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幸福のレシピ(あるいは、賞味期限切れの日常)
目覚まし時計の鳴き声で幕が開き
昨日と同じ角度でネクタイを結ぶ
私たちは皆、熟練の役者だ
「元気です」という台詞を上手に使いこなす。
行列の先に並んでいるのは
本当に欲しかったものか
それとも「誰かが並んでいるから」という安心感か
冷めたコーヒーに溶け残った砂糖のように
やりたかったことが、コップの底で固まっている
SNSの海に流した「幸せな午後」の写真は
加工という名のスパイスが効きすぎて
もはや本当の味を誰も知らない
いいねの数だけ、心が少しだけ膨らみ
ログアウトした瞬間に、風船のように萎んでいく
週末になれば、自分へのご褒美を買い込み
月曜日には、その支払いのために頭を下げる
この円環こそが平和だと
誰かが書いたマニュアルが、枕元で囁いている
それでも
駅のホームで不意に見上げた夕焼けが
予定調和のすべてを台無しにするほど美しくて
私たちは、台本にないため息を一つ吐く
「さて、明日は何を演じようか」




