ペットの時間(キュイ サイド)
ペットの時間の別視点の物語です。
我が名はキュイ!タラントワームの中でも希少種と呼ばれる存在である。
我ら希少種は実は転生するのである。希少種は死ぬと転生してまた幼子として生まれ変わる存在だ。
生まれ変わる時はもちろん希少種だ。だから希少種の数は新たに増える事はない。死んでは生まれ変わり続けるのである。
そして前世の記憶ももちろん残っている。だから人族の言葉も理解出来るのである。
吾輩は前世では神獣として祭られていて社の中で生活していた。定期的にお供え物が出てそれを食べていたのである。
何故、神獣として祭られていたかとな?それは我らタラントワームは水属性にたけていて、雨乞いの儀式とかでも良く使われたりするのである。
そのタラントワームの希少種という事で神獣として祭られる事となったのである。たぶん、雨乞いの儀式の時に水の魔法を使い雨を降らせた為なのであろう。
その時に巫女と呼ばれる人族や神官と呼ばれる人族と話をし、言葉を覚えたのじゃ!
だが、寿命が来て我の命は尽きてしまい、転生先がここじゃった。
転生して初めて見たのがクラウンと言う幼子じゃった。クラウンは吾輩を見つけるとポケットに吾輩をしまい、他のタラントワームが始末される中、吾輩を守ったのじゃ。
まあ、吾輩はポケットに入れられている内に寝てしまったのじゃが。
次に目覚めたのはクラウンの部屋の箱の中じゃった。クラウンは吾輩に話しかけてきおった。
「君は俺の言う事が分かるかい?」
まだ、幼体の為に言葉を発する事は出来ないが人族の言葉を理解する事は出来る。
「キュイ!(もちろんじゃ!)」
吾輩は解りやすい様に頭を上下に振ってみせた。
「今から魔力を少しあげるよ!でも俺が倒れるほど全部の魔力は取らないようにね!」
クラウンは吾輩にそう言ってきた。別にクラウンの許可を取らずとも魔力を奪ってしまえば良いのだが、前世で神獣と崇められ、人族との交流もあった為
人族に危害を加えるのは躊躇われたのじゃ。それにこのクラウンの事が気になっておった。
魔物なのに平気で保護するし、先ほどはタラントワームを素手で捕まえておった。しかも魔力を吸われない様にちゃんと首を掴んでおった。
タラントワームは幼体とはいえ動きは速いし、どちらが頭かわかりづらい為に素手で捕まえるのは非常に難しいのである。
なのにこのクラウンはそこにおったタラントワームすべてにおいてきっちり首を捕まえておった。間違えて尻尾の方を捕まえてしまうと頭を伸ばして
魔力を吸われておったであろう。中々面白い幼子じゃ。
クラウンは今も何やらやっておる。どうやら魔力を指先に集めようとしておるようじゃ。だが上手くいかないようじゃ。
「魔力を吸えるかい?全部は吸うなよ?」
そうクラウンは言いだした。一瞬魔力を吸いつくして気絶させ、その間に逃げ出そうかとも考えたのじゃが少し気になる事があった為その言葉に従う事にしたのじゃ。
「キュイ!(よかろう!)」
そう言って吾輩は頭をクラウンの指先にくっつけ魔力を少しだけ頂く。魔力を吸ったが少しの為クラウンは大丈夫の様じゃ。
しかし、この魔力は…
…
うまい!なんという旨い魔力じゃ!
しかも魔力を食って解ったのじゃがこのクラウン、実に面白い小僧じゃ!
吾輩は相手の魔力を吸う事により相手の能力が解るのじゃが、この小僧、実に面白い能力を持っておる。
小僧の持っておった能力は『天才』と『超集中』じゃ。これは2つとも滅多に見る事はない能力じゃ。
『天才』はたしか、物事の理解や技の習得等が速くなる能力のはずじゃ。これを持っておれば人族でも有数の実力になるはずじゃ。
『超集中』は、この能力を使用すると身体を動かすのと頭で考えるのを同時に出来る能力のはずじゃ。つまり人族で言う思考が速くなるという能力のはずじゃ。
言葉で言うと大した事が無い感じはするがこれは中々すごい能力なのじゃ。
実にこの先が楽しみな小僧じゃ。
「よしよし、いい子だ!言いつけを良く守ったね!」
小僧はそう言うと吾輩を撫ぜ始めた。これは中々気持ち良いのじゃ。もっと触って良いぞ!
小僧はそれでは飽き足らず頬ずりまでしてきおった。
そしてさらにはキスまでしてきおった!?ムムム!ま、まさか!?
そうするとクラウンはこう言い放ったのじゃ!
「そうだ!せっかくのペットにするんだから名前つけなきゃね!」
と言い始めたのじゃ!この小僧は知っているのか知らないのかはわからないが、これは『隷属の儀式』じゃ!
『隷属の儀式』とは希少種のみの儀式なのじゃが、生まれてすぐの希少種の魔物に生まれて最初の餌(吾輩の場合は魔力)を与え、口づけを行い、名前を付ける。
これを生まれて1日以内に行えば『隷属の儀式』となり、その者と主従関係を結ぶ事が出来るのじゃ。『隷属の儀式』を行うと相手を殺す事はお互いに出来なくなり
ある程度たてば意思の疎通も可能になるのじゃ。しかし、主人(今回の場合は小僧じゃな)が死ぬと我輩も死んでしまうのじゃ。
そんなデメリットはあるが『隷属の儀式』をした希少種は新たに能力を得る事が出来るのじゃ。
人族の下に就くのは気に入らぬがこの小僧は面白そうだし、新たに能力を得るのも気になる。魔力も旨いしな!
ここは『隷属の儀式』を受けようじゃないか!ありがたく思えよ、小僧!
「泣き声から『キュイ』ってのはどうだ?」
「キュイ!(よかろう!)」
どうやら小僧、いやこれからはクラウン殿の呼ばねばな!クラウン殿は名前を考えるのは得意ではないようだな。まあ名前なんぞ何でも良いがな!
それよりも『隷属の儀式』により新たに2つの能力を手に入れたぞ!これは嬉しいのう!
手に入れた能力は『質量変化』と『透明化』の二つじゃ!
『質量変化』は簡単に言えば大きさを変えれる能力じゃ!だが小さくなればその分重量も下がる。これは便利な能力じゃのう!
『透明化』は身体を周りに合わせて透明に見える能力じゃ!魔力感知や匂いまでは消えぬがこれも便利な能力と言えようぞ!
これはすばらしいのう!両方とも色々面白そうな能力じゃ!
我輩は嬉しくて周りを飛んでいると、クラウン殿が我輩に問いかけてきたのじゃ。
「キュイ!いくつかお約束事があるが守れるか?」
「キュイ?(何をじゃ?)」
「まず、俺が許可しない限り、勝手に俺や他の人の魔力を吸わない事!」
我輩は『隷属の儀式』により最低限の魔力は維持出来る為にクラウン殿や他者の魔力を吸わなくとも死ぬことは無い。これは別にかまわないじゃろう。
「そして、俺以外に極力見られない様に出来るか?」
「キュイ!(これでよいのか?)」
待ってましたとばかりに我輩は『質量変化』の能力を使い身体を小さくした。これは中々よいな!これならクラウン殿のポケットとかに入っている事も出来るし、
どこかに隠れたりすることも可能じゃのう!
クラウン殿も驚いているようじゃ!これは愉快!ならばもう一つの能力も見せるかのう!
「キュイキュイ!(消えろ!)」
『透明化』の能力を使用すると身体が消えた。これも便利じゃのう!クラウン殿にはまったく見えないようでキョロキョロ探しておるわい!
『透明化』を解除すると先ほどよりさらに驚いておる!愉快愉快!
「すごいな!キュイ!これなら大丈夫そうだな!」
クラウン殿は我輩の頭を撫でながらそうほめてたたえた。気分が良いのう!
「最後にもう一つ!俺の魔力を吸ってもいいけど・・・死なない程度にね。」
最後にクラウン殿はそう言った。我輩は『隷属の儀式』によりクラウン殿を殺すことは出来ぬ!そしてクラウン殿が死なぬ様に我輩が守ってやるぞ!
こうして我輩とクラウン殿は主従関係を結ぶ事となったのじゃ!
これから何が起こるのかはわからぬが退屈せずにすみそうじゃて!
わっはっはっはっは!




