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醒めない夢ってあるものなんだね。


てことは、ねこりは死んじゃったの!? って思うかもしれないけど、葉桜はざくらねこりは死んでない。


でも、この空間…………。


少し前に歩いてみる。


「――痛っ」


《《何か》》にぶつかった。

白い机だ。神様はいないのに白い机は存在している。


ん??


白い机の上には一枚の白いプリント。

同じ白だから分かりにくい……。


白いプリントには印刷された文字が書かれていて、いくつかの質問と回答欄が設けられている。


そして、見えづらくて気づかなかったが、白いプリントの上には白い鉛筆も置いてあった。鉛筆の芯だけは黒色だった。


――質問事項は全部で4つ。


『Q1 あなたはねこになりたいですか? それともいぬになりたいですか? それともそのた』


回答欄にその他と書こうかと思ったが、人間と書いたらいけない気がした。それに、なれるものなら、猫になりたい! 名前の通り!


てか、何で平仮名で書かれてるの? この質問。ねこり、幼稚園児じゃないんだよ?


今度こそ、『ねこ』と回答欄に記す。


『Q2 あなたはじょせいになりたいですか? それともだんせいになりたいですか?』


この質問にその他は無いんだね。無性の人、どうするんだろ。


迷わず、ねこりは『じょせい』と回答欄に記す。


現代日本での自分より可愛くなれたらいいな、なんて夢見てしまう。だって、異世界だもん。現実世界でのおのれより美しくなってる、っていうのがファンタジーの定石だから。


にしても、この平仮名クエスチョンに全然慣れない。

ねこりを何だと思ってるの?


(はぁ……)


思わず溜め息を吐いてしまう。


『Q3 あなたはびしょうじょとこいをしたいですか? それともびだんしとこいをしたいですか?』


そりゃあもう、美男子イケメンと恋したいに決まっているでしょう!


この質問にも迷わず、筆を走らせる。


『美男子』っと。


だが、この質問への回答だけがシステムエラーであらぬ事になってしまうのに、ねこりは知るよしもない。


思うけど、ファンタジーの世界になら白馬の王子様っているのかな……? ねこり、黒馬派なんだよね。


『Q4 いせかいにてんいしますか? いえす おあ のー』


お、最後の質問だ。


そりゃあ、転移するに決まっているでしょう! ここまで来て引き返せない。もし、のー、と答えたら死んでしまうかもしれない。転移しなかったら日本のお家に帰れる、だなんて誰も言ってない。


ねこりは『いえす』と回答欄に記す。



すると、次の瞬間――。

眩しすぎる光が視界を覆って――。


一瞬にして、白い机は霧散して。プリントと白い鉛筆だけは上へ上へとみるみる吸い込まれていって。


一旦、光がおさまり、瞼を開くと――。


「こ、ここって……」


ねこりは知らないログハウスのベッドの上に座っていたのでした。

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