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悪徳領主に俺はなる!  作者: 秋月の兄貴
15/17

初クエストの時(町中編)

初クエストの時の後編になります。

次の日、俺は冒険者ギルドに向かった。今日もクエストを受ける為だ。

今日は、昨日とは違い、街中のクエストを受けるつもりだ。クエストボードを見ていると荷物を届けるクエストがあった。

よし、これにしよう。

昨日と同じお姉さんがいたのでそこに行く。

「おはよう!今日はこれお願いします!」

「クラウン様、おはようございます。今日は…これですか? 町中のクエストですよ?」

「大丈夫! 今日は町中をのんびり見ながらクエストやる予定だから!」

「そうですか、ならついでにもう一つクエストやって頂けませんか?」

そういうと、お姉さんはクエスト用紙を俺の前に出した。中を見ると手紙を届けるクエストの様だ。こんなの誰でもいいんじゃないの?

何故、俺なんだ?

そうしたら、お姉さんが説明してくれた。

「このクエストなんだけど、期限が今日までなんですよ。なのに今日まで誰もクエスト受けてくれる人がいなくて困っていたんです。町中ですし、ついでに受けてくれませんかね?」

なるほど、そういう理由か。まあ、わからなくないな。

ついでだしいいかなぁ?

そうやって思案していると、お姉さんが声をかけてきた。

「クラウン様が受けてくれないと、後で私が行かないといけないんですぅ!どうかお願い!後で何か奢ってあげるから!」

そういうとお姉さんは手を合わせてお願いして来た。そこまで頼まれたら仕方ない。

「わかりましたよ。奢ってくれなくていいから、安くて美味しいお店あったら教えて下さい。僕、奢りますから。取り敢えずそのクエストと、このクエスト両方受けますから受領して下さい!」

「本当? ありがとう! 今度ケーキがすっごおおおく美味しいお店教えてあげるね! 一緒に行こう!」

お姉さんは俺の手を取ってぶんぶん上下に振って喜びと感謝を露わにした。

大袈裟だな!

俺はどうして良いかわからずにあたふたしていた。

すると、お姉さんは手を放し、思い出したかの様に用紙を2枚と手紙を出した。

「荷物運びのクエストは武器屋に行って荷物を受け取って、指定の所まで持って行って下さい。その時、この用紙に送り主である武器屋と荷物受取人のサインをそれぞれ貰って下さい。手紙はサウスさんへ届けて下さい。渡したらサウスさんへ受取のサインを貰って下さい。以上となります。判りましたか?」

「はい!行ってきます!」

俺はそう言うと、ギルドを出ていった。今日は天気もいいし、ぶらりと散歩しながらのんびりとクエストをこなすとしよう。

この町の事を少し話そう。この町はウェンステッド領の主要な都市(まあ、主都みたいなものだな)でテレスという都市(都市と言うより町…だな)

で片田舎の町の様な感じだ。この町は綿花が主な生産品でここの名物となっている。

町は4つに分かれていてそれぞれ貴族街、住宅街、商業街、職人街に分かれている。俺の家は貴族街にあり、その中でも商業街に近い所にある。

貴族街はお屋敷が多く、そんなに沢山はいないが貴族がいる。家より大きい家もたくさんある。ここは首都からそんなに離れていない為に首都に住めない貴族達がここで暮らしているのだ。

商業街には色々なお店が並んでいる。ここは結構にぎわっていて町の人や、冒険者、旅行者等が買い物に訪れている。酒場や宿屋もこの商業街に多くある。中には例外もあり、職人街や貴族街にも少しだが宿屋がある。俺がよく行く酒場も冒険者ギルドもこの商業街にある。

職人街は職人が住む町で職人がやっているお店もいくつかある。鍛冶屋や武器屋、薬屋などがここにあるのだ。職人達が住むだけあってシンプルな作りの

家が多いが、一階に作業場がある事が多い。

住宅街には一般家庭が多く生活をしている。ここには中流家庭が住んでいる。町には仕事場が多い為にそこに通っているのだ。

町の外にも住宅があり、ここには低所得家庭等が住んでいる。前にに少し話したストリートチルドレンとかもここに住んでいる。ストリートチルドレンは

戦争孤児や親を魔物等に殺された者や貧乏な為に親に捨てられた子供達だ。住宅街の子供と比べると服装がボロボロな子が多い為、わかりやすいのだ。

この町の人たちはこの子供達が何も生産性が無い事、盗みをしたり犯罪予備軍となったりする為に嫌ってる人が多い。

孤児院も教会が運営しているのがあるのだが、いかせん孤児院が収納出来る子供に限りがあり金銭的な問題もあり、放置している。

まあ、孤児院はお金がかかるからな…


俺がまず向かうのは職人街にある武器屋だ。色々見て回りながら目的の武器屋に着く。

「ごめんくださーい!」

挨拶しながら店の中に入るが誰もいない。返事もない。

んっ? 留守か? 

俺はもう一度声をかける。

「すいませーん! 誰かいませんか?」

「うるさいわ! 聞こえておるわい!」

店の奥から髭もじゃのちっこいおっさんが出てきた。背は俺と変わらないぐらいちっこいが、横にはでかい。俺が2人ぐらい入りそうな体格だ!

これは、ドワーフだ! この世界には居るんだ!

そう、感動しているとこのドワーフは俺がビビっていると勘違いしたドワーフは面倒くさそうに声をかけた。

「なんじゃ小僧! ここにはお前に売るもんは無いぞ! 帰った帰った!」

「いえ、僕は買いに来た訳では…」

「なんじゃ? 冷やかしならさっさと帰ってくれ!」

「いえ…」

俺はこのドワーフの迫力に押され気味だ。このドワーフはまったく聞く耳を持たないといった感じである。このままでは押し負けると思った俺は大声で言った。

「冒険者ギルドの紹介で荷物運びに来ました! これが依頼書と僕のギルドカードです!」

そう言うと、依頼書とギルドカードをドワーフに見せつけた!

「なんじゃと! お前は小僧じゃないか? 何故冒険者なんぞやっている?」

「冒険者の試験に受かったからです! 荷物とサイン下さい!」

「ん? お前の腰に差している剣は…」

「これですか?」

俺はマークに貰った剣をドワーフにさし出す。

「これはわしがマークに売った物じゃないか? マークが確か領主の息子にあげるとか何とか言ってた気が…」

「それ、僕です!」

「お前があの領主の息子じゃったのか! だが、何故冒険者なんぞに?」

「お金稼ぎと身体鍛える為です!」

「でも冒険者は12歳からじゃ無かったか?」

「そこはごり押ししました! マークに鍛えてもらったから剣の腕はありましたし。」

実は魔法と弓術も鍛えた事は黙っておいた。

「じゃが、この剣は魔法剣士用の剣じゃぞ?」

「ま、魔法も使えます…」

そうか、剣でばれてるのか…

「その歳で魔法剣士なのか? やるな、小僧!」

「ありがとうございます。」

こうやって面と向かって褒められると照れるな。

「剣をチェックしてやる。見せてみろ。」

そう言うと俺の剣を受取り、しげしげとチェックしている。

まだ、そんなに使ってないから痛んでないと思うんだが…

「剣の腕はまあまあみたいだな! これからもがんばれよ!」

「はい! …って荷物とサイン下さい!」

「そうじゃったそうじゃった! ほれ、これが荷物じゃ。この荷物を貴族街にいるギルバード氏まで届けてくれ!」

そういうと1m四方の箱を出してきた。

「これは生き物とか壊れ物とかじゃないですか?」

「生き物じゃないが壊れてはいないぞ? 壊れてる物を売ったりはせんわい!」

「違いますよ! 壊れ物とは壊れやすい物の事です。ひっくり返したり、少し手荒く扱った時に壊れてしまう物かどうかを聞いてるんです。」

「そういうことか! これは小型のナイフじゃからそれぐらいでは壊れたりはせんぞ!」

「では、預かります。」

そう言うと、箱を預かり魔法の箱に入れた。

「魔法の箱を持っておるのか? だからさっきあんな事を聞いたのじゃな。」

「はい、魔法の箱に入れて運べば安全ですし、周りに荷物運びしている事に気づかれませんから盗難の心配もありませんから。」

「なるほどのう。ほれ、サインも終わったぞい。」

「ありがとうございます。では、行ってきます。」

「おう、また武器のメンテナンスに来いよ!お前なら格安でやってやるからな!」

「はい! 行ってきます!」

そういうと武器屋を後にした。武器屋のおっさんは見た目は怖いがイイ人な様だ。武器を買い替える事があったらここに来よう!

俺はそのまま貴族街にあるギルバードさんのお宅に向かった。貴族街はここだけ世界が違うかの様に立派だ。

屋敷も普通の家が2つ3つ入りそうな立派な作りの屋敷が多い。歩いているのは使用人っぽい人やおかかえ商人っぽい人が多い。

中には俺の様に散歩している貴族の人もいるが少数だ。貴族は基本的に買い物はあまりせずにおかかえ商人や使用人が代わりに買い物に行く事が多いらしい。

道がややこしくて道に迷ってしまった…

商業街はよく歩くのだが、貴族街はあまり歩いた事が無い為に迷子になってしまった。

貴族街は判りにくい…

仕方ないので近くを通っていた使用人風の女の人(メイドさんっぽい人)にギルバードさんの家を聞いた。

聞いたらすぐ近くだったのですぐわかった。

でかい…

俺の家よりでかくね?

ギルバードさんの屋敷は大きく俺の家の1,5倍ぐらいありそうな屋敷だ。横には普通な感じの家もある。きっと使用人の住む家なんだろう。

家には使用人は屋敷内で住んでるぞ…

金持ちだな…

ちと、屋敷の大きさに驚きながらおそるおそる扉をノックした。

すると中から声がして、執事みたいな髭の生やしたおじさん…と言うか紳士って感じの人が出てきた。

俺を見ても顔色は変わらないのは珍しいな。

「すいません! ダグザ様からのお届け物をギルバード様に持って来たんですけど! あ、僕は冒険者です!」

そう言うとギルドカードを見せた。執事さん(仮)はギルドカードを確認し、丁寧に対応してくれた。

「タグザ様への依頼の品ですか。お待ちしておりました。旦那様は中にいますのでこちらへどうぞ。」

俺が冒険者とわかっても顔色一つ変えずに中に入れてくれるこの人はすごいな!

普通は驚いたり、怪しんだりするのに…

凄腕執事さんに通されたのは立派な応接室だった。広くて豪華な調度品がたくさんあった。

まるで、映画に出てくる中世ヨーロッパのお城の中みたいだ!

すげえ…

暫くすると豪華そうな服を着た男の人が入ってきた。

「おお! 頼んでいたナイフが届いたのかい?」

「はい、こちらになります!」

そういうと俺は箱を渡した。ギルバードさんは箱を受け取ると開け、中を確認した。

中からは豪華そうな作りのナイフが1本出てきた。

「これは孫が最近生まれてそのこの為に御守刀として作ったんだよ。届けてくれてありがとう。」

「いえいえ、仕事ですから。ではこの書類にサインお願いします。」

「おや、君は冒険者なのかい?」

「はい!」

するとさっきの執事が旦那様に向かって話しかけた。

「この方は優秀で、教養もあるようです。来られた時も武器屋と言わずにタグザ様とおっしゃっておりました。多分、周りに聞こえてもどこからの荷物かわからない様にする為の配慮と思われます。そうですよね? クラウン・ウェンステッド様!」

「なんと! それはすまなかったね。ん? クラウン・ウェンステッド?」

ギルバードはその名前に引っかかるものがあった様だ。聞き直している。どう回答するのか思案していると執事が助け船を出してくれた。

「はい、ジェイド領主様のご子息でございます。私も驚きました。」

「なんと! ジェイド様のご子息様なのか! 何故冒険者をやっているのだい?」

やば! 親父にばれる!

そう思った俺は慌てて説明した。

「お小遣い稼ぎと、鍛錬の為に冒険者やってるんです! どうかお父様には内緒でお願いします。」

そう言って俺は手を合わせてお願いした。

「はっはっは! ジェイド様のご子息はやんちゃな様だのう! よいよい、お父上には黙っておいてあげよう。わしも子供の頃は父に内緒でやんちゃをしたものさ。」

ギルバードは笑いながらそう答えてくれた。助かった。

俺は胸をなでおろした。でも親父にはいつかばれるよなあ…

ギルバードと今回のナイフの出来や付与効果について説明(自慢?)を聞き、俺に冒険者としてどんな事をしているのかと暫く会話をし、ギルバードにサインを貰って屋敷を後にした。イイ人だな、ギルバードさんも執事さんも!

次は商業街だ!商業街にいるサウスさんの所だ!

商業街に入って暫く細い路地を歩くと、急に後ろから声が聞こえた。

「ド、ドロボー!!」

俺は声のした方を振り向いたとたんに、誰かにぶつかった。ぶつかってきたのは俺より少し大きい子供だった。男の子で3人で、手には何か果物の様な物を持っている。

服装はあんまりぼろくないので近所の子供か中流家庭の子供と思われる。ぶつかった子とは違う子供が声をかけていた。

「おい、早くしないと見つかるぞ!」

2人は俺とぶつかった子の手を取ると逃げて行った。何なんだと思いつ立ち上がると先ほどドロボーと叫んだ人と思われるおばさんが走ってきた。

すると俺がぶつかった時に近くにいた女の子を捕まえて叫んでいた。

「捕まえたぞ! この盗人め! 仲間はどこ行ったんだ!」

「私、知らない! 盗んでないもん!」

「しらばっくれるな! お前『家無し』だろ? お前らが犯人に決まっている!」

おいおい、どんな決め付けだよ。ちなみに『家無し』とはストリートチルドレンの事をこの辺ではそう呼んでさげずんでいる。あんまり好きではないな、そういうのは…

良く見ると、たしかに女の子の服装はぼろく、きっとストリートチルドレンなんだろう。

だが、俺は犯人を見ている。さっきのぶつかってきた男の子達だろう。きっと八百屋か何かで彼らの持っていた果物の様な物が盗まれた物なのだろう。

男の子達はきっと度胸試しかなんかで盗んだと思われる。

そしてこのおばさんはストリートチルドレンを嫌っている。だから犯人の逃げた先にいたこの女の子を犯人と思ってしまったのだろう。

俺はそのおばさんに声をかけた。

「おばさん、何を盗まれたの? その子一人だったの?」

「誰だい、あんた? この子の仲間…には見えないね。この子らはシオンを盗んだんだ! 2~3人ぐらいでやったんだよ。」

「私やってない!」

シオンとはさっきの果物みたいな物なのだろう。女の子は否定しているがおばさんは聞く耳が無い様だ。

「でも、その子はやってないって言ってるんじゃない?」

「ふん、『家無し』の言う事なんて信じられるものかい!」

あらあら、聞く耳持たずですか…

俺はおばちゃに状況を聞きながらおばちゃんの店の前まで来た。やっぱり八百屋の様だ。色々な野菜や果物が売っている。

「おばちゃん、おばちゃんはこの子が取ったと思っていて、この子は取ってないと言ってるよね? これじゃらちが明かないし俺はこの子を信じたい。そこで一つ提案なんだが、この店の物全部売ってくれない?」

その提案におばちゃんと女の子が驚いて目を見開いている。

そこで俺は信用される為に金貨を数枚、おばちゃんに渡して買う意思がある事を見せた。

「おばちゃんはこの商品が売れた事で今日の出来事を許し、彼女を信じてしまう。女の子を信じた俺は女の子を助ける事が出来て食材まで買えてしまう。両方にとって損は無いと思うんだけど…」

「ほ、本当に全部買ってくれるのかい?買ってくれるなら今回の事は見逃してもいいけど…」

「見逃すんではなくて、『今日は』この子の事を信じてあげたって事で! 信じてあげれないなら別の店で買っても…」

「わ、わかった! この子の言葉を信じる! それでいいんだろう?」

おばちゃんはせっかく商品が売れるのを逃したくないのだろう。俺の言葉に従って女の子の腕を放して手を振った。

「じゃあ、商談成立だね? 商品は魔法の箱で運ぶから種類毎になるべく纏めてくれない? 後、全部買ってしまっていいの? この後の商売に差し支えるなら

全部じゃなくてもいいんだけど…」

「大丈夫だよ!他にも八百屋はあるんだから、別の店で買ってもらうよ! 今すぐ、計算して纏めるから待っててね!」

おばちゃんはそう言うと急いで店の奥に引っ込んでいった。

俺は座り込んで唖然としている女の子にしゃがんで目を合わせて声をかけた。

「大丈夫かい? 疑い晴れてよかったね。」

「あ、ありがとう! でも私のせいでこんなに買って大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫、どうせ食材はどこかで買おうと思ったから気にしないで。」

「でも、なんで助けてくれたの?」

「おばちゃんは興奮して君が犯人と決めつけていたから言わなかったけど、僕は犯人と思われる男の子達を見たんだ。君も見たんだろ?俺とぶつかった子達を。」

「うん、でもおばちゃん信じてくれなくて…」

「あそこで俺が真犯人言っても、俺の言う事なんて聞いちゃくれない様な感じがしたからこんな手を使ったんだ。ごめんね。町の人がひどい事して。」

「ううん、助けてくれてありがとう。」

「立てるかい?」

俺は女の子に手を出すと女の子は俺の手を取って立ち上がった。女の子は歳は俺と変わらないぐらいに見える。少し幼い感じはする。背は俺より少し小さいぐらいだろうか?

俺の身長が標準的より上か下かはわからないが…

やはり、あまり食べていないのだろう、痩せている様な感じがする。顔は汚れていてわからないが、かわいい…のか? やっぱよくわからないや。

おばちゃんが奥から袋をたくさん持って出てきた。

「金額が全部で金貨3枚になるよ! だから残りは返すね。」

そういうとおばちゃんは残りの金貨を返してくれた。高いのか安いのかよくわからんな!

おばちゃんは袋に商品をどんどん詰めていった。女の子も手伝ってくれて俺は商品を魔法の箱に詰め込んでいく。詰め込み終わるとおばちゃんにお礼を言って八百屋を後にする。

町中を歩きながら女の子とたわいもない話をする。俺は冒険者で今クエストをしている最中な事も説明する。すると女の子は俺が冒険者なのに驚いていた。

歩いていると露店があり、肉を串焼きにした物が売っていた。俺は二本買ってその内の一本を女の子に渡した。

女の子は手を振ってそんなの買えないし、助けてもらったのにさらに奢ってもらう訳にはいかないと言った。俺は笑顔で答えた。

「これはあげる訳じゃない。これからクエストでサウスさんって人の家行くんだけど場所わかる? わかるなら案内をお願いしたい。それはその報酬だよ。」

俺は笑いかけながらそう説明した。女の子はサウスさんの家ならわかると言うと串を受け取り、すごい勢いで食べた。俺も自分の分を食べた。

シンプルだが塩味が効いて中々おいしい!

でも、何の肉なんだろう?

肉の種類は書いていなかったな…

お肉を食べ終わると女の子は俺の手をひっぱって案内してくれた。俺は迷う事無くサウスさんの家に着いて、手紙を渡し受取のサインも貰った。後はギルドに帰るだけだ。

ギルドに向かう途中に別の露店で今度はサイコロステーキみたいなお肉を焼いた物を2つ買い、女の子に成功報酬と言って二人でそれを食べた。これもうまかった。

冒険者ギルドまで来ると女の子は、

「今日はありがとう!」

と笑顔で話し、俺に手を振りながら町中に消えていった。やっぱかわいいな。

俺は冒険者ギルドに入るとカウンターに2枚の書類を渡してクエスト完了を報告した。

「クラウン様、お疲れ様です!」

俺は報酬を受け取ると家へ帰っていった。

報酬は少なかったがのんびり出来たし、町の様子も見る事が出来た。

たまにはこういうのもいいな。

そしてこの町の暗部も少しだけ見えた気がした…


この女の子が将来、クラウンにとって非常に大きな関わりを持つ様になる事を彼はまだ知らない…

…かもしれない。

今回は別視点の物語はありません。

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