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悪徳領主に俺はなる!  作者: 秋月の兄貴
17/17

反省と師匠達との相談の時

遅くなりました。続きになります。ご堪能ください。

「今日は死にそうな目にあった! お前らのおかげで俺は生き残った。本当にありがとう!」

俺はマーク、リーネ、ハワード(何故かクラストまでいる。)達に向かって頭を下げた。

俺は師匠達(マーク、リーネ、ハワード)だけを呼んだのに何故いるんだ?

「何があったんですか? こういっちゃなんですがクラウン様、結構強いですよ?」

「そうですよ、クラウン様が死にそうな目にあうなんてどんな敵なんですか?」

マークとリーネが聞いてきた。クラストも驚いている。

俺は無言で魔法の箱からシルバーボアの死体を取り出した。

「「シ、シルバーボアァ!!」」

ハワードとクラストが目を見開いて、同時に叫んだ。んっ? 

何でそんなに驚いてるんだ?

その言葉を聞いてマークとリーネも驚いている様だ。

「シ、シルバーボアってC+かB-の魔物ですよ! 見るのは初めてだけど!」

マークが叫んだ。リーネは言葉を失っている様だ。

今度はクラストが叫んだ。

「クラウン様! シルバーボアと出会って何で生きているんですか!」

「シルバーボアと遭ったら、普通は逃げます! ソロで戦うなんて死にに行く様なものですよ!」

マークも一緒になってひどい事言ってるな…

しかし、そんなに強いのか…

「とりあえず、お前らに鍛えられたからかろうじで生き残った。ありがとう!」

「「「いやいや、ソロじゃ無理ですから!」」」

みんなが揃って突っ込んでくる。こいつら仲がいいな…

「まあ、こいつにも助けられたんだけどね。出て来い、キュイ!」

そういうとキュイは現れた。もちろん小さいバージョンだ。

「「「タ、タラントワーム?!」」」

またもやみんな揃って叫んだ。やっぱ仲いいじゃん…

「うん、俺のペットだ!」

「ぺ、ペットォ!?」

「タ、タラントワームですよ! 魔力喰われちゃいますよ!」

「ま、魔物をペットなんて聞いた事ないですよ!」

「…危ない。」

各々が驚いている。こんなにかわいいのに…

「大丈夫だよ! キュイはおとなしいし、命令しなきゃ誰も襲わないよ。俺にも襲ってこないもん。」

「ど、何処でその魔物を捕まえたんですか!」

少し落ち着いたクラストが聞いてきた。

「ん? タラントワームの巣事件の時に捕まえて隠して飼ってた!」

「そんな前から!」

皆が皆、驚いている。こいつら本当は兄弟かなんかじゃないのか…?

そんな時にハワードがポツリとつぶやいた。

「…何かおかしい?…」

「ん? 何がおかしいんだ?」

「…色が違う…」

「そうだ、タラントワームは色は薄桃色で羽根は紫色だ! じゃあこいつはレア種?」

お前ら、意外に鋭いな! キュイは白に紺だからレア種だろうな!

「でも、レア種ってこんな色でしたっけ?」

「まあ、レア種にもいろいろいるからなあ…」

「…希少種……それは無いな…」

ハワードがボソッとつぶやいていたが誰にも聞こえなかった様だ。まあ、希少種がそこらにいる訳が無いよ!

「このキュイが助けてくれたんだ。知っての通りタラントワームは物理攻撃無効だからシルバーボアの攻撃を無効化してくれたんだ。『魔力喰い』は効かなかったけどね。」

「物理攻撃無効…でもシルバーボアは『咆哮』でダメージ与えるから全部は無効化出来ないのでは…」

「そうか! 『魔力喰い』で魔力が減ってたから、『咆哮』を抑えれたんだ!」

何? 『咆哮』そんな攻撃あったのか… 危なかったな。

「だからって、よく無事でしたね…」

マークが聞いてきたので、俺は魔法の箱から剣と鎧を出す。剣はもうボロボロで両刃の刃先は所々欠けている。

皮鎧も肩の部分は千切れ飛び、胴の部分も割れていて防具としては役に立たないだろう。

その状態を見て皆は絶句している。

「この剣そう簡単には刃こぼれしませんよ… 『状態維持』の魔法かかっていますから、そんじょそこらの攻撃では刃こぼれしない様になってるんです。なのにこんなに刃こぼれするとは、流石シルバーボア…」

「…この皮鎧も、雪豹の皮使ってるからちょっとやそっとの攻撃では壊れない…」

この剣と皮鎧そんなにイイ物だったのか! とちょっと感動してしまった。

「そんな良い物だったの?!」

俺が驚いてそう言うと3人が反論した。

「当たり前ですよ! 仮にもクラウン様が使うんですから、もし何かあっても対処出来る様に手に入る中でもっとも良いのを渡したんですから!」

「…鎧はクラウン様の身を守る物だから、俺の持ってる中で一番上等な鎧をサイズ変更して渡した…」

「私の杖と指輪だってそうですよ!」

お前ら…偉いな!

俺の為にそんなにも考えてくれてたんだ…

ちょっと感動したぞ!

「みんなありがとう。でも今回の戦闘で思ったんだ。俺は対人戦では鍛えてるからある程度は何とかなる。でも今回みたいな強い魔物相手だと敵の防御力を突破したり、魔法防御を突破する手立てが無いんだ。」

「クラウン様はどんな魔物を相手にするつもりなんだろう…」

マークから突っ込みが入るがあえて無視して話を続ける。

「だからお前らに、いやっ皆にお願いがある! そう言った強敵相手にどうしたらいいのか教えてほしい!」

俺は4人に頭を下げてお願いした。

4人は腕を組んで考え込んでいる。

暫く経った頃だろうか? リーネが言い出した。

「クラウン様、私は魔法でゴリ押しします!」

「でも、魔力にも限りがあるだろう? 魔力切れたらどうしてたんだ?」

「そ、それは…」

リーネは少し考え込んでこう言いだした。

「わかりました! 私のとっておきの品を見せます。私はこれでヤバい状況を切り抜けてきたのです!」

そういうとリーネは小さな円柱形の箱の様な物を取り出した。色は青色で呪文のような模様が描かれている。

俺はそれを見ながら聞いた。

「それは何だ?」

「これは『魔力の箱』と言って、魔力を溜めておける物です。魔力を使い切ったらこれを使い、その間に逃げるか倒すか決めます! これが私の切り札です!」

リーネは胸を張って答えた。結局、高い魔法防御を突破する方法ではないのが何とも言えないが、そのアイテムの効果には驚いた。

「それすごいね! 何処で売ってるの?」

「これはダンジョンでもめったに出ない貴重品ですよ! 私も冒険者中にたまたま出て、みんなに頼み込んで全財産はたいて買ったんですから!」

「多分、オークションで買っても城買えるぐらいの値段すると思いますよ…」

リーネの回答にクラウスの補足が入った。そんなに高いのか…

なら、リーネにおねだりは出来ないな…

「それあったら、今回みたいな事があっても助かると思ったのに… そんなに高いんじゃ駄目だね…」

俺はがっくりと肩を落とした。リーネを除く3人はじっとリーネを見ている。

そんな視線に我慢出来なくなったのか、リーネが叫んだ。

「わかりました! わかりましたよ! クラウン様! これは貸してあげます! ぜっっっっったい返して下さいよね!」

「えっ!? いいの!?」

俺は予想外の回答に驚いて聞き直した。

「まあ、冒険者やめた私には必要ない物ですから… 必要なクラウン様が持っていた方が良いですよ…ね…」

もう、泣きそうな顔のリーネである。

「でもでも、高いんですから絶対返して下さいね! 無くしたら本気で泣きますからね!」

そういいながら、半泣き状態のリーネだった。

リーネから『魔力の箱』を受け取った俺は大事にしまい込んだ。

「リーネ! 必ず返すからね! それにこのお礼は必ずするからね! 何かあったらいつでも言ってね!」

そう言うと俺はリーネの手を取りブンブンと上下に振った。リーネも苦笑いをしながら、なすがままにされている。

リーネはおずおずと話し始めた。

「だったら…クラウン様のおやつを、私もほしいんですけど…」

どんだけおやつ好きなんだよ。俺は胸を張って答えた。

「わかった! 料理長に言っとくから! これからは毎日俺のおやつ食べていいからね!」

「ほ、本当ですか! ありがとうございますぅ!」

今度はリーネが俺の手を持ってブンブン振っている。今度は俺が苦笑しているとマークが話しかけてきた。

「クラウン様、俺としては予備の武器を持つべきだと思います。俺も剣は数本持っていて、その中には魔剣もあり魔剣の中には魔力を流すと切れ味が上がるのもあるのでそれで対応しています。」

「お前は剣マニアだからな… ただクラウン様、予備の武器を持つのは賛成です。メインの武器が壊れた時の予備として重要と思われます。それと、もう一つ案があるのですが。」

マークは予備の武器を持てとの事だ。それに魔剣だと!

確かにそんな魔剣があったらシルバーボアとの戦いもどうにかなっただろう。

でも、そんな魔剣がポンポンと手に入るものだろうか?

クラストの話ではマークは剣マニアらしいが魔剣をくれないだろうか…

マークに聞いてみた。

「その魔剣って簡単に手に入るの? マーク、剣たくさん持ってるならくれない?」

「無理です! コレクションをあげる訳にはいきませんよ!」

「まあまあ、クラウン様。私の話をもう少し聞いて下さいよ。マークは剣コレクションが有り、防御の高い敵等も敵の弱点に対応した剣を使用する事で有利に進める事が可能です。私は防御無視の『剛剣』の技で対応が可能ですし、高い防御力もあります。」

マークは色々な剣で、クラストは防御無視の技と防御力で色々な敵に対応しているのか…

俺はどれを選べばいいんだろうか…?

俺が思案しているとクラストから意外な言葉が出てきた。

「クラウン様には俺のやり方もマークのやり方もお勧め出来ません!」

「なんだって!」

俺は思わず聴き直してしまった。

「説明致します。まず、マークのやり方ですが魔剣というのはどれも高く、数を揃えないと対応は難しいと思われます。クラウン様がマークの様にこれからの稼ぎをすべて剣に注ぎ込むのであれば問題無いですが、クラウン様の目標はそうじゃないですよね?」

そうクラストが聞いてきた。俺は頷いて肯定の意思を表す。横ではマークが文句を言っているが聞こえなかった事にした。

クラストは話を続ける。

「そして俺の防御無視の技ですが、これはクラウン様には向きません。理由は二つ。一つは戦い方の違いです。クラウン様はマークに似た相手の攻撃を避けて反撃をする、スピード型のカウンタータイプです。だが私は高い防御力に物を言わせたタンカータイプで攻撃も力任せのパワータイプです。この『剛剣』の技はパワータイプの技でタメも長いのでスピードタイプのクラウン様には向かないと思います。」

『剛剣』はタメが必要なパワータイプの技かぁ…

確かに今の俺の戦いには向かないかもしれないなぁ…

そう考えているとクラストが続きを話し始めた。

「もう一つの理由は、その体型です。その子供の体型では難しいと思われます。将来的には身体も大きくなり『剛剣』を使いこなせる可能性も高いですが、今スグとなると難しいでしょう。」

体型かぁ…

確かにこればっかりは今すぐどうにか出来る問題では無いよなぁ…

更にクラストが話を続ける。

「そこでクラウン様に一つ提案があります。槍術を覚えてはいかがですか?槍術ならスピードタイプの技も多いですし、スピードを

活かした攻撃もあります。これを期に槍術を覚えたらいかがでしょうか?」

槍術かぁ…

それもありかも知れないな!

でもひとつ疑問があり聞いてみた。

「で、槍術を覚えるとして、誰が教えてくれるの? クラストが教えてくれるの?」

「私は槍術はそんなに上手くないんですよ。騎士として基本的な槍術は覚えていますがそれほどの腕ではありません。私よりも遥かに槍術の上手い達人クラスの人がいますよ。それも身近に。」

「誰なんだ? それは?」

俺はクラストに聞いてみた。槍術を使う人に心当たりなんか無かったからだ。

「ジェイド様ですよ!あの方の槍術の腕は一級品ですから。」

「親父かぁ…」

親父がそんなに強いとは意外だった。親父はクラストと比べると体型も普通だし、武官というよりは文官の感じがするのだ。

そんな親父が騎士団長であるクラストにこれほど褒められるとは嬉しい事だ。

「どうですか? ジェイド様に槍術教わってみませんか?」

「そうだな、考えてみよう。」

俺はそう答えた。するとクラストは立ち上がった。

「それならば、私もクラウン様にお渡しする物があります。しばしお待ちを。」

そう言うとクラストは部屋を出て行った。何を渡されるんだろう…?

そんな事を考えていると、ある事を思い出して聞いてみた。

「リーネ、素早さ上げたり攻撃力上げたりする魔法って無いの? 攻撃魔法以外ほとんど習って無かったんだけど…」

「え~っと…無い事は無いですけど…」

「えっ? あるの?」

「付与魔法と呼ばれるものですね。普通は魔法覚える時に一緒に教わるはずですが…。」

マークが補足してくれた。付与魔法というのか…

マークとハワードと共にじっとリーネを見ている。リーネは目を反らせながら口笛を吹くような口をしている。

…リーネ、口笛吹けてないよ… 

…ヒュー、ヒューって口で言ってるだけじゃん…

俺は聞いてみた。

「なんで付与魔法教えてくれないんだ?」

「…実は、攻撃魔術以外覚えてないんです…」

リーネから意外な言葉が出てきた。リーネは続けて言い訳を始めた。

「だって、魔法使いですよ! 攻撃魔法だけでいいじゃないですか! 魔法使いは攻撃魔法使ってなんぼですよ!」

こいつは火力バカだったのか…

付与魔法とか支援魔法とか攻撃以外の魔法を如何に上手に使うかが魔法使いの腕の見せ処で重要なのにいるんだよな、こうゆう攻撃しか見てない奴が…

なんて役に立たない子なんだ…

するとクラストが戻ってきた。

「クラウン様、どうしたんですか? この変な空気は?」

「リーネが攻撃魔法しか覚えてないらしくて、付与魔法覚えてないらしいんだ… 俺としては付与魔法とか覚えたいんだが…」

リーネは明後日の方向を向いて、私は関係無いのを強調している。

お前がこの話のど真ん中にいるんじゃ!

すると、クラストから意外な言葉が出てきた。

「クラウン様、付与魔法なら超一流の使い手を一人知っていますよ!」

「本当か? 誰なんだ?」

「ジェイド様ですよ。ジェイド様は槍術と付与魔法の使い手で、その二つを使った戦い方から『疾風のジェイド』の二つ名が付いたほどです。まあ、その二つ名は用兵運用の速さから付いている事もあるのですが…」

「親父凄かったんだな…」

「凄くなかったら俺やマークが下に付きませんよ。」

確かにそうだな…

こいつらも二つ名持ちだったな。ここは話を変えてそらすか。

「ハワードは強敵と戦う時はどうしてるんだ?」

「…基本…強敵…罠を駆使する。退路にも罠…そこに誘導…。それよりクラウン様、矢…何使ってる?」

「矢?木の矢だけど?」

「それ…駄目…。スキル使う時…ここぞの時…強い矢や状態異常の矢…使う。その為の…矢筒。」

「なるほど! あの矢筒なら色んな種類の矢を入れれるから使い分け出来る訳だな!」

「後、簡易用罠…ある…ちょっと、待って…」

そう言うとハワードがどこかへ出て行った。暫くするとハワードは戻ってきた。

俺の手に色とりどりの玉? の様な物が置かれた。

「これは何?」

「簡易用罠…赤はトラバサミ、緑は毒煙玉、青は睡眠玉、黄色が麻痺玉。地面に投げると発動する…」

なるほど、こんなお手軽な罠があったのか!

「後、これ…」

そう言うとハワードは色々な矢を渡してきた。

「俺の持ってる…色々な矢…全部…クラウン様へ…」

「いいの!?」

ハワードは頷いている。ハワード! やっぱいい奴だな!

するとクラストが横から覗き込んだ。

「ハワード、すごいな! エルフの矢まであるじゃないか! これ高いんだろう?」

「クラウン様の為…もう、怪我するの…駄目だから…」

「はっはっはっ、さすがハワードだな! なら俺も奮発しないとな! クラウン様、これをどうぞ!」

そう言うとクラストは一本の槍を手渡してきた。ショートスピアか手槍なのか、少し短い槍だ。

全体が金色の金属で出来ている西洋風の槍だ。騎士が馬上で使うような槍の小さい版と言った所か?

手に持ってみると意外と結構軽い。

「この槍は魔力を流すと形状や長さを変える事が出来ます。今の形状は刺突用の槍ですが刃先の付いた切れる槍や投擲用のジャベリンの様な形状などにも変化可能になります。ただし、しっかりとその槍の形状をイメージしないと上手く変形出来ませんのであしからず。まあ、クラウン様は魔法も使えるのでイメージは問題無いでしょうが。」

俺は試しに一般的な、棒の先に刃先の付いた槍をイメージしながら魔力を流してみた。

槍は一瞬光ったかと思ったら、俺のイメージした通りの形に変わった。

す、すげぇ!

「すごいね! クラスト!」

「さすがクラウン様、イメージがしっかりしていますね!」

横からマークが口を出してきた。

「団長! それ魔槍じゃないですか! クラストの家宝にするって言ってませんでした?!」

「家宝?! そんな大切な物もらえないよ!」

流石に家宝を俺に渡しちゃダメだろ!

「はっはっはっ、大丈夫ですクラウン様。これは私がジェイド様に騎士団長になったお祝いにとくれた物なんですが、私は別の魔槍を手に入れましたので、予備武器としていたのです。何でもジェイド様が冒険者をしている時に手に入れた

品な様ですよ? ジェイド様も私の予備武器としているより、クラウン様に使って頂いた方が喜ぶと思いますから。」

「でも、家宝って…」

「尊敬するジェイド様に貰った物ですから、家宝にでもしようかと話していただけですよ。実際の家宝ではありませんから。」

「でもいいの?」

「これなら小さな体のクラウン様にも無理無く使えますし、体が大きくなっても使う事が可能ですから、クラウン様向けの武器だと思いますよ。」

そこまで俺の事を…

クラスト、お前もいい奴だな…

俺が大事そうにその槍を見つめていると、急にマークが叫びだした。

「ダーッ! みんなそんなお宝級の物をクラウン様に渡して、俺だけ何も渡さなかったら、俺がせこい奴みたいじゃないですか!!」

「そ、そんな事無いよ!」 

俺は慌てて否定する。

「…気にするな」

「私はあげていません! 貸しているだけです!」

ハワードとリーネも同調する。

「はっはっはっ! まあ、マークじゃあこういうのを渡すのは無理だろうな。」

クラストは更に煽っている。

「いや、マーク! 本当にいいから!!」

俺は両手を振って大丈夫なのを強調した!

「いいえ、クラウン様! 俺は仮にもクラウン様の剣の師匠です! クラウン様これを…ど…どうぞ…くぅ。」

マーク… 涙目になってるぞ…

無理すんなよ…

マークの手に持っているのは柄頭に赤い宝石のついた短剣の様である。

マークが説明を始めた。

「これは火の魔力を秘めた短剣です。『火球』のワードを唱えれば火の玉を出す事が出来ますし、『火を纏え』とワードを唱えれば

火のエンチャットがかかります。欠点は魔力の消費が少し多い事ですが、クラウン様は魔法使いですから問題無いと思われます。」

さっきは涙目だったのに今はえらく自慢げに説明しているな…

どんだけ自分の武器の自慢するのが好きなんだよ…

「でも、魔剣だから高いんだろう? 悪いよ…」

「大丈夫です! 炎系の魔剣は後2本ありますから!」

どんだけ魔剣持ってるんだよ…

「マーク! ありがとう。大切に使うよ!」

「みんなもありがとう! お礼と言っては何なんだが、シルバーボアの好きな部位持ってっていいよ!」

そう言ってシルバーボアを差し出した。

するとリーネが勢いよく手を挙げた。

「肉! 肉下さい!」

食い気か。リーネ!

「俺は… 毛皮…」

ハワードは毛皮だな。

「じゃあ、私とマークは牙で! お守りにします。」

残りはギルドに売るかな。

それでも結構な儲けにはなるだろう。

去り際にクラストに再度釘を刺された。

「クラウン様、是非ジェイド様に話しして付与魔法と槍術を習って下さい。きちんと説明すれば、きっとジェイド様もわかってくれますよ。」

そう言ってクラストは部屋を後にした。

説明かぁ…

どこまで話せばいいんだろう…

俺は今後の事についてじっくりと考えた…


…俺はどうしたらいいんだろうな…


後日、ハワードが俺のあげたシルバーボアの毛皮で新しい皮鎧を作ってくれた。なんとなく山賊っぽいけどカッコイイ鎧だった。

ハワード曰く、サイズが合わなくなったらその都度手直しする様に話は付けたし、毛皮もその分も合わせて渡しているとの事だ。

用意いいな! ハワード!


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