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偽星の銀貨

作者: ユヤ

 あるところに優しい家族や住んでいたお屋敷を一度になくして、孤独になった女の子がいました。

 神様は女の子のことをとても哀れに思い、その子を見守るように天使を使いにやりました。天使はとにかくこの女の子を幸せにしてあげようと思って、陰から色んな贈り物をしました。

 でも女の子は、恵まれずに困っている人を見つけては自分の物をあげてしまうので、一向に貧しいまま。それに不幸体質なのか、いつも厄介ごとに巻き込まれてしまいます。手助けするはめになる天使は疲労困憊のありさまでした。

 天使は、女の子が幸せになるつもりがないのだと見切りをつけ、その子のしたいようにさせて、最後にはこれまで面倒を見てきたお返しに自分が贈り物をもらうことにしようと考えました。


 女の子が乞食に食料をねだられて、最後のパンをあげました。

 女の子の持ち物がついに着ているものだけになりました。

 天使は女の子の持ち物が減るたび、その子がみすぼらしく見えないように残りの持ち物だけでとても立派に見える魔法をかけました。天使は女の子のことを諦めていましたが、その子が他人から蔑んだ目で見られることは我慢出来なかったのです。


 女の子は病気なのに薄着しかない、と愚痴る貧しい子供に上着を贈りました。

 ぼくは肌着しか持っていない、とこぼす子供に服を与えました。

 肌着の下しか持ってない、と泣く子供に肌着の上を譲りました。

 残りが一つだけとなって、葉っぱだけをまとった姿で現れた天使が、あなたの下着がほしい、と言いました。

 女の子は下着をその場で脱いで天使に寄越しました。

 下着を受け取って、天使は聞きました。

「あなたの身を守るものはもうないでしょう。今のあなたは誰よりもきっと不幸なのに、それで構わないと思っているのですか?」

 女の子はにっこり笑って答えました。

「私には素敵に過ごした日々の記憶が今もあります。だから、私は誰よりも不幸ではないんです」

 最後に女の子は天使へ祝福の言葉を言い、去って行きました。

 女の子のことはそれきり誰も知りません。


 それから。

 天使はパンツを頭に被りました。

 天界でパンツを神様に見せると、神様が大切にしていた星の銀貨と交換しようと持ちかけてきましたが、決して交換はしませんでした。


おしまい




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