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悪徳領主に俺はなる!  作者: 秋月の兄貴
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初クエストの時(町外編)

初クエストの話です。今回は長くなりすぎたので前後編に分かれています。

まずは前編である町外編をご堪能ください。

みんなおはよう!俺、クラウン・ウェンステッド!

悪徳領主になる予定の只の冒険者さ!

色々あったが今日からは冒険者!いっぱい稼いで強くなるぞー!

という事で俺は意気揚々と冒険者ギルドへ向かって行った。

今日から冒険者という事で俺に色々教えてくれた師匠たちから色々ともらった。(俺を騙したお詫びとして無理やり奪ったとも言う)

剣の師匠であるマークからはショートソードと小手だ。ショートソードは俺の体がまだ小さい為、これぐらいがちょうど良いのだ。白銀製の為、魔力の通りが良く、仮の魔法媒体としても使用が出来る。魔力の増加や消費魔力の減少等は無いが、普通は魔法を撃つ時に魔法媒体が無いと魔法を打つ時の威力が下がったり、

消費魔力が上がったりするらしい。だが、このショートソードならそれが無いのだ。

かなりお金がかかったらしい。マークが泣いていた。

小手は銀製でとても軽いわりに頑丈らしい。マークが実家から出る時に親から貰った物らしい。

魔法の師匠であるリーネからは魔力媒体の杖と指輪だ。杖は折り畳み出来て、畳むと30センチぐらいになり、頭部分には宝石が付いている。魔力の増加と消費魔力10%の減少の効果がある。リーネ曰く冒険者時代に予備として使っていた高級品らしい。指輪の方も魔法媒体として使用でき、消費魔力減少の効果はないが、

魔力増加の効果があるらしい。しかもこの指輪と杖の効果は重複出来るらしい。この指輪も冒険者時代に使用していた一品らしい。

弓の師匠であるハワードからは俺の身体に合わせた弓と魔法の矢筒、それと皮鎧だ。弓は俺の身体に合わせてハワード自身が作った特注品である。俺にぴったりフィットだ。いい仕事だ、ハワード。

魔法の矢筒は3種類×99本の矢が入る矢筒だ。しかも重さは変わらないという垂涎の一品。

皮鎧もハワードが使っていた魔獣の皮を使った鎧を職人に頼んで俺様に作り直した一品らしい。

軽いし防御力も高いとの事だ。ハワードはやっぱりいい奴だ!

師匠達に貰った装備を身に着け、俺は冒険者ギルドの扉を開けた。

「皆、おはよう!今日こそ冒険者になりに来たクラウンだ!皆の者、よろしくな!」

ギルドにいるみんなの注目を集めながらカウンターに向かった。中には何で子供がって声が聞こえたが、近くにいる冒険者に口をふさがれていた。どういう事だよ!

カウンターのお姉さんは少し慌てながら聞いてきた。

「えっ?!昨日の審査落ちたんじゃないんですか?」

えっ? 俺昨日の落ちたの? と慌てていると、カウンターの後ろから声がかかった。

「いいんじゃ!わしの部屋に通してくれ!」

と昨日の爺さんの声が聞こえ、カウンターのお姉さんとは別のギルド職員に連れられて奥の部屋に通された。

部屋の中は大きなソファーと机があり、執務室の様な机の向こう側に昨日の爺さんが座っていて何かの書類を見ていた。

机にはこれでもかと書類が山積みになっていた。

「小童、来よったか! 来なければ君の師匠達も幸せだっただろうに…」

「師匠達は笑って(無理やりだが)送ってくれたさ。」

「どうだか…」

「なんだよ!今更、冒険者にしないなんて言うんじゃないだろうな?」

俺はブスっとしながら聞いてみた。

「約束は約束じゃ、冒険者に入るのを認めよう。じゃが、特例じゃからな!」

そう言うと爺さんは二枚の用紙を俺に寄越してきた。

「一枚は誓約書じゃ。中身をよく読んで納得したならサインをせい!もう一枚は申込書じゃ。必要事項を書け。」

誓約書には色々書いてあったが要約すると、怪我をしたり、死んでもギルド側に責任は無いという様な事が書いてあった。

俺はサインをして2枚目に必要事項を書いていく。申込書を書くに当たり一つの項目で筆が止まった。

俺は爺さんに聞いてみた。

「職業って何書けばいいの?」

「何でも良いわ!好きに書け。所詮自己申告じゃからな。」

何でもいいのか!なら好きに書こう。と書いたのは『悪徳領主(予定)』。これで良し!

残りの所も書き、爺さんに渡す。

「うむ。なんじゃ、こりゃ?!職業が悪徳領主(予定)じゃと! 普通は自分のスキルに合わせて戦士とか魔法使いとか書くんじゃが… まあ、いいか。」

爺さんは俺の申込書を受け取るとギルド職員に渡した。ギルド職員はそれを持って部屋を退室した。

爺さんは聞いてきた。

「本当に冒険者になるつもりなんじゃな! 領主に聞かれたらお主がどうしてもと頼んだからと答えるぞ!」

「構わない!まあ、うまくやるさ。」

爺さんはため息を一つ付いた。

「まあ、困った事があれば、わしに言えばいいさ。気を付けるんじゃぞ!」

爺さんは少し笑いながら俺にそう話しかけた。

程なくしてさっきのギルド職員が戻って来た。

「クラウン様、ギルド証の発行をしますのでカウンターまでお越しください。」

ギルド職員に案内されてカウンターまでも戻ってきた。

ギルド職員がカウンターの反対側に腰かけて言った。

「私はギルド職員のセディックと言います。ギルマスに用事がある時は遠慮なく私に言って下さい。対応させて頂きますので。」

「ご丁寧にありがとうございます。」

俺は丁寧に頭を下げた。

「ではギルド入会の手続きに移ります。申込書にはもう記入して頂きましたのでこのギルド証に血を一滴垂らして下さい。」

俺は受け取ったカードに血を一滴垂らす。するとギルド証が光り、ギルド証に名前やLv、ランクが表示された。

「このギルド証は、そのまま身分証明にもなりますので無くさない様にお願いします。再発行にはお金がかかりますので。」

「わかりました。」

「では冒険者ギルドについて説明させて頂きます。冒険者にはランクがありランク以上のクエストは受ける事は出来ません。

また、クエストはそこのクエストボードに貼られています。受けるクエストを選んでこちらのカウンターまで持って来て下さい。

ある程度クエストを受けるとランクアップ試験が受けられます。これに受かるとランクが上がっていきます。

クエストを失敗するとクエスト報酬の半分をギルドに払って頂きます。また、クエストを受けて決められた期日までに戻ってこないと失敗とみなされます。ここまでは良いですか?」

「は、はい!」

セディックさんは淡々とギルドのルールを説明していく。なんかクールな人だな。

「では、説明を続けます。クエストはパーティーを組んで受ける事も出来ます。そのでもクエスト報酬は変わりません。

つまり少ない人数でクエストを受ければそれだけ報酬は増えますが危険も増えるとなります。注意して下さい。クエスト以外でも魔物を倒したら討伐証明部位を持ってきたら換金可能です。また、他にも売れる部位を持ってきたらギルドで買い取る事が可能です。

また、ギルド証は他の町に行っても使用する事が可能になります。ギルド証はあなたの魔力にて表示されるので他の人が持っても表示されません。盗難対策とでも思って下さい。以上、何か質問はありますか?」

「い、いえ、ありがとうございました。」

セディックにお礼を言ってクエストボードに向かう。ランクはFでクエストを探す。狩った事のあるホーンラビットの討伐とゴブリンの討伐、ワーボアの討伐を見つけた。それに薬草の採取もあった。ホーンラビットは10匹、ゴブリンとワーボアは5匹、薬草は20本の採取となっていた。その4枚のクエスト用紙を持ってカウンターに向かった。

「このクエスト受けたいんだが?」

「ぜ、全部ですか?これ明日までにクエストクリアしないとダメなんですよ?」

「たぶん大丈夫です。いいですか?」

「わ、わかりました!討伐は必ず討伐部位を持って来て下さいよ!」

「はい!行ってきます!」

俺はそう言うとギルドを飛び出して行った。


俺は近くの森に来ていた。この森にはホーンラビット、ゴブリン、ワーボアすべてが生息しており、薬草も生えているのだ。

薬草は狩りしている時に適当に『魔法鑑定』をしまくって見つけていたのだ。だから姿形はばっちりだ!

暫く歩くと魔物の気配を感じた。足音を立てずに近づくとホーンラビットがいた。まずは弓のテストからだ!

弓を引き絞り、ホーンラビットに向かって矢を撃った。

矢は真っ直ぐにホーンラビットの眉間に刺さり、一撃で倒した。うん、行けそうだ!

討伐部位や素材を回収して次の獲物を探す。暫く歩くと今度はゴブリンを発見した。今度は剣のテストだ!

ゴブリンの前に躍り出ると剣を構えた。ゴブリンは3匹いたが、みな錆びた剣やこん棒の様な物を持っていた。

ゴブリンは連携もなくやみくもに突進して来た。1匹目のゴブリンを避ける。そしてそのまま剣を振るう。軽く振った剣はゴブリンを容易く切り裂き一撃でゴブリンは絶命した。

ゴブリンは俺の攻撃に驚いている様だった。そのスキを逃さずもう1匹のゴブリンを袈裟切りにする。そして最後に残ったゴブリンも武器を振りかざして突進して来た。俺はこれを剣で受け止め、剣の感触を確かめる。

これなら問題無さそうだと判断した俺はもう一つの事を試した。ゴブリンを蹴り間合いを取った。

そして剣を鞘に納め、居合の構えをとる。ゴブリンは何も考えずに再度突進してくる。

俺は間合いに入ったのを確認し居合の要領で剣を横なぎに振るった。その一撃で残ったゴブリンは真っ二つに両断された。

ゴブリンの討伐部位を回収し、次の獲物へと向かう。合間に薬草を見つければそれを採取する。

すると運良くワーボアを見つけた。次は魔法を試そうと剣から杖へと持ち替えた。指輪は最初からつけている。

ワーボアに見つからない様に近づくと、眉間に向かって魔法を唱えた。もちろん詠唱短縮だ。

『魔法の矢』

ワーボアの眉間に魔法の矢が飛んでいき、ワーボアも一撃で倒す事が出来た。この杖と指輪スゲーな! 

前の素手の時じゃ、魔法1撃じゃワーボアは倒せなかったぞ!

リーネに感謝!

どの装備も今までよりずっと使い心地が良いな!

俺はワーボアの討伐部位と素材を回収した。そして次の獲物を求めて森の中を進み始めた。


そのまま、日が暮れるまで狩りを続け、ホーンラビット17匹、ゴブリン14匹、ワーボア7匹、薬草30本を手に入れた。

装備が一新されて1撃で敵を倒せる様になった為に、狩りのスピードが格段にあがったのだ。

皮鎧も見た目よりも軽く、動いた時に音も出ない為に不意打ちし放題であった。

『魔法の箱』も非常に役に立っている! これのおかげで重量を気にせずに狩りが出来るのだ!

今までだったらこれだけ狩る内に、3回は荷物を置きに戻らなければならなかっただろう。それがそのまま、継続して狩り

が出来るのは大きかった。おかげでつい、調子に乗ってしまった。

本日の成果を持ってギルドに向かった。カウンターにいるお姉さんに声をかけた。

「ただいま~!」

「あ、クラウン様おかえりです。」

「討伐部位はここに出せばいいの?」

「えっ!? あれだけのクエスト終わったんですか?」

「うん!」

「じゃ、じゃあ、確認しますので買取カウンターまで来て下さい。」

カウンターのお姉さんは驚きながら隅にある買取カウンターを指差した。

買取カウンターに行くとさっきのお姉さんがそのカウンターまで来ていた。

「じゃあ、こちらに討伐部位を出して下さい。」

「全部出していいの?素材とかもあるけど?」

「どうぞ!いいですよ。」

俺は買取カウンターに今日の成果をすべて出した! 今日ぐらいはすべて売ってしまおう!

次からはギルドの買い取り価格を見て、他の所のが高く売れるならそちらに売ろう。

山盛りになった討伐部位と素材を見てお姉さんは目を白黒させている。

お姉さんは応援を呼び、結局ギルド職員3人がかりで計算をしていた。その日は結構な金額を手に入れてホクホクだった!


俺の『悪徳領主』への道は順調である!

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