私が主役
正直落ちはありません。それでも良いよという心の広い方はどうぞ。
「今日はあなたが主人公です」
主人公が変わる毎日。とうとう私の番がきた。最初で最後の主人公の日。今日はどこで何をしようかしら?
「主人公には規制がございます」
主人公を伝えるピエロが言った。
「その一、主人公は悪であるべからず」
失礼だわ。主人公じゃなくても、私が悪であったことなんてないのに。
「その二、主人公はロマンチストであるべし」
そんなこと指図されるの? 確かに主人公でリアリストって少ないけど…。
「その三、主人公は恋をするべからず」
ちょッ!! それって主人公の醍醐味じゃないの!?
「貴方にある時間は1日その間に主人公らしい恋をしていただくのは無理かと」
だ…大丈夫よ!私は堅実な恋をして、一生安泰で暮らすのが夢なのよ!その夢もパァじゃない!
「その二!」
主人公はロマンチストであるべし…。。公務員と恋して結婚して…。。あぁ…。私の素晴らしい計画がぁ。
「つまりあなたは、平穏無事な人生を歩みたいと?」
当たり前じゃない!
「それでは、特に何の問題もない穏やかな人生を歩みたい訳ですね?」
そうよ。
「それは可能なことでございます。ただ…」
ただ?
「今日の主人公の権利を放棄し、一生脇役に徹していただきます」
……。。。
「悩むのは分かります。誰しも一度は主人公になりたいもの。喜劇!悲劇!過激な人生に身を投じたいと考えるは、人として当然のことでー」
いいわよ。
「…人として当然のことでー」
だから脇役でいいってば。
「…当然のー」
しつこい!!私は脇役でいいってば!ってゆうか、私の思惑外れたことばっかりだったら、主人公になる意味ないし。生活安泰だったら脇役の方がいいじゃない。じゃ、私は帰るわ。新しい主人公探してね。
「これで100人目。主人公が見つからないなんて前代未聞!…人には夢も希望もなくなったのか……。ってかここまでくると、この仕事大丈夫なのか?需要と供給なりたってないんじゃ、俺の給料支払われんのかな。。。次に主人公断られたら、俺再就職考えよ。
さぁ、ドアをお開けください!今日はあなたが主人公です」