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プロローグ
四季
移りゆく四つの季節。
季節の情景は苦しいほど美しくて、
いくら繰り返されても、同じ春は、夏も秋も冬も、
もう二度とこないのに、繰り返されてるように感じるものなのだろうか。
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揺らいでいた秋の風が凪いだ。
さっきまでの紅葉の喧騒が嘘のようだ。
その静けさと反するかのように胸のざわめきはひどくなるばかりだった。
いくら名前を呼んだってただ無機質に音が反響するばかりで、
きっと届いてくれないんだろう。
視界は赤で染まっていて、彼女の羽織を思い出す。
多くの人に愛される笑顔を振りまく君はきっとこの村の太陽なのだろう。
でも、あなたは優しすぎた。




