ええと。この街で比較的安めで・・・」
サーシャから宿の情報を聞いたシュウとティアリスは、別々の宿だが行くことに決めた。
シュウは部屋に鍵がついており、飯が評判の宿。
ティアリスはシュウの宿同様鍵がついており、女性専用とまではいかないが女性の利用が多いという宿。
そこには風呂がついていた。
その後それぞれの宿に向かうため、ギルドの前で別れることになった。
シュウとティアリスは互いに健闘を祈りあい、機会があればまた会おうと握手をして別れた。
シュウは離れていく、早く強くなりたいという治癒術師の後姿を振り返り、目に焼き付けた。
そして、自分も自分のペースで強くなろうと誓った。
この日同時に冒険者となった二人だが、その道はここで別れた。
それぞれの道がどのような道となっているかはまだ誰もわからない。
それぞれの道がどうなっているのか私もわかりません!




