隠れ家レストラン まんまと戦場に行かされた件スピンアウト 散文詩
昴(プレアデス星団) まんまと戦場に行かされた件抜粋
ドラマを詩のように書いて能の幽玄ぽい世界を作りました。散文詩として発表します。
戦時のライラ・マーのジャングルで道標を星空に見出す象隊
これで、興味が出たら本編もお楽しみください。
その日の日が暮れて六時間後、僕ら五人は動物隊から派遣の測量兵二名と象三頭とその象使いと一緒に、西側から来る案内人と連絡を取るというその某地点近傍にいた。
某地点は夜空が見える谷の切れ目の岩場から二キロ以内と言う。
象の道は象の水呑み場となる場所を必ず通る。
そんな水場のひとつである。
象使いが象について水場で適当に遊ばせている。
測量兵二人が星の観測ができるちょっとした高所を探している。
時計の時間と星の位置を使って現在位置を確かめるためだ。
川から立ち上る靄が次々に小さな滝に落ちて行く。谷を吹く風が次々に湧き出る靄を滝下に追い払うので上空の星が見えやすい特異点になっている。
測量兵は、河原に立つ大きな岩の上に立つと、方位磁石を置き、六分儀を目に当てる。六分儀の鏡板の調製をしながら、空を見てもう一人に観測数値を伝える。
その一人がその数値を復唱確認しながら、紙の上で計算をしている。
やがて計算した紙を六分儀を持っていた測量兵に見せる。
彼は六分儀を持った手を降ろすとこちらに目をやり、空を指さした。
僕、紅葉、山口所長、岩田と北村が岩の下に集まり、星影に浮かんで空を指さす測量兵の言葉を待つ。
「ご覧ください。時刻は 0000正子です。昴 があそこまで上がっ来ています。ほぼ真南にあって天頂まで六割ほどの高さです。ということは……」
僕らは闇に慣れた目を空にむける。
青白く光る星の集団が、黒い山影の上に鮮やかに浮かんでいる。
それは、日本で見るより高い場所に、はっきり見える。星も五、六、七と数えられるぐらいだ。
僕らにとって確かに方向と位置を示す道標だった。




