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悪徳領主に俺はなる!  作者: 秋月の兄貴
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夜遊びと卒業試験の時(クラスト サイド)

夜遊びと卒業試験の時の別視点の物語です。少し短めです。


私の名はクラスト!ウェンステッド領の騎士団長をしている!

最近、内の騎士団員のマークの様子がおかしい。何かコソコソしていて俺に隠し事をしている。

たまに他の騎士団の連中も連れ出している様だ。だが剣の腕は上がってきている。内緒で剣の練習でもしているのか?とも思ったが、マークはそんなタイプ

ではないし、コソコソしているのも怪しい。

ある時、俺は意を決してマークに問い詰めてみた。マークは最初は言葉を濁していたが、少し脅すとポツポツ話し始めた。

話を纏めるとクラウン様に剣術を教えてるそうだ。教えるぐらい良いじゃないかと言った所、クラウン様は『冒険者』になる為に剣術を習っているとの事だ。

何故そんな理由なのに教えるのか!と問い詰めた所、脅されて教えてるとの事だ。子供に脅される騎士団員って・・・

だが、マーク曰く機転を利かせて剣術と魔術と弓術使えないと『冒険者』になれないと説明したそうだ。どんな『冒険者』だ?ハイブリット過ぎるだろ?

まったくいないとは言わないが、『冒険者』になるのにそれだけ必要なら今頃『冒険者』はなり手がいないぞ?

さらに、聞き出すと剣術に関しては初級、中級はとっくにクリアし、今は騎士団の練習や技もクリアしそうとの事。1対複数の戦闘も

難なくこなしてしまっているとの事。

いくら領主様の息子とはいえハイブリットすぎるだろ?とマークに聞いてみたが、マークでは1対1ではもう相手にならないそうだ。それでよく先生やってるな?

すべてを話したマークは俺にすがってきた。

「団長!俺どうしたら良いんですか?」

「そこまで話が言ってるなら卒業試験をうんと難しくして『冒険者』を諦めさせるしかないだろ?」

「でも、どんな卒業試験をすれば・・・?」

「う~ん?・・・しょうがない、俺が卒業試験に手を貸そう!」

「え!?良いんですか?」

「しょうがないだろう?」

「あ、ありがとうございます!」

マークは何度も頭を下げて感謝をしていた。俺はこの時マークの話を話半分ぐらいしか聞いていなかった。だって6歳の子がそこまで強くなるとは

思わなかったからだ。剣術中級までクリア?剣術中級クリア出来るなら何処の騎士団でも入れるぞ!しかも剣術と魔術と弓術だと?ありえないだろ?

これがその時の俺の正直な感想だ。この感想は後で大きく崩されるのだが・・・・

騎士団の練習場でマーク、ジェドと待っていた。マークは「速剣」の異名を持つ男でこの騎士団でも俺に次ぐ実力者だしジェドも騎士団で

5本の指に入るほどの実力者だ。ジェドにも聞いてみたがクラウン様は本当に強いらしい。この時もまだ半信半疑だった。

暫くするとクラウン様が来た。クラウン様は俺を見て不思議そうな顔をしていた。

ん?あれ、あそこにいるのクラストじゃね?騎士団長が何でここにいるんだ?

「クラウン様!よく参られました!剣術の試験!この私が相手を致します!」

「はぁ?!」

クラウン様は驚いて素っ頓狂な声をあげていた。

「クラウン様!私を倒さなければ冒険者になる事は認めません!」

「まじか…!」

クラウン様は悪戯がばれて罰の悪そうな顔をして言った。

「…わかった!で、どんなルールだ?あるあるでいいのか?」

「あるある?なんですか?そのルールは?」

「なんだよ、マークから何も聞いていないのかよ?」

あれ?いつものクラウン様とだいぶ違うぞ?話し方が雑になっている様な・・・

その時、マークがおずおずと説明してきた。

「だ、団長!あるあるとはスキル使用『あり』魔法使用『あり』のルールです。クラウン様とは最近はありありのルールで2対1とか3対1でやっていたので…」

「なにぃ!そんなルールで鍛錬して怪我でもしたらどうするんだ!」

おいおい、6歳の子供相手にどんなルールで練習してるんだよ・・・クラウン様に怪我させたらどうする気だよ・・・

「実際には怪我してないからいいんだよ!で、ありありでいいのか?もっとも俺は使わないがな!」

クラウン様の物言いにビックリしてしまった。いつもは優等生の様な子供らしい話し方なのだが、今日のクラウン様は何処か町のチンピラの様な物言いだ。

騎士団長である私に対してありありで戦うですと?冗談じゃないですよ!

「余りなめないでほしいですね!そちらこそありありで良いですよ!」

そう言うと私はは練習用の大剣を正眼にかまえた。クラウン様も練習用の片手剣を正面に構え、左手は背中に隠す。身体は半身にして剣に隠す様にする。

「ほう、構えは中々ですね!」

クラウン様の構えは堂に入っていた。私は思ったよりやるかもしれないとは思ったが、この時はまだ楽観視していた。

私はは牽制の意味も含め、軽く剣を振り下ろした。クラウン様は難なくその攻撃を避ける。

クラウン様も牽制なのか横薙ぎに剣を振るうが私は冷静に剣で受け止めた。

そこから暫く剣を交えていたが、クラウン様は不意に構えを解いた。

「もう少し真面目にやろう!物足りないぞ!何だったらスキル使え!」

クラウン様はそう言うと剣を肩に担いだ。私はなめられたのだ!

私は攻撃のスピードを上げた。騎士団の連中と戦うレベルまで上げたのだ!

だが、クラウン様はこれくらいの速さなら問題無いかの様に避けている。

その内、クラウン様はカウンターを打って来た。俺はその中の幾つかは受けきれずに喰らってしまう。

つ、強い!こちらの攻撃は当たらないし、クラウン様のカウンター攻撃はいくつか喰らってしまっている。明らかに負けているのだ!

「クラスト!なめてるのか!」

私はこれは不味いと思いスキルを混ぜながら攻撃し始めた。だが、クラウン様は難なく避けていく。焦ってしまいスキルを乱発するがクラウン様には当たらない。

私は「豪剣」の異名を持っている。だから基本は一撃必殺だ。だから普段は攻撃を受け続け相手がスキを見せた時に一撃を喰らわすのが基本戦術だ。

だが、私はクラウン様を嘗めていた事もありこの戦術を使わなかった。これが今の状況を生んだのだ。焦りもあったのだろう!

「クラスト!鍛錬サボってるのか?もっと魔物狩ったりして色々なタイプの敵と戦わないとそれ以上成長しないぞ?マーク!お前も入れ!」

「は、はい!」

クラウン様の一言は衝撃的だった。魔物と戦う?確かに魔物には色々なタイプがいる。私の様にパワータイプもいればスピードタイプやテクニックタイプや特殊な

攻撃をしてくるタイプなど色々なタイプがいる。確かに魔物を狩れば色々なタイプ相手の練習になるだろう。

だが、騎士団では魔物狩りは街道付近の魔物の殲滅ぐらいしか魔物狩りを行わない。確かにもっと魔物狩りを騎士団のカリキュラムに入れるべきなのかもしれない。

マークもビビリながら加わってきた。それに続いてジェドも参戦してきた。

3対1の戦いになったが、私は今まで通りのの戦い方を行っていた。3対1になった事での奢りがあったのだと思う。

クラウン様は3人ものの攻撃を避け、ある時は受け流しながら我々の隙を見て攻撃を与えて行く。

私は焦り、相手がまだ体勢を崩していないにも拘らず上段から大剣スキルの一つである『強撃』を放ってしまった。放った瞬間に私はミスした事を悟った。

今までの感じからしてクラウン様がこの隙を逃すわけがない。この攻撃を右に避けられ、私の手に向かって攻撃し剣を落とされてしまう。クラウン様はその場を

駆け抜ける。抜けた先にはマークが待ち構えている。するとクラウン様は不意に空いている左手をマークに向ける。マークに対する牽制なのだろう。

マークはとっさに魔法を警戒しスキル『連撃』を放ってきた。『連撃』は出の早いスキルだから放ったのだろう。

だがクラウン様ははそれも読んでいた様だ!素早く左側に後転をしてその攻撃を避けていた。まるで一連の動作の様に!

後転した後、おもむろに180度周りながら水平切りを足元に放つ。その先にはジェドがいた。そこにジェドがいるのをわかっているかの様な動作だ。

ジェドは水平切りをモロにくらって転んだ。クラウン様は転んだジェドに見向きもせずにマークに向かって行ったのだ。

一瞬私の方を見て私が動いていないのを確認もしていた。

マークの方を見るとマークは慌てて『連撃』を再度放っていた。クラウン様はそれを避け、私の様に剣を叩き落されていた。スキル使用時の硬直を狙われたのだ!

クラウン様は肩に剣を担ぎつぶやいた。

「俺の勝ちだ!これで冒険者になるの認めるな?」

私の完敗だった。クラウン様は相手を見極め、決して油断せずに立ち向かわれた。私は油断をし、自分を驕った為に敗れたのだ。

「・・・わかりました。」

「なら、ここからは反省会だ!」

「「はい?」」

クラウン様から意外な言葉が出てきた。

「まずはクラスト!おまえは練習してるのか?素早い避けるタイプとの戦い方がなっていないぞ!何故、俺みたいな避けるタイプ相手には縦切りより

横薙ぎのが有効だろう?何故縦切りが多くなる?大方一撃で決めようと考えてるか俺の実力を舐めていたんだろう?相手の実力をなめてやられるなんて

愚の骨頂だぞ!後、マーク等と一緒になって戦った時、何故連携を取らない?おのれ一人で勝てるとでも思ったのか?おのれ一人で勝てるとしても

1対3なんだから連携を取って戦った方が楽に決まってるし、確実に勝利するなら連携を取るべきだろ?おまえはマークとジェドとの戦い方を知ってるか?

仲間を生かす戦い方をもっと覚えるべきだ!いいな!」

私は驚いた!クラウン様の指示は的確で、自分の欠点を指摘して来た。

「次にマーク!お前は前に出過ぎだ!お前一人で決めれないのは今までの練習でわかってるだろ!クラストが前に出るタイプなんだからお前は遊撃だろ?

何故前に前にと出てくるんだ!そんなのだからクラストが攻撃出来なかったりするし個々で相手すればいいから1対3の利点が生まれないだろうが!

お前は速さがあるんだからそれをもっと生かす戦い方を身につけろ!ソロ、集団戦共にだ!いいな!練習怠るなよ!」

「はい!」

マークは直立不動で返事をしていた。クラウン様はマークへの指摘も的確だった。

「次にジェド!お前はこの中で唯一周りを見て戦っていた!それは評価できる!ただし、お前は確実に安全な時しか攻撃してこないから受ける方としては

読み易いんだ!もっと強弱をつけたり周りの仲間の隙を無くすタイミングで攻撃したりして攻撃に幅を持たせろ!後は相手が恐れるような攻撃を持て!

相手がおまえを怖がれば、相手がお前を警戒し他の仲間が攻撃しやすくなるだろうが!それが課題だ!」

「はい!」

ジェドは騎士団内の訓練の様にマーク様に敬礼をしている。クラウン様はあれだけの戦いをしながらその最中に我々の事をつぶさに観察し、弱点を的確についてきたのだ!

私は今までクラウン様を見誤っていたのだ!悪戯したりする、ただの子供と思っていたがとんでもない!クラウン様はジェイド様に匹敵する!

いや、それ以上の逸材になるのかもしれない!我々は彼に従って行けばいいのだ!

「じゃあ、今の注意事項を元にもう一度組み手するぞ!」

「「「はい!」」」

こうして我々は日が暮れるまで訓練して頂いた!

これからは忙しくなるだろう。まずは騎士団のカリキュラムの見直しからだ!


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