雨衣の恋愛遍歴 編
彼女と初めて出会ったのは彼女の職場だった。
彼女の・・・
上殿ミラがパーソナリティをしているラジオで自分の会社の広報PRの為に彼女に読んでもらう原稿を渡しに行ったのだった。
僕は雨衣春臣、鉄道会社で広報の仕事をしていてイベントの告知をラジオで読んでもらう為に
ラジオ局に赴いたのだった。
ファックスやメールでのやりとりだけでも良いと思ったのだが、なぜか告知文章のチェックの為に彼女と会うことになった。
(最初めんどくさいと思ったが、後でこれが運命だと思った)
そこで初めてミラさんを見た時、僕に衝撃が走った。
天使のようななんとも言えない彼女の姿。
「綺麗」とか「美人」とかそういう一言で済むようなものでは無かった。
彼女の服装はカジュアルなシャツにジーパンだったが(正直似合わなかった)
それでも彼女の神々しさというか清清しさはにじみ出ていた。
きっとこれが生まれて初めての一目ぼれというものなのだろう。
自分はモテるタイプでは無いが今まで一度も女を追いかけた事は無い。
でも小学生の時から今まで何故か女の子の方からアプローチや告白を受けてきた。
側に「彼女」らしき存在が常にいた。
あくまでこれは自分のケースだけかもしれないが、今まで自分に近寄って来た女の子達は皆自分の好みでは
無かった。
図々しく品が無くて見た目も残念な子が多かった。
よく友達からは「お前は顔がいいから黙ってても女が寄って来ていいよな」と言われるが
自分から言えばなんとか頑張って狙った女をものにしてきた友人達の方がうらやましく見えた。
自分は今まで自分から動いて好みの女をものにしようとしたことが無い。
そこまで欲しいと思った女と出会った事が無かったというのもあるが
今までうざい位にアプローチしてくる図々しい女に出会う事が多かった。
自分にストーカーに近い事をしてきた女も沢山いたがその度に
頼まずとも他の彼女気取りの女が騒いで追っ払った。
一度でいいから一人になりたいと思った。
だから男友達との付き合いを常に優先してきた。
それに不満がって去る女も稀に居たが大抵は男同士の集まりに(何処で情報を仕入れたのか?)
ひょっこり現れたり「他の女と会ってるんじゃないの?」と疑って来るものが大半だった。
一度、男友達たちの目の前で自分の事で女二人が揉めた事も有り
男友達から迷惑がられた。
彼らに嫌われたく無いので勿論一生懸命謝罪した。
(情けないが)
そのうち器用な友人何人かが「お前が居ると女が寄ってくる」と言って重宝がってコンパやナンパに
誘ってくれた。
(主に大学時代が多かった)
だけど自分も「いいな」と思った女は結局最後にはその器用な友人達にモノにされてしまった。
(何度も言うが自分は情けない男だ)
それに僕がコンパやナンパに誘われるのを嫌がる彼女気取りの女達から攻撃を受けてうんざりした。
ミラさんと出会う1週間前、
「彼女」気取りの女友達の一人がいつものように仕事終わりに僕をカフェに呼び出し
行ってみると(別れ話かと期待して)
女が「私達もう付き合って長いよね?」
と何かを匂わすような態度・・
自分「え?僕達付き合ってるの?」
思わず浮かんだ言葉を口にしてしまった。
女「・・・・!!
信じらんない!! 今までなんだったの?!!」
気の強い女から バチーンン と平手を食らってしまった・・・。
(ほんと我ながら情けない・・・)
でも、正直ほっとした。
なんだか肩の重荷が一つ減ったようで。
それから他の遊びに誘ってくる子達からのメールや携帯は着信拒否にした。
それから誰とも女の子とはプライベートで会わずに(職場は男が多い)静かな1週間を過ごした。
人は色んな要らないものを処分すると次に欲しいものが手に入るという。
確か「断捨離」とかいう言葉が昔流行ったが、そんなものだろう。
そして1週間後にミラさんと出会い、生まれて初めてこの子と付き合いたいと思った。
もう二度と会えないだろうと思い、去り際にもう一枚自分の個人携帯のアドレスを書いた名刺を渡した。
彼女からは仕事上の名刺しか貰ってない。
これが初めて自分からする女の子へのアプローチ。
多分、連絡は貰えないだろう。
でも、行動せずにはいられなかった。
ほとんど彼女と喋って無いにも関わらず簡単に彼女を諦められそうに無い。
まあ、その後何か進展があればまた。
END




