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異世界王道冒険譚  作者: 雪野ツバメ
第二章 冒険者と仲間
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97.夜咄

こんなに続くとは思わなかったなー

 シュウは自分の部屋を出た後、二階の空き部屋を含む各部屋を確認して回った。

 予想通り気絶させて縛っておいた侵入者は逃げ出していた。

 空き部屋にも潜んでいる者はいなかった。

「安全の確認はできた。

 急いで錬金キット持って戻ろう」

 二階奥の部屋から一番手前の自分の部屋に駆け戻り、使ったまま置いていた錬金器具をまとめて魔法鞄に入れる。

「よし、戻ろう」

 忘れ物が無いか確認して階下に向けて部屋を飛び出した。


 一階の食堂に入ると、

「お兄さんだ!

 おかえりなさい!」

 リームがいつもの明るい声で出迎えてくれた。

「ただいま。

 上からここに来る気配感じたんだけど、戻ってこれなくてごめんね。

 みんな大丈夫だった?」

 テーブルに近づいて持って降りてきた器具を並べながら、二階で感じた食堂に向かう気配について尋ねる。

 気づいてはいたが二階で侵入者がいないか確認している時ですぐ食堂から離れていくのがわかったので誰かが対処してくれたのだと思っていた。

 何となくだが、一度目の襲撃者達やシュウの部屋から逃げた侵入者よりも気配が弱く感じた。

 一番強そうだったのは目の前で逃げた侵入者だった。

「リームさんが追い払ってくれました」

 丁度クランの手当てが終わったのかティアが立ち上がってこちらに歩きながら教えてくれた。

「えへへー。

 クランお兄ちゃんのお世話の邪魔しそうだったから追い払ったの」

「私にはリームちゃんが何をしたのかも見えなかったよ」

 シュウが食堂を出てから戻ってくるまでに落ち着いたのかリンもリームの活躍を教えてくれる。

「みんな無事でよかった。

 こっちは二階で気絶させた襲撃者は逃げられてたよ。

 一応見て回って来たけど誰もいなかった」

 食堂の状況がわかったので二階の状況も共有しておく。

「クランの状態は?」

 ティアとリンにクランの状態を確認する。

「ええ。

 今解毒が終わったところね。

 途中邪魔者が来たけど、さっき言ったようにリームさんが追い払ってくれたからみんな怪我が増えたりはしてないわ。

 置いて行ってくれたポーションで間に合ってくれてよかったわね」

「了解。

 じゃあ残りは呪いの方だね。

 急いで聖水を作ろう」

 器具の横に必要となる材料をアルテに教わりながら並べていく。

「この素材で本当に作れるの?

 とりわけ特別な素材は無いわよね」

 シュウが取りだした素材を横から眺めてティアリスが訊ねてくる。

「ティアリスさんわかるんですか?」

 さらにその横に来てリンがティアリスに聞いている。

「ええ。

 私の家は薬屋だったから。

 数は多いけど特別珍しい薬草は無いわ。

 どれも森で採れるものばかり」

「そうなんですね」

 ティアリスを見るリンの目に尊敬するようなものが含まれている気がする。

 シュウがいない間になにかあったのだろうか。

「でも、この素材で作れるならもっと冒険者の間で広まってるはずじゃないかしら。

 聖水があれば助かるって場面は依頼によって変わってくると思うけど、今みたいに教会がギルドに卸してる数と値段では手にできるのはごく一部の上級冒険者だけでしょうし。

 ビアンゼさんが話していたように遺跡調査の依頼なんかでは用意しておきたい物だろうから、冒険者の間で重宝されそうな物なのに」

 ティアリスのもっともな意見を受けるが、シュウも先程アルテからこっそり教えてもらうまでは知らなかったし、そもそも呪いなんてものがあるなんて知らなかった。

 元の世界の地球には言葉では聞いたことはあるが、実際に見た事もない。


(アルテ。

 そこのところどうなんだ?)

『解。

 これから行う錬金術による聖水の作成は厳密に言えば聖水ではなく簡易聖水、他の薬品に合わせると解呪ポーションに当たる物です』

(なんだ。

 聖水じゃないのか。

 そうだよね。

 さすがに錬金術でも聖水は作れないよね。

 神様の祝福なんてわからないし)

『否定。

 錬金術の技術・知識・素材が集まれば聖水の作成は可能です』

(え?

 本当に作れるの……?)

『肯定。

 水に聖なる要素を加えることで聖水の作成は可能。

 ただし、現在聖水の作成は教会が独占している模様。

 先の解呪ポーションが知られていない理由は解呪ポーションは聖水の下位互換。

 呪いの強弱によるが解呪するのに純粋な聖水と比べ大量の解呪ポーションが必要。

 そのため聖水が手に入りやすい時代に作成法が失伝された、もしくは教会が聖水や呪いの治療を独占するために失伝させたのではないか、と予想されます』

(は?

 本気で言ってるのか?

 教会が作成法を失伝……?)

『あくまで仮説です。

 結論付けるための情報が不足しています』

(そうだよな。

 聖水が手に入りやすかったら量のいるポーションを作る必要も無かっただろうし、その作成法が伝わらなくなるのもなんとなくわかる。

 過去の錬金術師もまさか聖水がこんな状況になるとは思わなかっただろうしな。

 その失伝した理由も後で調べてみるか)


 アルテとの思考加速によるやり取りが終わり、話せる範囲を考え、まとめる。

「きちんとした理由はわかんないけど、仮説なら。

 ランブルさん曰く、これから作る聖水は純粋な聖水ではなく簡易聖水。

 簡単に言うと解呪ポーション。

 ただ、聖水の下位互換になるから呪いを解呪するのに量が必要みたい」

「解呪ポーション……」

 シュウの説明で出てきた言葉を繰り返すティアリス。

「なるほど。

 たしかに解毒や解痺(かいひ)のポーションはあるから解呪があっても不思議じゃないか……。

 しかも上位互換に聖水がある」

「作成法が失われたのは聖水がもっと手に入りやすい時代に解呪ポーションが必要とされなくなったからかもしれないね」

 シュウはアルテの仮説の教会が絡んでいるかもしれないところは伏せておくことにした。

「何にせよ、呪いを解ける可能性がある解呪ポーションに賭けてみたい。

 今は何としてもクランを助けるんだ」

 シュウは錬金術の器具と素材手を伸ばした。

幕間含めた話数が100話になりました

こんなに続くとは思わなかったけど

話は思った以上に進んでません(笑)

これからもボチボチ書いていくので

隙間時間にでも読んでください!


ここまで読んで頂きありがとうございます

皆様の空いた時間を埋めるお手伝いができていれば幸いです

それではまた~

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