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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第二章 冒険者と仲間
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98.朝月夜に向けて

 解呪ポーションは持っている薬草をすり潰したり煮たりろ過したりといつもポーション作成で行っている作業の工程を連続したり同時に行ったりと複雑で初めて作った人はどうやってこの作成法に辿り着いたのか不思議に思うような作業だった。

 しかも、隣でティアリスとリンが真剣に見つめていたので更に緊張は増していた。

 ティリアスが手伝いを申し出てくれたがアルテに、作業の途中で魔力を操作する工程があり、作成者が変わると失敗する恐れがあると言われてしまい泣く泣く申し出を断った。

『告。

 下級治癒ポーション及び解毒ポーションの在庫減少。

 二人に作成または作成準備の協力提案』

(それだ!)

 昨日補充しておいた解毒ポーションもいくつか使ってしまったし、今後また同じような襲撃があるかわからいので用意をしておくことに越したことは無い。

「二人も良かったら下級治癒ポーションと解毒ポーションを作って補充を手伝ってくれない?

 器具は一つしか無いから空いてる器具を使いまわす感じで。

 できない工程に来たら薬草を洗ったり乾燥させたり次に使う準備をしてくれるかな」

「わかったわ」

「はい」

「じゃあリンさんには私が教えておきます。

 シュウさんは作業に集中してください」

 ティアリスが作ったことのある下級治癒ポーションをリンに教えてくれるようだ。

「了解。

 頼むよ」

「お、お願いします」

 リンをティアリスに任せて今度こそ解呪ポーションの作成に集中した。


 ちなみにリームは錬金術に興味がなかったのか、クランの様子を見てくれていた。


「できた」

 解呪ポーションの作業工程は慣れていない事もあり集中力が必要で時間が経つのを忘れていた。

 シュウが解呪ポーションを完成させた頃には隣で作業していたはずのティアリスとリンは出来る作業を終え、ティアリスはシュウの作業を見ていた。

 リンはリームに代わってクランの様子を見ていた。

 いつの間にかビアンゼも帰ってきており、食堂の一部のテーブルを寄せて広くして敷物を引いてそこにクランを移していた。

 隣でリームも寝ているようだ。

 ビアンゼはクランの血が汚した床を静かに拭いている。

 何かあったのか考え事をしている気がする。

「どのくらい時間かかった?」

 隣で見ていたティアリスにどのくらい作業をしていたかを尋ねる。

「うーん。

 時計を見ていたわけじゃないから正確な時間はわからないけど、一時間は過ぎてるかな?」

『告。

 一時間二十六分経過しております』

「ごめん。

 集中し過ぎてた」

「いいのよ。

 みんなあなたが集中できてる方が早くできるのがわかってたから声もかけなかったの」

「そっか。

 じゃあ、早速使ってみようか。

 これで治るといいけど」


 シュウは出来上がった解呪ポーションを持ってクランの横に移動する。

(呪いを解呪するのに量が必要って言ってたけど、足りるのか?)

『告。

 作業工程を見直し、濃縮工程を追加。

 人体に影響のない範囲で濃縮に成功』

(え?

 たしかになんかやたらと煮たりろ過したり多かったけど……。

 大丈夫なのか……?

 これ)

『問題ありません(たぶん)』

(なんか聞き捨てならない言葉が聞こえた気が)

『気のせいですわ』

(……)

『早くクランの治療を行っては?』

(そうだね……。

 濃縮されてるなら飲ませるよりも布に染み込ませて傷口から直接解呪するか)

『それがよろしいかと』


「よし。

 始めよう。

 もし、上手く解呪が出来たらティアは治癒術で傷を治してみて」

「わかったわ」

「じゃ、いくね」

 シュウは布を取り出して解呪ポーションを染み込ませる。

 それから布を右腕の傷口に当ててみる。

 ジュッ

 と言う音がしそうな感じでの布を当てた傷口から黒い煙が上がる。

「うっうう……」

 クランが辛そうな呻き声を上げる。

「頑張ってクラン!」

 リンがクランの左手を握り励ます。

 シュウが当てていた布を取ると、布を当てていた患部の皮膚の変色が戻っていた。

「ティア。

 治癒を!」

「ええ。

 準備はできてる!

 ヒール!」

 ティアリスは詠唱だけして発動待機していてくれたようだ。

 シュウの合図に即座に反応して、シュウが解呪したクランの傷口に手を添えて治癒術を発動する。

 傷口が淡い光に包まれ裂かれた傷の線が薄くなっていく。

 数秒で完全に消えたのを確認するとティアリスは魔術を止める。

「治ったかしら?」

 ティアリスが治した傷口を見つめて呟く。

「いや、まだだ。

 最初の時も治癒した後暫くしてから傷が開いた。

 もう少し経過を見ておこう」

「クラン……」

 リンがクランの手を祈るように強く握った。

 そこに、後ろからビアンゼが近づきリンの肩に手を置く。


 五分、十分と経過しても傷口が開いてちが吹き出すということはなかった。

「よし、とりあえず解呪ポーションは成功でいいかな?

 他の場所も解呪していこう」

「よかった。

 ヒールは任せて」

 シュウは慎重に呪われた傷口を確かめつつ、解呪ポーションを含ませた布で傷を解呪して回る。

 その横で解呪した傷にヒールをティアリスがかけていく。


 そして、クランの傷を癒しきる頃には窓の外が明るくなってきていた。

ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです

それではまた~


そろそろ宿襲撃編の終わりが見えてきた

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