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友情  作者: 福村正治
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回顧

恒一が「人見知り」というコンプレックスを持つようになったのは、中学時代にまでさかのぼる。中一で卓球部に入部した時、そののろのろとした体裁から「トロ」というあだ名をつけられた。まだその時は運動神経が鈍いというだけの話だったのでショックを受けることはなかったが、そのうちに挨拶がきちんとできていないということで先輩達に呼ばれるようになった。

「おい、お前さ。声は出ているのだけどちゃんと人の目を見て話せよ!そうしないと相手に伝わらないぞ」

まだ中学、高校の時は男子校だったので、さほど影響はないかと思われたが、そのうちに女子校との交流会も増えてきて、女子と卓球をする機会も増えてきた。

 

「はい、恒一君はまりかさんと試合しなさい」

先輩に言われてコートに入ったが、恥ずかしくて目を見ることもできない。もじもじしてじゃんけんをすることさえためらっていると、さっそく先輩から叱られた。

「恒一君、次の人も待っているのだから早く試合を始めなさい!」

 まだ女性に対して話ができないだけならばいいかもしれない。高校になるとクラスメートともなかなか話ができなくなり、知っている友達以外は休み時間にも話すことさえなくなった。時々保健室に駆け込むことさえあった。自分はいったい何をしているのだろう。これからどうなってしまうのだろう。

「おい福村、どうした。休み時間だけど誰か話をする友達とかいないのか?」

心配して話しかけてくれた巻渕先生とも目を合わせることができなかった。


 恒一は中学から卓球部に入っていたが、熱心に練習するのにはある理由があった。卓球をやっている時は誰と話をしなくてもその場が保たれる。気まずさから逃れることができる。孤独感というのは、家の中に一人でいる時には発生しない。むしろ休み時間に皆が楽しそうに話しをしている中、一人でじっとしている時にいてもたってもいられなくなるのだ。その寂しさといったら、自分の存在感を否定されているようで、何だか顔がこわばり、どこかへ逃げたしたくもなる。


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